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SOCIAL DISTORTION  『live at the Roxy』

Live at the RoxyLive at the Roxy
Social Distortion

Time Bomb 1998-06-30
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 98年に発表された初のライヴアルバム。ロキシーというロサンゼルスでは伝統のあるライヴハウスで公演を収録。パンクバンドでこれほど大きな規模のライヴハウスで、3日連続で公演をはたしたのは、彼らが初めてだという。

 その充実度がこの作品では、如実に反映されている。アルバムでは人生経験をブルースやカントリーにのせ、枯れや円熟味を聴かせていたが、ここではうって変わってパンクの荒々しい演奏だ。全アルバムからまんべんなく選曲されているが、全曲、初期のころのような攻撃性に満ちている。音は厚く太くエネルギッシュで攻撃的で、激しく外に向かってアジデードしている。けっして内省的になっていない。彼らの作品のなかでどれが一番パンクかと聞かれたら、間違いなくこの作品を挙げるだろう。

 それほどアグレッシヴでいい作品だ。

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SOCIAL DISTORTION  『White Light White Heat white Trash』

"ホワイト・ライト,ホワイト・ヒート,ホワイト・ラッシュ"
ソーシャル・ディストーション

エピックレコードジャパン 1996-10-02
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 じつに4年振りとなる96年に発表された5作目。本作は、メロディック・パンクブームが終焉を迎えつつあるころに、ひっそりと届けられた。もしあと2年早く発表されていたのなら、彼らの評価も変わってきたのかもしれない。メロコアの先駆者として、いまよりもっと注目されていただろう。だがブームに乗ることをあえて避け、自分が納得をいく作品にこだわり、わが道を行くといったスタンスに、ネスの意志の固さを感じる。

 今作では、ロカビリーやブルースからの影響がなくなり、ラモーンズ直系の野太いコードギターで、典型的なアメリカン・パンクを展開している。基本的にミドルテンポの遅い曲が多いが、そこには砂煙が舞うような荒廃した重苦しい雰囲気が漂っている。無駄な贅肉を削ぎ落とし、骨組みだけのシンプルでソリッドなサウンドなため、ダイレクトに精神的な重さが伝わってくる。

 そこにこめられた想いとは、悔悛や憂い、苦悩や憔悴といった感情だ。4曲目ではI Was Wrong(私は間違っていた)と罪への告白をし、1曲目の“ディア・ラヴァー”と7曲目の“ホエン・ジ・エンジェルズ・シング”では、ネスの祖母に対するオマージュを歌っている。そこでは、解決できなかった問題や、過ちを犯した後悔について歌っている。ネスに愛情を注いでくれた祖母が亡くなったいま、彼女の期待を裏切ってしまったことに対する悔やむ想い。刑務所なんかに入らず、もっと祖母が喜んでくれるような生き方をすれば、幸せにあの世へ行けたのではないか...そんな良心の呵責に苛まれるネスの苦痛に満ちた歌声が、なんとも痛ましい。悲しみの先で悩み苦しみ煩悶した想い。何もしてあげられなかったことに対する後悔。そして憔悴しきった姿。まさに親のありがたさは死んでから気づくとはこのことであり、本当の愛の意味を知るものだけが感じることの出来ない心の痛みなのだ。

 ぼくはこの作品を聴いて気が滅入るほど重苦しい気持ちに苛まれた。事実、英語圏の人たちに言わせれば、聴くと立ち直れなくなる人もいるという。このアルバムを最高傑作とする意見も多い。

なお『メインライナー』にも収録されていたローリングストーンズのカバー、“アンダー・マイ・サム”のソリッド・ヴァージョンを再録。アメリカ社会の歴史を痛烈に批判した名曲“ドラッグ・ミー・ダウン”も収録されている。

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ソーシャル・ディストーション 『ホウェアー・ビトゥウィーン・ヘヴン・アンド・ヘル』

Somewhere Between Heaven & HellSomewhere Between Heaven & Hell
Social Distortion

Sony 1992-02-15
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 天国と地獄の中間にあるどこかと名付けられた92年発表の4作目。パンクよりも、ロカビリーRやブルース色が強くなった。前作ほどカラっとした爽快感やカントリーぽさは、ない。砂ぼこりが舞う、木造でできた場末の酒場のような土臭いブルースのようなサウンドだ。

 おそらく本人たちの意図としては、60年代の素晴らしいあのころの音楽を、ただ純粋に好きだからやりたかったのだろう。だから今回は、ハンク・ウイリアムズの“アローン・アンド・フォーセイクン”をカバーし、“99・トゥ・ライフ”からは、ジョニー・キャッシュへの多大なリスペクトが窺える。

 歌詞も、悪運に取り付かれギャンブルでいつも勝てない“バッド・ラック”や、親から他人から蔑まれ、不良で愚かな自分を歌った“キング・オブ・ブルース”、分かれた彼女のことを今でも想っている“メイキング・ビリーヴ”など、不運で自嘲的な内容が多い。だが心の痛みや情けなさを見せない。本当の気持ちをクールに突き放した姿勢がある。まるでむかしのブルースのようにクールにカッコよくキメている。

 だがこの作品はすごく好みが分かれると思う。なぜならアメリカ中部という土地柄のアクが強いサウンドが前面に出ているからだ。やさぐれた男臭さと、荒々しい感じのするサザンロックを好むひとにとっては、おそらく最高傑作に思えるかもしれない。だが西海岸のようなカラっとしたサウンドが好きなぼくからすれば、少々聴きづらさを感じた。

 ともあれ、いままでのソーシャル・ディストーションのなかでは、最も右に位置する作品だ。

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ソーシャル・ディストーション

Social DistortionSocial Distortion
Social Distortion

Sony 1990-03-31
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 90年に発表された3枚目。メジャーデビュー作。当時パンク界では異例の50万枚のセールスを記録したそうだ。といっても彼らのスタンスやサウンド路線は、メジャーに行ってもなんら変らない。むしろ移籍したことによって、レコーディング環境がよくなり、音のクオリティーが格段上がった。

 今作ではロカビリーやカントリー、ブルースなどのオールドミュージックをさらに掘り下げた作品だ。パンクの攻撃的な曲もあるが、勢いよりもゆるさを重視している。そこには重苦しさや緊張感はない。あるのは西海岸のバンド特有のルーズとカラっとしたサウンドだ。まるで心の傷口を乾いた風が心地よく吹き抜けるような爽やさ。辛い仕事をやりとげたあとに訪れる爽やかな一時にも似ている。

 いままで苛酷な人生を送ってきた。だから少しくらいのどかなひと時があってもいいのではないか。そんな想いがひしひしと伝わってくる。今作も前作と同様に、ネスのリアルな人間性がにじみ出ている。

 だれもが一度は経験するごく平凡な日常を歌った名曲、“ストーリー・オブ・マイ・ライフ”がこの作品に収録されている。

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ソーシャル・ディストーション 『プリズン・バウンド』

Prision BoundPrision Bound
Social Distortion

Time Bomb 2009-01-20
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 88年に発表された2枚目のアルバム。前作からじつに5年もの歳月が経っている。85年から2年間ほどマイク・ネスは、麻薬の常習癖がエスカレートし、たびたび刑務所に収監されたり、麻薬リハビリセンターで過酷な人生を送っていたいう。ソーシャルディストーションは解散状態にあったそうだ。ネスの出所後、ギター、ダネルの誘いにより、ソーシャル・ディストーションが復活したという。

 ここで歌われているのは、刑務所での苛酷な日々の思い出や、自由気ままに生きすぎたゆえの代償、犯罪を犯し蔑まれた日々への屈辱や怒りなどだ。社会への反逆心がさらに増し、すさんだ気持ちと、苦悩のふちでのた打ち回っているような重苦しい空気が、アルバムを支配している。そこには地獄の底から必ず這いやがってやると、強い決意が窺える。そう音楽に希望を求めて。

 基本的にはカーボーイソングやカントリーなどをベースとしたアメリカン・テイストのパンクロックだ。3コードのシンプルなサウンドなのだが、それにしてもすごいのは、やはり歌詞と、人生経験が反映されたサウンドの緊迫感にある。とくに2曲目の“インドウジェンス”では、自業自得で犯した罪への意識が、切迫感と悲しみを帯びたメロディーにして表現している。アルバムを聴き終えたあとに、襲い掛かってくる目眩のするほど憂鬱さ。そんな気持ちにさせるアーティストは、ソーシャル・ディストーション以外ありえないのだ。

 彼らは自らの人生観を、音楽というツールを使って、巧みにウェットな情感まで伝えるミュージシャンなのだ。まさにリアル・パンクといえるだろう。ソーシャル・ディストーションのパンクとは、まさ自分自身といえるだろう。そんな濃い経験をしてきたアーティストはほかにいない。

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ソーシャル・ディストーション 『マミーズ・リトル・モンスター』

Mommy's Little MonsterMommy's Little Monster
Social Distortion

Time Bomb 1995-07-18
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 83年に発表されたデビューアルバム。このアルバムが発表される前年にはマイナー・スレットらとアメリカツアーを敢行したそうだ。その勢いのもと作られた本作は、R&Bやロックンロール色の強いハードコアパンクに仕上がった。本人たちはジョニーキャッシュとクラッシュの間をいくサウンドを意識したらしいが、ここではローリング・ストーンズを暴力的に解釈し、ひどく攻撃的にしたような音に聴こえる。オリジナルティーが乏しかった前EPと比べると、声に張りがあり、メロディーも深みを増している。前EPを確実に深化させたアルバムなのだ。

 前作と引き続き歌詞も、道徳的な権威やアンチファッションなど世間や体制、流行などを否定した反逆的な内容が並ぶ。破壊衝動と反逆心に怒りを加えた王道のパンク作品といえるだろう。

 これを聴くと初期のソーシャルディストーションって、本当に尖っていたのだなと感じた。人生観でサウンドを聴かせる現在と比べると、自分の気持ちをストレートに表現するという姿勢は変わっていないが、アグレッシヴさや攻撃性といった部分では決定的に違う。後追いのぼくとしてはビックリさせられた作品だ。

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ソーシャル・ディストーション 『メインライナー』

MainlinerMainliner
Social Distortion

Time Bomb 2009-01-20
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 82年に発表されたデビューシングル『1945』と83年の2nd『アナザー・ステイト・オブ・マインド』を合わせ、95年に発売された初期のベスト。ソーシャル・ディストーションとは、セックスピストルズの初期パンクと、ジャームスなどのアメリカン・ハードコアに触発され活動を始めたバンドだ。当時、アドルセンツやT.S.O.L、エージェント・オレンジなどと共に、オレンジ・カウンティーのハードコア・シーンの中核を担っていたバンドで、体育会系とスキンズが入り乱れるヴァイオレントなシーンから誕生したのだ。

 当時のオレンジカウンティーのシーンとは、典型的なハードコア・サウンドというバンドは少なく、憂いを帯びたメロディーのバンドが多かったようだ。スタイルも半ズボンを履いたバンドから、優等生にも不良にもなれない中途半端な存在のバンド、ホラーテイストのバンドなど、個性的で自由な雰囲気があった。

 ソーシャル・ティストーションは、ヴィジュアル面ではダムドの影響を受け、反社会的な内容の歌詞を歌い、典型的な不良の匂いのするバンドだった。いまだ80年代のハードコア・シーンから活動を続けているバンドで、人気を維持しているのは、バッド・レリジョンとソーシャル・ディストーションくらいだろう。ブームに左右されることなく、影響力を発揮し続けているバンドなのだ。

 ここに納めされている作品は、ジャームスとブラック・ブラックの分厚いギターに、鋭利なメロディーを加え、ジョー・ストラマーのボーカルを加えたようなサウンドだ。この時点ではまだゴリゴリのハードコアサウンド。まだ高校生のときに作られた作品だそうだが、不穏な空気とともに怒りが音の塊となって襲い掛かってくるサウンドは、迫力がある。怒りと衝動に満ちた純粋なパンクアルバムといえる作品だ。

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Greg Graffin 『Cold as the Clay』

コールド・アズ・ザ・クレイコールド・アズ・ザ・クレイ
グレッグ・グラフィン

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2006-07-12
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 06年に発表された1Stソロアルバム。アメリカン・リージョン名義で発表された前作のソロは、バッド・レリジョンの原型となる曲を集めた作品だった。このアルバムでは、新たに作られた曲に、カバー曲の半数を合わせた。かなり力を入れ本格的に仕上がった作品だ。

 コンセプトは古きよきアメリカの郷愁と憧憬。昔のレコーディングスタイルと、古い楽器を使い、18世紀から19世紀にかけての当時の雰囲気を忠実に再現し、アメリカ文化を形成するのに一役買ったトラッド・ソングをカバーしている。現在も歌い継がれている古い昔の歌が、複雑になった現代の暮らしの中で、牧歌的な憧れを抱かせてくれることを目的として作られたそうだ。

 サウンドは典型的なノスタルジック路線だ。バンジョーを中心としたフォークソングから、西部劇をイメージさせるカントリーなど、トラディショナルなオールタイムミュージックでしめられている。グレッグ自身が10代のころの多感な時期に影響を受けたミュージシャンをカバーしたというよりも、幼いころ聴いたり、歌った曲――潜在意識の根底にあるものをアウトプットしたようだ。

 ここでグレッグが見せている顔は、フィクションという第三の顔だ。バッド・レリジョンでは直截的な言葉で自らの主義や主張を述べてきた。アメリカン・リージョンではパーソナルな部分を初めて見せた。ここでは、古きよきアメリカの麦畑の風景や、幼いころの思い出(怒りの葡萄のような話)という物語を借りて、自らの想いを淡々と語っている。

 これを聴いていると何がグレッグをパンクへと駆り立てて行ったのか理解できる。そこには大企業を優遇し何もしてくれない政府への怒りや、祈っても幸せにしてくれないキリスト教への不信など、幼いころに経験した矛盾や境遇が現在の反逆心へとつながっているのだ。

 歌詞サウンドともにこれまでになく、新しい新境地に挑んだ作品だ。個人的には、古きよきアメリカの知らない音楽を知ることが出来たし、グレッグの新しい一面を知ることも出来た。なによりセピア色に染まった古いアメリカの写真のような、このアルバムの世界観がとても好きだ。

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アメリカン・リージョン(exバッド・レリジョン、グレッグ・グラフィン、ソロ)

American LesionAmerican Lesion
American Lesion

Atlantic / Wea 1997-11-04
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 98年にアメリカンリージョン名義で発表されたバッド・レリジョンのボーカル、グレッグ・グラフィンのソロ。激しく速いバッド・レリジョンとは違い、ここではピアノを中心とした上品なジャズや、牧歌的なアコースティックを展開している。グレッグのボーカルもハイテンションな激しさから、情緒的で物静かな歌い方に変わった。社会的な批判を歌ったバッド・レリジョンとは違い、グレッグの日常を歌った内容に変化している。そのため教条性や思想性はなくなり、哀愁や感傷がアルバム全体を支配している。どうやらグレッグが離婚を経験したときに書かれた曲らしいが、そこには辛さや悲しさなどを経験してきた大人だけが感じ取ることの出来る、枯れた円熟味がある。
 
 ここに収録されているのは、典型的なルーツミュージックへの回帰。本来グレッグは、ハードコアよりも、ユートピアのころのトッド・ラングレンや、エルヴィス・コステロが好きだという。だからさほど驚くべきことではないし、理解も出来る。

 ただバッド・レリジョンでは出来ない方向性の曲を作ったというよりも、グレッグが作った原曲をそのまま提示したという感じだ。『グレイ・レース』に収められている“シーズ”のリメイクを聴けばわかるが、激しいギターとスピード感がなくなり、メロディーはピアノに変化しているが、旋律や歌い方は変わっていない。メッセージに比重を置き、さらに哀愁が増している。

 グレッグ自身、バッド・レリジョンの原曲をピアノで作っている曲というが、この“シーズ”がまさにその典型なのだろう。

 この作品でバッド・レリジョンの原型も理解できるし、今まで見せたことのなかったグレッグ・グレフィンの素顔やプライヴェートな一面も、容易に想像することもできる。
 バッド・レリジョンとは、またのべつの魅力が詰まった作品だ。

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THE HIGHER 『IT'S ONLY NATURAL』

イッツ・オンリー・ナチュラル(期間生産限定盤)イッツ・オンリー・ナチュラル(期間生産限定盤)
ザ・ハイアー

SMJ 2009-06-17
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 09年発表の3作目。これが劇的に変わった。もはやエモからの影響はない。R&Bやファンクなど黒人音楽を、アメリカンロックに消化した。前作の面影を感じるのは、ボーカルがハイテンションに歌い上げるボーカルスタイルくらいか。そのほかには最近流行のデジタル・エモの曲などもある。

 こういったサウンドアプローチのバンドは、メロディクパンク界ではいくつかいる。でもそのあたりのバンドと比べると、アホみたいに明るいだけでもなければ、子供じみてもいない。けっして悪い意味でなく気どった部分がある。西部劇に出てくる場末の酒場のようなノスタルジックな要素を、うまいこと現代風にアレンジしている。そのあたりが、R&Bやファンクをそのまま取り入れているほかのバンドとの違いだろう。

 レトロでもなければ現代風でもない独特なメロディーと、明るすぎず暗くないこのサウンドは、ぼくは結構楽しめた。

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