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ダッシュボード・コンフェッショナル『ダスク&サマー』

Dusk and SummerDusk and Summer
Dashboard Confessional

Vagrent 2007-05-22
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 06年発表の4作目。前作に引き続き、ここでもロックサウンドを展開している。『ダスク・アンド・サマー(夕闇と夏)』というタイトルが示すとおり、真夏の燃えるような情熱と、力強さにあふれている。そこには悲しみのかけらがまったくない。いつになく熱く、力強いシャウトのボーカルが、激しく肉体的にロックしている。

 基本となるミディアムテンポのロックサウンドこそ、前作と変わらないが、真夏と海という綺麗なメロディーを連想させるギターサウンドにこだわり、自らが納得するまでとことん緻密に練られた痕跡が見受けられる。

 その音へのこだわりは、プロデューサーの人選にも顕著に現れている。一昨年にU2やボブ・デュランなどのプロデュースで知られるダニエル・ラノワのもと制作されたアルバムを白紙に戻し、リンキンパークやパールジャムなどで知られるドン・ギルモアのもと、再度、録り直しをしたという。アルバムの最後にダニエル・ラノワがプロデュースをした曲“ヘヴン・ヒア”が収録されている。その曲を聴くと、ギターレスで無機質なデジタルサウンドの美しさより、繊細な感情までも伝えるウエットなエレキギターの音色で、人間味のあふれた、生々しい熱いロックを作りたかったということが判る。

 それにしても今作は熱い。歌詞も<待つんじゃない。今しか道はない>や、<燃え尽きるまで燃やし続けろ>といった、熱い情熱で前ヘ突っ走ろうとする内容が目立つ。そこには沈む夕日に向かって走る努力や根性、勇気や青春といった、時代錯誤な言葉が浮かんでくる。まるでむかしの森田健作の青春世界そのものだ。

 この暑苦しいサウンドは、醒めた日本の若者にはウケないだろう。だがぼくは、夕日にさざなみが反射してキラキラ光るようなこのサウンドが美しいと思うし、クリスの古臭い男くささがなによりも大好きだ。

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DASHBOARD CONFESSIONAL『A MARK,A MISSION,A BRAND,A SCAR』

マーク、ア・ミッション、ア・ブランド、ア・スカーマーク、ア・ミッション、ア・ブランド、ア・スカー
ダッシュボード・コンフェッショナル

ビクターエンタテインメント 2003-09-03
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 ロックサウンドへ変貌を遂げた03年発表の3枚目。やはり前作の『MTVアンプラグド2.0』がひとつの集大成的な作品になったのだろう。ここではいままでとは違ったサウンドを展開している。

 エレキギターを使用した大衆的なアメリカンロックな曲から、アメリカ民謡のアコースティックな曲、ソニックユースやサニーディ・リアル・エステイト路線のエモなど、いままでになくヴァラエティーが豊富だ。

 今作ではギターアレンジに対するこだわりがすごい。当時流行っていたエモの音粒が弾けるようなギターフレーズから、ループするアコースティックのフレーズ、甘酸っぱい気持ちと悲しさを表現したエレキギターのメロディーなど、似通ったフレーズがひとつもない。そのあたりに、几帳面で音に対するこだわりを持つクリスギャラハーの性格が窺える。

 たしかにメロディーや違ったジャンルの曲に対する異常にこだわった作品ではあるが、けっして違和感がない。その理由はボーカルの圧倒的な存在感だろう。いうならボーカルの歌心と歌詞で観客を自分の世界に引き込んでいくタイプのアーティストなのだ。

 だからなのか、アメリカではゴールドディスクを獲得し、2万人規模の観客動員を誇るほど絶大な人気を得ているのに、日本では、当初2日間予定されていた初公演ライヴが1日に短縮され、いまひとつ盛り上がりにかけているようだ。日本ではやはり、言語の違いがあり、アメリカ国民特有の彼らの恋愛観に、なかなか共感することが出来ないのだろう。

 だが個人的には思い入れの強い作品だ。これを聴いた当時、ぼくは恋愛のトラブルを抱えていた。とくに“ラピット・ホープ・ロス”と“アズ・ラヴァーズ・ゴー”では、女の子にフラれたあとの強がりや、フッた彼女に対する思いやりや優しさを知ることが出来た。受けた傷から、這いやがろうとする力強さをぼくは獲得したのだ。これを聴いてぼくは、どれだけ慰めてもらったことか。いまだに聴くと当時の甘酸っぱい記憶を生々しく思い出す。そういった意味ではぼくの貴重な経験を、みごとに封じ込めた作品なのだ。

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DASHBOARD CONFESSIONAL『MTV unpligged v2.0』

アンプラグドアンプラグド
ダッシュボード・コンフェッショナル

ビクターエンタテインメント 2002-12-26
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 正直に言って、ぼくはこのアルバムのDVDを観るまで、彼らの魅力が分からなかった。まさに一曲入魂とでもいえる悲痛な想いがこめられた熱い歌声。優しくなでるように響くアコースティックの音色。ファンとミュージシャンがシンパシーの域を超えた空間の共有。それまでエモのアコースティックヴァージョンという認識しかなかったぼくのイメージを覆すほど鮮烈な印象を与えてくれた。

 このアルバムは、ニューヨークMTVスタジオで行われた、ダッシュボード・コンフェッショナルのアンプラグド・ライヴを、CDとDVD、2枚に収録した作品だ。アメリカのMTV2でオンエアーされ、すべて過去の曲から選出。いい曲だけを集めたベストな内容だ。1曲ごとにギターを代え完璧さを求める演奏もさることながら、そのファンとミュージシャンが一緒になった一体感と熱量がすごい。

 ライヴでは、クリスの声がかき消されるほど、終始ファンが一丸となって大合唱している。全員が真剣な眼差しで初恋の思い出や、化粧を落とした本当の自分を愛してほしいという欲求を、告白し、心の傷をぶちまける姿は、感動の粋を越えた純粋な想いがあった。

 元来フォーク/アコースティックとは、ギターとボーカルという編成だ。そのシンプルな編成だからこそ、歌声の魅力と強烈な歌詞のメッセージ性が重要になってくる。ボブ・ディランやジョーン・バエスが、絶大な人気を獲得した理由にはそこにある。ダッシュボード・コンフェッショナルの場合、ビバリーヒルズ青春白書のような、内面の葛藤や、懺悔や後悔、妊娠、初恋の失恋など、だれもが起こりうる学校生活のトラブルや悩みを、10代の視線で歌った。それが学生生活を送るごく普通の青年たちの共感を得た理由だろう。

 このアルバム以降、アメリカでは5000人規模のライヴならすぐにソールドアウトになるほどの人気を獲得した。彼らの最高傑作といえる作品だ。

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ダッシュボード・コンフェッショナル『サマーキスEP』

Summers KissSummers Kiss
Dashboard Confessional

Eulogy Recordings 2002-04-02
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 02年4月に発売された3枚目のEP。この作品では、フォーク/アコースティックからの影響はあまりうかがえず、ロック色を全面に押している。いままであまり目立たなかったベース、ドラムのリズム隊はさらに強固な音になり、ネオアコのような仕上がりに。4曲すべてが1stからのリメイクで、前EPの実験性はなく、どちらかといえば納得のいかなかった曲を、録り直した意味合いが強い。

 おそらくこの作品から、バンド編成のロックな曲と、ひとりで弾くアコースティックナンバーと、明確に2つに分けようと思ったのだろう。だからこの作品でロックな曲を、とことんロックに仕上げているのではないか。

 それにしても“夏の口付け”と名付けられたタイトルがいい。だれもがひとつは持っている楽しかった夏の出来事を、思い出さずにはいられない。

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ダッシュボード・コンフェッショナル『ソー・インポッシブル・EP』

So ImpossibleSo Impossible
Dashboard Confessional

Vagrant 2001-12-18
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 元サニーディ・リアル・エステイトのギター、ダン・ホーナーが加入した01年12月発表の2枚目のEP。ギターが2本になったため、今まで深みのなかったアコースティックの音域がさらに広がった。今作では牧歌的なカントリーまで消化し、曲のヴァラエティーは前作以上に増えている。おそらく前アルバムを発表してすぐにこのEPを発売した理由は、ギターが2本になって、どれだけ自分たちのサウンドの幅を広げられるか、それを試したかったからだろう。だからなのか、実験的と思われる曲がある。

 激しく叫ぶのではなく、やや落ち着いた印象があるが、総じて美しいサウンドの作品に仕上がっている。あとに代表曲となる“ハンズ・ダウン”のアコースティックヴァージョンを収録。

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ダッシュボード・コンフェッショナル『プレイシズ・ユー・ハヴ・カム・トゥ・フィア・ザ・モースト』

The Places You Have Come to Fear the MostThe Places You Have Come to Fear the Most
Dashboard Confessional

Vagrant 2001-03-20
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 01年3月に発売された2枚目のアルバム。今作では新たにサポートとしてドラム、ベースのリズム隊が加え、クリス自身、ファーザー・シームス・フォーエヴァーを脱退し、ダッシュボード・コンフェッショナルに本格的に専念し始めた。アコースティックギターを闇雲にかき鳴らしていた前作と比べると、ここでは格段に技術が上がり、完成度の高い作品に仕上がった。アルバム全体のサウンドも、ギター一つひとつの音に強弱があり、アメリカン・フォーク/アコースティックからの影響があり、フォークコードをワンフレーズごとに変え、凝ったアレンジがなされている。前アルバムから2曲リメイクするあたりにも、完璧さを求めるクリスの性格が窺える。

 それに加え今作ではボブディランやジョーン・バエス、クロスビー・スティルス&ナッシュなどのアメリカフォークの歴史をしっかりと学習し、サウンドに消化している。きちっとした作品を作ってくるあたりに、このバンドに対する本気度が伝わってくる。

 実際このアルバムでアメリカでは一躍有名になり、次の集大成的作品であるMTVで話題を集めることになるわけだが。

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DASHBOARD CONFESSIONAL『THE SWISS ARMY ROMANCE』

スイス・アーミー・ロマンススイス・アーミー・ロマンス
ダッシュボード・コンフェッショナル

ビクターエンタテインメント 2003-09-03
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 00年に発表されたデビュー作。当時Fiddler Recordsから発売されたが、現在、大手インディーレーベルであるヴェイグランドに買い取られ、2曲ボーナストッラクを収録したリメイクをしてリリースされた。

 基本的にはアコースティックギターの語り引きだ。こったギターアレンジは見受けれらない。だがこれほどアコースティックギターの語り引きで、エモーショナルに熱く、ときには寂しく真情を吐露したバンドは、いままで存在しただろうか?キャンプファイヤーなどの燃え盛る蒔き木を見ながら、静かになだめるように歌うのが、いままでのフォークないし、アコースティックだった。そういった意味では、フォーク/アコースティックの概念を変えたバンドといえるかもしれない。

 歌っている内容といえば失恋ソングだ。彼女がほかに男を作って出て行ったときのショックや、彼女を傷つけてしまったことに対する後悔と懺悔など、生々しいほどリアルだ。その悲しみや悔しさ、寂しさから這い上がろうとする力強い歌声は、胸が苦しくなるほど切ない気持ちにさせてくれる。

 このバンドのデビュー以降、エモ界隈では、アコースティックヴァージョンのトラックを入れるバンドが増えた。それだけ彼がエモに与えた功績は大きいのだ。

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ダッシュボード・コンフェッショナル『ザ・ドローウィング・EP』

The DrowningThe Drowning
Dashboard Confessional

Fiddler 2001-02-27
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 当時、ファーザー・シームス・フォーエヴァーのボーカルだったクルス・ギャラハーが始めたサイドプロジェクト。98年に発表された3曲入りのデビューEP。おそらく当時、サイドプロジェクトの意味合いが強く、お遊び程度だったのだろう。だから録音状態も悪く、音がこもっている。レコーディングにお金をかけていない。しかも全曲アコースティックギターとボーカルのみの編成で、曲もアレンジを加える前の原曲をそのまま提示したような内容だ。

 だが当時のメインバンドだったファーザー・シームス・フォーエヴァーと比べると、クリスの歌声の魅力が存分に発揮されている。エモーショナルで激しく叫んでいた歌声が、抑揚やメリハリのついたボーカルスタイルに変わり、そこにはある種の寂しさや素朴な感じが漂っている。ファーザー・シームス・フォーエヴァーではみせなかった、クリスの弱さや寂しさといった人間味が垣間見れる。本格的にバンドとして動き出すのは次の作品から。

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SET YOUR GOALS『'THIS WILL BE THE DEATH US'』

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セット・ユア・ゴールズ

SMJ 2009-07-22
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 よりメロディアスになった09年発表の2作目。今作では東海岸のハードコアからの影響よりも、NOFX、ブリンク182、ゼブラベッドからの影響が強くなった。ギターも、野太いコードギターから、メロディーフレーズを取り入れ、メロディックサウンドに変化した。前作の80年代の変拍子のギターリフや男くさいコーラスを残しつつも、そこに90年代のメロディックパンクのエッセンスを加え、00年世代の彼らしかありえないオリジナルなサウンドを確立した作品といえるだろう。
 
だがメロディックに変化をしたからといって、決して底抜けに明るいサウンドではない。表面的な明るさの奥には、哀愁や、実直で真摯な気持ち、力強さなどが漂っている。歌詞も、メディアコントロールや、ほかのバンドへの感謝の気持ち、アメリカ社会で起きた事件など、外へ向けられた内容が増えた。自己啓発や内面な内容を歌った前作と比べると、意識が外の世界へ向けられている。

 前作がハードコアを横なく愛し、先人たちへのリスペクトの念にあふれ、ポジティヴィティーという自らの信念やアイデンティティーを掲げたアルバムなら、今作ではそれを武器に、外の世界へ攻撃ないし、疑問意識を投げかけたアルバムといえる。まさに自分たちの存在を世間に証明したアルバムなのだ。

 相変わらず、このバンドのまじめさや真摯な気持ちが伝わってくるし、彼らは確実に成長を遂げている。

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セット・ユア・ゴールズ『ミューティニー』

Mutiny!Mutiny!
Set Your Goals

Eulogy 2008-05-27
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 06年に発表されたメロディックハードコアのデビュー作。メロコアといっても、バッド レリジョンやオフスプリングからの影響はまったくない。ゴリラ ビスケッツ、ライフタイムの流れを汲むメロコアだ。ゴリラ ビスケッツ解散後、ボーカルのCIVが95年に発表したアルバム『セット・ユア・ゴールズ』から名前を取ってバンドにつけたという。おそらくこのバンドが80年代にデビューしていたら、ハードコアとして語られていただろう。時代の流れとは恐ろしい。ヘヴィーな音をポップとして捉えてしまうのだから。かつてビートルズがそうであったように。

 この作品では、ゴリラ ビスケッツのストップ&ゴー路線を、ポップにまろやかに仕立て、西海岸特有のカラッと明るいサウンドに閉じ込めている。団結心を煽るOiコーラス、野太いギターコード、断片に織り込んだメロディーフレーズに、どこかあどけなさが残るメロディックで高い声のボーカル。どれをとっても男臭く気合が入っている。それなのに、明るく開放的。聴いていて楽しくなるし爽快ささえある。

 歌詞も自分を奮い立たせるような啓発的な内容が多い。世の中には辛いこともあるだろうけど、明るく楽しく前向きに生きていこうという姿勢がうかがえる。それがこのバンドのスタンスなのだろう。そのポジティヴさが心地いいし、生きていく活力と勇気をもらった気分になる。まさにメロコアの新世代の産声を感じさせる一枚だ。

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ケント『ロッド』

RodRod
Kent

2009-11-17
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 デジタルサウンドにますます拍車がかかった09年発表の9作目。ここでは4つ打ちのビートや、水面を弾くようなシンセ音など、機械的な音を大々的に取り入れている。その反面バイオリンやアコースティックギターなどの古典的な楽器も導入し、クラッシク音楽からの影響も強くなり、新しさと古さの入り混じった独創的なサウンドになった。

 個々の独創的なアレンジが緻密に構築された複雑なアンサンブル。そこには、革命前夜の末期ロシア帝国の暗さを髣髴とさせる憂鬱さや心の荒廃、緩やかな風に当たっているときのような心地よいやすらぎ、劇的な出来事が身に降りかかったときのようなショックといった感情が儚くも切ない美しいハーモニーを奏でている。

 まるでビーチボーイズがサーフロックから宅録ポップに移行したように、このバンドもそういった方向に向かっている。

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