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Jack's Mannequin/ジャックス・マネキン『THE GLASS PASSENGER』

グラス・パッセンジャーグラス・パッセンジャー
ジャックス・マネキン

Warner Music Japan =music= 2008-10-01
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 ジャックス・マネキンの2ndアルバムを聴いた。各雑誌でも語られているどおり、白血病という病が、彼の音楽に精神的な意味で影響を及ぼしたことに間違いはない。だがぼくはこの作品を聴いていちばん驚かされたのは、生きる喜びを綴った歌詞よりも、楽曲の多彩さやサウンドコンセプトの変化にある。

 今作では、ジャズからエレクトロニクスポップ、ニューソウルなどのオーソドックスなスタイルから、ダッシュボードコンフェショナルなどのインディーロックまで、幅広い音楽からの影響がうかがえる。いままでピアノとボーカルが中心だったサウンドは、曲の雰囲気によって、音が後ろへ下がったり前へ出たりと押し引きがされている。それに合わせて歌い方も、感情を抑制したり、ときには熱く歌い上げ、穏やかに囁いたり様々だ。パンキッシュなギターと激しいピアノが特徴的だったデビューバンド、サムシングコーポレートや、その路線の延長上にある前作と比べると、ピアノは穏やかで気品に満ち、ギターやキーボード、コーラスなど、幾重にも音が重ねられ、すべての音がバンドアンサンブルを重視して作られている。

 おそらくその変化の理由は、闘病生活という、つらく孤独な戦いの日々が、アンドリューの内面と音楽に劇的な変化をもたらしたと考えられる。入院中という、もてあました時間のなかで、いろんな音楽を聴く機会や、前作の反省点を、じっくりと考えるだけの余裕があったのだろう。そのなかで自分のエゴを全面に出しすぎたことが悪いことだと判断し、他のメンバーの長所を積極的に取り入れ、次作に反映させようと思ったに違いない。その結果、単調で勢いのみだった前作までと比べると、多彩な楽器と、幅広いジャンルの音楽を取り入れた、奥深いポップサウンドへと変化を遂げたのだ。

 じっくりと推敲を重ねられたこの格段に聴きやすくなったポップサウンドこそが、ジャックス・マネキンがミュージシャンとして、格段に成長した証なのだ。それがこのアルバムの一番のよさではないか。

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