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COPELAND/コープランド『YOU ARE MY SUNSHINE』

マイ・サンシャインマイ・サンシャイン
コープランド

EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) 2009-01-14
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 日本ではビューティフル・エモと呼ばれ、その第一人者であるコープランドは、新しいロックの形を提示したバンドだ。発祥はアメリカであるこのシーンの特徴は、イギリスのコールドプレイやトラヴィスなどに影響を受けた音楽性を有している。たいていのバンドが敬虔なクリスチャンであり、インディーで活動をしている。なかでもコープランドは、厳かなピアノと清冽なギターで、クリスチャンの美しい世界観を表現したバンドだ。
エモの影響が強くクリスマスのような神秘的な雰囲気に満ちた1st、氷細工のように冷たく綺麗なギターサウンドが中心の2nd、メロディーの中心がギターとピアノによって交互に入れ替わる、彼らの個性を確立した3rdと、アルバムごとにつねに変化を遂げてきたが、美しいサウンドということでは終始一貫している。

 新作となる4作目では、前作のサウンド路線を踏襲している。だが楽曲がより後ろへ下がり、ボーカルが際立つ音作りがなされている。ファルセットやディレイをかけたボーカルや、女性ボーカルとの掛け合いなど、随所に細かい変化が見られる。ボーカルを中心にしたサウンドに変化することによって、あらゆる感情が浮き彫りになるようになった。

 アルバムを支配しているのは、精神的な重苦しさだ。1stのような神秘的で心が浄化されるような清らかさもなければ、2ndのような過去の過ちへの懺悔や改悛、温もりにくるまれた優しさもない。あるのはボタン雪が降り積もる真冬の草原で、一人たたずんでいるときのような孤独と寂寥だ。そこには世間に刃向かうことのできない弱者の心理がある。まるで被害者の悲惨さと心の美しさを、サウンドに投影しているかのようだ。その自分ととことん向き合ったシリアスさが、コンプレックスを輝かせ、免罪化しているスミスとの違いだろう。

 ロックとは本来、ノイジーなギターで、理不尽な暴力を振るう強者に対して、不満を持った弱い立場のものが、反発する音楽であった。だがコープランドは、清冽なギターで、反抗する勇気や体力を持たず、いじめや疎外にあっている人たちに、同情や慰めといった形で、救いの手を差し伸べた。コンプレックスや不満を抱えているのは、反抗心を持った人だけではない。虐げられたものたちのロックもあるのだ。

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