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ウォルター・シュレイフェルズ 『アン・オープン・レター・トゥ・ザ・シーン』

An Open Letter to the SceneAn Open Letter to the Scene
Walter Schreifels

Big Scary Monsters 2010-04-26
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 10年に発売されたソロ名義のフルアルバム。ここでは前EPの延長上にあるアコースティックアルバムだが、ラフミックスだった前作よりも完成度は高い。しかもカヴァー曲がなく、すべてオリジナルの曲だ。アメリカ中部の牧歌的なフォークソングから、ボブ・ディランのような曲など、ヴァラエティーが豊富で、ウォルターらしい、ギターフレーズをいろいろといじった曲もある。

 アメリカでは往年のボーカリストがこういった形のソロアルバムを発表する機会が多いが、系譜的にも、それらのアーティストと同じ感覚でやっている。バッドレリジョンのボーカル、グレッグ・グラフィンや、ジョナ・マトランガ名義のソロ、スライスのボーカル、ダスティン・ケンスルーなどのように、自らのルーツを、再確認することが目的としたソロなのだ。

 それにしてもこの日常的で平素感が漂った世界にはビックリさせられる。クイックサンドとライバル・スクールズでは暗く内省的な世界を追及していたウォルターが、ここでは社交的で明るいサウンドを展開している。歌詞も友人や恋人などの第三者が登場し、恋人との別れや友人の死というウォルターの身近に起こった実際の出来事が語られている。とくに10曲目のOpen Letter To The Sceneでは、先日他界したNYスキンズ・ハードコアの第一人者WARZONEのレイビーズへのレクリエムが歌われている。かれが残した言葉<戦いを忘れるな!ストリートを忘れるな!セルアウトをするな!>を引用して歌われるこの曲は、ウォルターの実直な気持ちが語られている。悲しみよりもライバルを失ったことへの虚しさが漂ったこの曲は、レイビーズの功績をたたえ、ハードコア精神をいまでもリスペクトしているウォルターの心境が窺える。レイビーズが音楽業界に残した功績を胸に、セルアウトすることなくいい音楽を作っていこうとするウォルターの決意のようにも思える。

 明るいサウンドといってもけっして楽観さはない。悲しみよりも、人生への虚しさがこのアルバムを支配している。ウォルターの人生観が顕著に現れたアルバムなのだ。ウォルター好きなら、これを聴いてグッと来ない奴はいないだろう。

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