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ALL TIME LOW『NOTING PERSONAL』

ナッシング・パーソナルナッシング・パーソナル
オール・タイム・ロー

Kick Rock MUSIC 2009-07-08
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 極上のポップな作品に仕上がった09年発表のデビュー作。今作では、エレクトロポップやアメリカンポップの要素を取り入れ、一度聞いたらつい口ずさみたくなるほど、キャッチーな作品に仕上がった。だからといって限りなくノー天気で明るい作品というわけでもない。甘いポップの断片にほのかに漂う、ナイーヴさや、あきらめにも似た切なさがある。そういった意味では前作から変わっていないのだ。

 歌詞には「そんな気持ちで過ごす後悔だらけの人生」や、「こういうくだらないゲームで自制心を失っている」といった内容が目立ち、ほどんどが恋愛のことについて語られているが、そこには熱く盛り上がることに醒めた視線や、あきらめにも似た感情が支配している。彼らの表現したい世界観とは、叶うことのない夢や理想への切なさやシニカルな想い。そういった感情を表現したいのだろう。

 だがそういった想いを歌にしたバンドは、メロディックパンク界ではいなかった。しかもいままでのメロディックパンクとは、ストレスを発散させ、開放的でエネルギッシュなバンドがほとんどだった。そういった意味ではいまどきの若者のようにどこか醒めた視線が彼らにはある。そういった意味で彼らは、新世代を代表するメロディックパンクバンドなのだ。

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THE STARTING LINE『DIRECTION』

ディレクションディレクション
ザ・スターティング・ライン

EMIミュージック・ジャパン 2008-01-23
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 07年発表の3枚目。このアルバムを最後に、休止活動を宣言した。従来のメロディックパンクから、オーセンティックなアメリカンロックへ変貌を遂げた作品。いままでにないメロディーアレンジで、新境地を開いたが、パンクバンドの宿命どおり、彼らもやはり1stの初期衝動を超えることが出来なかった。

 ここでも前作同様にスピード感と勢いはない。ハードロックテイストや、民族楽器、カリプソテイストなどを取り入れ、メロディーに重点を置いている。

 もはや初恋の初期衝動やスウィートなラブソングはない。あるのは激しさのなかにある憔悴した感情と、南の島でゆっくりとしているような心地よいやすらぎ。歌詞も<ぼくはずっとひとりぼっちだった。君のいない場所で>や、<年を取っても忘れないよ、みんなで歌ったこと>とか、バンド活動に対して息詰まってしまったかのような内容が見受けられる。

 もしかしたらツアーに明け暮れる日々で、疲れきってしまい、南の島でゆっくり休みたい気持ちになったのかもしれない。あるいは自分たちのやりたいサウンドをやりつくし、方向性を見失ってしまい、バンドが息詰まってしまったのかもしれない。おそらくそれらの気持ちが、休止宣言へと結びついたのだろう。

 そんな彼らの歴史とは、光ある希望を求めバンドを始め、迷いや戸惑いが生じ、バンドを休止した。そんな青春の一ページを切り取ったバンド活動だった。

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THE STARTING LINE『BASED ON A TRUE STORY』

トゥルー・ストーリー(初回限定盤)トゥルー・ストーリー(初回限定盤)
ザ・スターティング・ライン

ユニバーサル インターナショナル 2005-05-25
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 05年発表の2枚目。前作が30万枚のヒットを記録し、その勢いのもと、メジャーデビューを飾った作品。前作よりも勢いとスピードを落とし、ギターメロディーに重点を置いた。フガジのサウンドフォーマットやバラード曲などもあり、確実にバラエティーが増えている。

 ここで表現されているのは、青春が終焉に近づいているときに感じる黄昏のような気分。それを象徴しているかのように、夕暮れ時を想起されるメロディーや、夕日に向かってやるせない気分を叫んでいるかのようなスクリームがある。

 歌詞も<ぼくらはゴールに到達、目的を達した>など、手にした成功から一歩進んだ感情を表現している。つまり名誉や金といった社会的な成功を手にいれたが、代わりにプライベートや自由な時間を失った。そういった内容を歌いたかったのだろう。ラブソングも自分の燃え盛る感情から一歩引いた視点で書かれている。
全体的に明るさのなかにかすかに漂う憂鬱さが、深い表現を勝ち取っている。彼らが大人になったのだ。

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ザ スターティング ライン『ザ・メイク・ユアセルフ・アット・ホームEP』

The Make Yourself at Home EPThe Make Yourself at Home EP
The Starting Line

Eat Sleep 2003-11-25
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 03年発表の2枚目のEP。ここでは全曲アコーティックナンバーを展開している。ワンライン・ドローウィングの影響を感じる曲もあるが、総じてメロディックパンクをベースにしたラブソングが多い。ボーカルも全力で青春の初々しさや想いを歌にぶつけるのではなく、思い出に浸るような大人びたノスタルジックな歌い方をしている。持ち前のキラキラ光るメロディーやこったアレンジはなく、肩の力を抜いた曲ばかり。アウトテイク集といった趣きが強い作品だ。

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ザ スターティング ライン『セイ・イット・ライク・ユー・ミーン・イット』

Say It Like You Mean ItSay It Like You Mean It
Starting Line

Mca 2002-07-16
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 02年に発表された1St。まぎれもなく最高傑作。前作よりも格段に演奏技術が上がった。サウンドプロダクトも飛躍的に向上しクリアーなサウンドに。まるでごつごつと尖った岩石が、川の流れによって研鑽され丸みを帯びたように、スムーズに、違和感のない作品に仕上がっている。

 とくに注目するのは歌詞。<いま、この瞬間、自分の人生を愛している。この瞬間に自分の夢をかなえている>や<僕たちがともにすごしたあの夜は、今まで生きてきた人生のどの瞬間よりも意味のあるものだ>には、刹那的ではあるが、人生に熱くなり、魂が燃え上がっているのを感じる。若さゆえの衝動や、その初々しさがすばらしい。

 そしてなによりすばらしいのが歌詞から伝わってくる感情を的確に捉えたギターメロディー。水しぶきのようにキラキラと輝き、ときには憂いを含んでいる。すべてがみずみずしくクリアーでヴィヴィット。その年代にしか味わえないときめきや、光り輝く瞬間を真空パックにしてアルバムに閉じ込めている。若さがうらやましくなる作品だ。

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ザ スターティング ライン『ウィズ・ホープス・スターティング・オーバー...』

With Hopes of Starting OverWith Hopes of Starting Over
The Starting Line

Eat Sleep 2001-07-17
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 メロディックパンクの創始者とはブリンク182。まじめにも不良にもなれないコンプレックスを抱えたごく普通の若者の気持ちを代弁した、初めてのバンドだ。明るく開放的に、アウトドアな楽しさを世間に提示し、メロディックパンクという新たなジャンルを確立させた。

 その青春のイメージを、甘酸っぱくさらに強固なものにしたのはこのバンドではないか。01年に発表されたEP。デビュー作にしてすでに彼らの個性が確立されている。安価なレコーディングで音の悪さこそ目立つが、この時点でジミーイートワールドとブリンク182の影響が強いギターメロディーに、アメリカンポップスのキャッチーな歌い方という、彼らのサウンドスタイルが確立されている。いうならエモとメロディックパンクの折衷スタイル。日本でエモとメロディックパンクの区別がつきにくい理由も、いい意味で彼らの功績があるからだろう。この作品を聴くと、まるで初恋のころの、視界に映るすべてが楽しく希望に満ち、光り輝いていたころを思い出す。一生に一度しか味わえない人生の一コマを、みごとなまでに切り取った作品だ。

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