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OCEANLANE『CROSSROAD』

CROSSROADCROSSROAD
OCEANLANE

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 紆余曲折を経て、たどり着いた境地。ようやく代表作となる1枚が完成した。日本インディー界では、00年以降のエモ・インディーに影響を受けたビューティフルバンドとして知られ、英詞ながらも、ごく普通の若者の視点で綴った歌詞が魅力のオーシャンレーン。彼らの特徴は広大なアメリカ大地に広がる雲ひとつない青空や、北欧の雪景色などの、日本ではない情景がよぎるメロディーにある。2NDでは妖艶で耽美なメロディーなどを取り入れ、美しさにこだわりを持つバンドという地位を確立した。

 だが前作で、ダークで攻撃的なサウンドに挑んだ。実験性に富み、音楽性の幅が確実に広がったアルバムだったが、激しさに繊細で透明な歌声がかき消され、肝心のメロディーのよさが後退した。ハイテンポなリズムのせ、叫ぶタイプの曲を、穏やかで綺麗な歌声が消化し切れていない印象を受けた。その反省があったのか、今作では明るいメロディーにしぼった。1stのような原点回帰を思わせる美しいサウンドを中心に、ポップで爽快なサウンドを展開。全体的にミディアムテンポの曲が多く、カントリーやアコースティック、ダンス・エモなどを取り入れている。前作のような迷いはなく、穏やかで開き直ったような明るい雰囲気に満ちている。

 今作の魅力は、ボーカル武井の透明な美声と、美しいメロディーフレーズの多彩な組み合わせにある。その歌声を最大限に活かすために、アレンジやギターの音色が選び抜かれている。“Shine On Me”は荒いギターが中心のアップテンポの曲だが、あくまでもボーカルにフィットした明るいコードを選んでいる。 “Look Inside The Mirror”では、軟らかな歌声を生かすため、極端に音を抑えたバイオリンやピアノが、ギターの隙間を縫うように脇から引き立てている。メロディーフレーズも多彩で、音階のずれたメロディーをリフレインさせたり、金属がぶつかり合うような音のフレーズや、高音ギターのフレーズなど多種多様の音色を組み合わせている。ボーカルに合うメロディーや、1曲として似通ったものがないギターフレーズを厳選した結果、先駆者たちの影響下から解き放たれ、彼らしかないオリジナルティーを獲得した。その努力と苦労のはてに手に入れたメロディーが、彼らの最高傑作を作り上げたのだ。

 その完成度の高さが1STの繊細でナイーヴなメロディーや、不安が入り混じったイノセントな歌声とは違い、苦労を乗り越えた大人の落ち着きが漂っている理由なのだろう。エモ・インディーシーンで、独自の進化を遂げたメロディーを、巧みに組み合わせた。世間でまだ知られていないサニー・ディ・リアル・エステイトや、オーウェンなどに影響を受けたメロディーを、メインストリームに押し上げ、どこまで認知させることができるか?今後の彼らの活躍に目が離せない。

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