プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2009年2月

2009/02/25

OCEANLANE『CROSSROAD』

CROSSROADCROSSROAD
OCEANLANE

3d system(DDD)(M) 2009-01-07
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 紆余曲折を経て、たどり着いた境地。ようやく代表作となる1枚が完成した。日本インディー界では、00年以降のエモ・インディーに影響を受けたビューティフルバンドとして知られ、英詞ながらも、ごく普通の若者の視点で綴った歌詞が魅力のオーシャンレーン。彼らの特徴は広大なアメリカ大地に広がる雲ひとつない青空や、北欧の雪景色などの、日本ではない情景がよぎるメロディーにある。2NDでは妖艶で耽美なメロディーなどを取り入れ、美しさにこだわりを持つバンドという地位を確立した。

 だが前作で、ダークで攻撃的なサウンドに挑んだ。実験性に富み、音楽性の幅が確実に広がったアルバムだったが、激しさに繊細で透明な歌声がかき消され、肝心のメロディーのよさが後退した。ハイテンポなリズムのせ、叫ぶタイプの曲を、穏やかで綺麗な歌声が消化し切れていない印象を受けた。その反省があったのか、今作では明るいメロディーにしぼった。1stのような原点回帰を思わせる美しいサウンドを中心に、ポップで爽快なサウンドを展開。全体的にミディアムテンポの曲が多く、カントリーやアコースティック、ダンス・エモなどを取り入れている。前作のような迷いはなく、穏やかで開き直ったような明るい雰囲気に満ちている。

 今作の魅力は、ボーカル武井の透明な美声と、美しいメロディーフレーズの多彩な組み合わせにある。その歌声を最大限に活かすために、アレンジやギターの音色が選び抜かれている。“Shine On Me”は荒いギターが中心のアップテンポの曲だが、あくまでもボーカルにフィットした明るいコードを選んでいる。 “Look Inside The Mirror”では、軟らかな歌声を生かすため、極端に音を抑えたバイオリンやピアノが、ギターの隙間を縫うように脇から引き立てている。メロディーフレーズも多彩で、音階のずれたメロディーをリフレインさせたり、金属がぶつかり合うような音のフレーズや、高音ギターのフレーズなど多種多様の音色を組み合わせている。ボーカルに合うメロディーや、1曲として似通ったものがないギターフレーズを厳選した結果、先駆者たちの影響下から解き放たれ、彼らしかないオリジナルティーを獲得した。その努力と苦労のはてに手に入れたメロディーが、彼らの最高傑作を作り上げたのだ。

 その完成度の高さが1STの繊細でナイーヴなメロディーや、不安が入り混じったイノセントな歌声とは違い、苦労を乗り越えた大人の落ち着きが漂っている理由なのだろう。エモ・インディーシーンで、独自の進化を遂げたメロディーを、巧みに組み合わせた。世間でまだ知られていないサニー・ディ・リアル・エステイトや、オーウェンなどに影響を受けたメロディーを、メインストリームに押し上げ、どこまで認知させることができるか?今後の彼らの活躍に目が離せない。

2009/02/21

MERCY MERCEDES『CASIO RODEO』

CASIO RODEOCASIO RODEO
メルシー・メルセデス

インディーズ・メーカー 2008-03-07
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 カルフォルニア出身の新世代メロディックパンクのデビューEP。このバンド、ただのメロディックパンクではなく、最近流行のダンスグルーヴやムーヴシンセ、青春コーラス、アコースティックなどを取り入れている。音楽性で近いところといえば、THE FORMATなどを挙げられるが、前者よりも、もっとフィジカルで、鮮やかで爽やか。そのサウンドはまるで、ミラーボールから放たれる煌びやかな光と色の幻想を想起させる。豪華絢爛のバブル時代にも似た煌びやかさだ。暗いところがひとつもなく、爽快で明るくノリのいいサウンド。踊ってスカッとしたい人にお勧めの作品。

2009/02/11

FALL OUT BOY/フォール・アウト・ボーイ『FOLIE a DEUX』

FOB狂奏曲(初回限定特別価格盤)FOB狂奏曲(初回限定特別価格盤)

UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M) 2008-12-10
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 前作のリズム中心のサウンドをさらに推し進めた5作目。ダンスミュージックやデジタルサウンドからの影響がさらに強くなり、メロディーやスピード感はさらに後退してしまった。今回はエルヴィス・コステロやパニック・アット・ザ・ディスコのブレンドリン・ウーリー、ブロンディーのデボラ・ハリーGIMクラスヒーローのファレル・ウィリアムスなどが参加。彼らの影響がR&B、クラッシクやデジタル音やビートルズやクラシックなどという形で随所に見られる。どこかノスタルジックで、豪華な仕上がった。とはいっても独特のコーラスワークは失われておらず、前作よりもフィジカルで、ノリのいいロックサウンドだ。薄暗いムードだった前作と比べると、、朝の日差しが立ち込めるような明るさがアルバムを支配し、それが心地よい。もはやインディー時代の初期衝動やハードコアへのリスペクトは失われてしまったが、これはこれでいい曲を書けているし、いろんなことにチャレンジした意欲作だ。

2009/02/10

FALL OUT BOY/フォール・アウト・ボーイ『INFINITY ON HIGH』

インフィニティ・オン・ハイ-星月夜 デラックス・エディション(初回限定盤)(DVD付)インフィニティ・オン・ハイ-星月夜 デラックス・エディション(初回限定盤)(DVD付)
フォール・アウト・ボーイ

ユニバーサル インターナショナル 2007-02-07
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 いままでと、まったく違うアプローチをみせた4作目。前作までのフィジカルなハードコア的要素が薄れ、文学的なインテリジェンスを前面に出した。メロディックパンク、ハードコアの影響が強かったメロディーやフレーズの複雑な組み合わせがなくなり、変わりにギターのリフを中心に、ピアノやホーン、デジタル音など取り入れている。リズムが中心で、R&B、ソウル、ファンクなどの黒人音楽からの影響が強い。明るさや楽しさも後退し、薄暗いムードがアルバムを支配している。もしかしたらパニック・アット・ザ・ディスコやキュート・イズ・ワット・ウィー・エイム・フォー、GIMクラスヒーローなどのレーベルメイトの存在が、少なからず影響を与えているのかもしれない。でも独特なコーラスワークは健在で、彼ららしい個性を発揮し、それがアルバムのノリのよさを強調している。タイトルに星月夜と名づけるだけあって、散りばめられた星空のような壮大でドラマティックな世界が、アルバムのコンセプトになっているようだ。神秘的な夜の世界を、物語風に演劇的な雰囲気で仕立てた。聴きやすく大衆化され、ムーディーでカッコよくコーティングされた作品だ。

2009/02/08

FALL OUT BOY/フォール・アウト・ボーイ『FROM UNDER THE CORK TREE』

フロム・アンダー・ザ・コーク・ツリーフロム・アンダー・ザ・コーク・ツリー
フォール・アウト・ボーイ

USMジャパン 2009-03-04
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 ブリンク182を過去の存在へと押しのけた、彼らを代表する一枚。若干攻撃的で、マニアック志向の強かった前作と比べると、ポップにソフィスケートされて、聴きやすく、よりノリやすい作品に仕上がった。ハードコアの影響はなくなり、オーソドックスなアメリカンロック、ポップス、ポジティヴパンクからの影響を感じる。なによりこのアルバムの魅力は、メジャーに移籍して、やってやるぞみたいな、決意や、意志の強さがみなぎっているところにある。そしてその決意が、アルバム全体に、音楽をもっと楽しもうとしている姿勢として現れている。未知なる夢や希望に立ち向かっていくドキドキするような気持ち。そんな好奇心や歓びを、心の底から沸騰する熱水のように呼び覚ましてくれる。自分たちがやりたいサウンドと、ファンが望むものの調和が、全作品のなかでいちばん取れている。まちがいなくメロディックパンク第二世代を代表する作品だ。

2009/02/07

FALL OUT BOY/フォール・アウト・ボーイ『 Evening Out With Your Girlfriend (イヴニング・アウト・ウィズ・ユア・ガールフレンド)』

Fall Out Boy's Evening Out with Your GirlFall Out Boy's Evening Out with Your Girl
Fall Out Boy

Uprising 2005-05-17
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 05年に発売されたデビュー作のリマスター盤。多種多様なメロディーアレンジやギターフレーズを1曲に詰め込んだサウンドという個性を確立した2ndと比べると、ここではシンプルなアレンジの曲が多い。まだこの段階では、メロディックパンクの先駆者たちの影響下から抜け切れていないが、既存のメロコアバンドのように、ただコードをかき鳴らすだけではなく、随所に個性的なメロディーは見られる。もともとメロディックパンクが好きで、このバンドを始めたということが理解できることでは、うれしい作品だ。

2009/02/06

FALL OUT BOY/フォール・アウト・ボーイ『TAKE THIS YOUR GRAVE』

テイク・ディス・トゥ・ユア・グレイヴテイク・ディス・トゥ・ユア・グレイヴ
フォール・アウト・ボーイ

ワーナーミュージック・ジャパン 2007-07-25
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 03年に発売された2作目。大ブレイクしたいま、あらためて聴きなおしてみると、雨後の竹の子のように大量発生しているブリンク182のフォロアーとは、まったく違うサウンドを展開しているのが理解できる。出世作である3ndと比べると、荒削りなハードコアや、インディーで活躍している西海岸系メロディックパンク、イギリスのB級パンクなど、アンダーグランド色が強いサウンドだ。Oiやデス声やシンガロンクスタイルのコーラス、フレーズがスムーズに変化しながらアコースティックのような軽快な音のギターへ流れ込むギターソロなど、このバンドの個性が随所に見られるし、1曲にパンパじゃない量の情報が詰め込まれている。ワンパターンな曲はひとつもない。デビュー作と比べると、それだけ彼らが音楽を聴きこんで、自分のサウンドに消化した。大きく飛躍を遂げた作品なのだ。

2009/02/05

PAULSON/ポールソン『ALL AT ONES』

オール・アット・ワンスオール・アット・ワンス
ポールソン

バッドニュース音楽出版 2007-07-25
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 前作「ALL AT ONES」を、新たにリミックスし直し、5曲の新曲を加えた内容。機械的なダンスビートを、フィジカルな人力ドラムで叩き、エモやエレクトロニカの影響が強い美しいギターサウンドと重ね合わせた、異色なサウンドを展開しているバンド。アルバム全体に穏やかで寂しげな空気が漂っているが、たとえ切ない気分になっても、つい踊りたくなるような奇妙な明るさがある。まる下降しているエレベーターが、上昇しているような不思議な感覚。そのふあふあとした浮遊感が彼らの魅力だ。彼らもまたDoghouse Recordings=エモレーベルというイメージを払拭させることに貢献し、エモという規制の枠にとらわれない新しく自由な発想で、新しい世代の一角を担っている。ニュージャージーのパンクって、個性的なサウンドのバンドが多いですね。

2009/02/04

BOY LIKE GIRLS/ボーイス・ライク・ガールズ

ボーイズ・ライク・ガールズボーイズ・ライク・ガールズ
ボーイズ・ライク・ガールズ

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2007-05-09
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 これは新しい。ビューティフル・エモの新たな進化系だ。スクール系、叙情青春エモーショナルロックとでもいうところか。まろやかで優しさにあふれたメランコリックなギターに、水しぶきのように乱反射するキーボードの音、すれたところのない透明で穢れなき歌声。若さゆえの喪失や傷心、夢、恋、冒険などの青春を綴った、瑞々しいまでの歌詞。どれをとっても無垢なまでのピュアネスにあふれている。この純粋さは、青春期の様々な情景が蘇り、胸に熱い思いがこみ上げてくる。近い音楽性ではカルテルなどがいるが、両バンドともにブレイク必死のアーティストだ。ただライヴでは、モトリークルーのようなハードロックファッションで、舌を出していた姿が、なんとも穢れた姿に見え、少しがっかりだったが。

FROM FIRST TO LAST/フロム・ファースト・トゥー・ラスト

フロム・ファースト・トゥ・ラスト(期間限定特別価格)フロム・ファースト・トゥ・ラスト(期間限定特別価格)
フロム・ファースト・トゥ・ラスト

ユニバーサル インターナショナル 2008-06-25
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 これは問題作。ダークなメタルから哀愁やサイケ色の強いギターポップへと変化をした。今回はメタル好きのSonnyが脱退。メロディック・パンク好きのギターMatt・Goodが、ボーカルを兼任し、自身の好きなサウンドを展開。持ち味である渋みのある歌声を中心に、幻想的なメロディーを持つギターポップへと変化を遂げた。だがいくら重く暗くヘヴィーなサウンドから、哀愁漂うメロディックサウンドに変化したといても、サウンドフォーマットは変わっていない。むしろ多彩なジャンルの影響が窺える色彩豊かなギターフレーズは、ギターポップなどを取り入れた最新型のメロディックパンクといえるだろう。そういった意味では、今作もまた実験的な作品。ポップ好きのぼくとしては、この変化を大いに歓迎する。前2作のイメージを捨てて、もっと素直に聴けば、この作品すごさがもっと理解できるはず。

2009/02/02

FROM FIRST TO LAST/フロム・ファースト・トゥー・ラスト『HEROINE』


ヒロインヒロイン
フロム・ファースト・トゥ・ラスト

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2006-05-03
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 06年に発表された2nd。パンク、メタルの折衷スタイルのカオスから、重いグルーヴだけを抽出し、より暴力的に変化を遂げた。その変化の理由は、おそらくメタル好きのDerekの意見を重視したからだろう。ハードロックのテックニックギターや、インダストリアル、重厚なリフを重視し、ブルータルなど、ヘヴィーなサウンドをいろいろと取り入れている。ここではパンクの影響はあまり伺えない。歌い方も力強く攻撃的に、慰めなどの叙情性も排除されている。重くつらく暗くシリアスに、怨嗟をただただ吐き出している。最後の曲“ヒロイン”だけが叙情ナンバーで、パンクの影響を感じる。そこには、厳しい現実に敗残していくむなしさや徒労感が漂っている。強気で攻撃的な前半と、疲弊感漂う弱さで終わる結末。その一連のストーリーのような展開が、アルバムをうまくまとめ、味わい深いものにしている。個人的には最後の曲が好きだ。

FROM FIRST TO LAST/フロム・ファースト・トゥー・ラスト『dear diary,my teen angst has a bodycount.』


ディア・ダイアリー、マイ・ティーン・アングスト・ハズ・ア・ボディカウントディア・ダイアリー、マイ・ティーン・アングスト・ハズ・ア・ボディカウント
フロム・ファースト・トゥ・ラスト

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2004-08-18
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 衝撃のデビュー作。昨今のパンク、メタルシーンでは、メタルにパンクを取り入れたり、はたまた逆にパンクにメタルを取り入れたりと、ベースとなる音楽に、プラスアルファーを加えたバンドばかりが流行している。そんななか、メロディックパンクからブラックメタルなど、趣味も違えばルーツも違うメンバー同士が、ぶつかり合うサウンドのバンドが現れた。デス声と叙情的な歌声が交錯するシンガロングスタイルのボーカルに、ブラックメタルの冷たいメロディーと重厚なリフ、パンクの影響を感じるギターコード、心の傷を不規則に刻むメタル色の強いドラムのブラストビート。不協和音をギリギリで回避する緊迫したバンドアンサンブル。多種多様の音楽が亜種混合したカオス。氷細工のような冷たい美しさと、それを瞬時に破壊する衝動が、甘美で息苦しく、そして心地よい。異彩なオリジナリティーを放ちながらも、尋常でないテンションの高さの初期衝動が魅力的な作品だ。

2009/02/01

THE FAINT/ザ・フェイント『FASCINATION』

FASCIINATIIONFASCIINATIION
ザ・フェイント

LR2(バウンディ) 2008-08-20
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 4年ぶり通産5枚目。最高傑作と名高い前作『ウエット・フロム・バース』は、ファンクビートの隙間に、厳かなヴァイオリンや、音程のずれたシンセ音が不気味に響き、ギャング・オブ・フォーあたりに通じるカッティングギターが鋭利の刃物のように空間を切り裂く独特のグルーヴ感があった。初期パンクのような派手さと、攻撃的なラディカルさイメージに、踊りたくもないダンスを強制的に踊らされているような恐怖と違和感。そんな前作と比べると、今作は明るくポップになり、攻撃性が丸くなった印象を受ける。鋭利なギターは後退し、ビブラートをかけたボーカルを多用。よりダンサンブルに、ノリのいいデジタルな音を前面に出している。これはパンクじゃねぇ、と思いきや、つい踊りたくなるようなウキウキする曲に、憎しみを込めた歌詞があり、アイロニカルに、もっと内面的な不気味さや恐怖を演出しているようだ。やはり、アメリカン・ハードコアを経て、オルタナティヴを通過した、アメリカンパンクのスピリットを捨てていないようだ。

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