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ダッシュボード・コンフェッショナル『ザ・シェイド・オブ・ポイズン・ツリーズ』

The Shade of Poison TreesThe Shade of Poison Trees
Dashboard Confessional

Vagrant 2007-10-02
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 07年発表の5枚目。ここでは原点回帰のアコースティックサウンドを展開している。とはいっても、いままでのフォーク/アコースティック路線とは根本的に違う。ワン・ライン・ドローウィングやピンバック、スライスのボーカル、ダスティン・ケンスルーらによって開拓されたインディー・アコースティックだ。そのジャンルの特徴である手作り感と、実験性にあふれている。だからさまざまなタイプの曲がある。チープなキーボードの音が素朴で安らぎに満ちた雰囲気を醸しだしている曲もあれば、ピッチの速い曲もある。アルペシオのようにパラパラと奏で、ときにはカッティングを駆使したアコースティックギターがあり、アレンジのバラエティーが豊富で実験的。まさにアコースティックの更なる可能性を追求した作品だ。
 
 歌い方も特徴的で、ときには優しくささやき、声を震わせて歌い、熱のこもった声など、曲の雰囲気にあわせいろいろと使い分けている。前作のような激しさこそないが、落ち込んでいる人を勇気づけられるような明るさに満ちている。ある種の虚無感をワン・ライン・ドローウィングがインディーアコースティックで表現したなら、彼らは、爽やかな明るさで励ましに満ちたファイトソングを表現したといえるだろう。

 個人的にはいままでのアコースティックアルバムで一番好きな作品だ。前作までは、悔しさや悲しさといった激しい感情を、全面に出していた。ここでは一歩さがり、冷静に状況をみつめている。無謀な若さだけで突っ走るのではなく、大人の落ち着きがある。

 この作品で、ひどく落ち込み、傷心な自分といったナイーブさと純粋性は失われてしまったのかもしれない。高鳴る感情を全面に出した初期衝動もない。だが物事を冷静にみつめられるようになったぶん、音楽性の幅も広がり、いろんな感情を表現できるようになった。しかもけっして枯れた円熟味はない。情熱を保持しながらも大人の階段を上っていくクリスの音楽は、いい方向に向かっている。

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