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ENTER SHIKARI 『COMMON DREADS』

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エンター・シカリ

ホステス 2009-06-24
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09年に発表された2nd。前作と比べると格段に進化遂げ、ものすごくいい作品にしあがっている。もはやユーロビートなどの大衆音楽からの影響はない。2ビートのハードコアからノイズ、賛美歌のコーラス、コントロールを失い暴走したシンセ、扇情的に煽るデジタル音など、いろいろな要素を取り入れている。

べつにいろいろな要素取り入れればいいという訳ではない。だが彼らの素晴らしいのは、すべてがラディカルで攻撃的で荒々しいところにある。前作で売れたのにも関わらず、あえて大衆受けしないアンダーグラウンドミュージックを追求している。

もはやメタル+ユーロビートとは言わせないオリジナルティーのあるサウンドで、過激に暴走していく攻撃性がすばらしい。

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ENTER SHIKARI  『Take To The Skies』

テイク・トゥ・ザ・スカイズ(DVD付)テイク・トゥ・ザ・スカイズ(DVD付)
エンター・シカリ

Hostess Entertainment 2007-03-14
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イギリスはロンドン出身のデス・メタルにダンスミュージックを合わせたヘヴィーバンドの07年に発表されたデビュー作。

ヘヴィネスにデジタル・サウンドを取り入れたバンドといえば、25年以上前にミニストリーやビッグ・ブラックなどがいるし、けっして目新しいサウンドとはいえない。

だが小室音楽の代表格であるTRFやジュリアナ東京などのディスコミュージックと、デスメタルを合わせたバンドは初めてではないか。20年以上前は、都会的なスノッブなものに対して、パンク、メタルの両シーンとも偏見と差別があった。だから大衆受けしている流行りものと、アンダーグラウンドミュージックを掛け合わせるといった発想自体ありえなかった。

なんの偏見や時代背景を知らないいまどきの若者だから、当時メインストリームであったディスコとアンダーグランドのデス・メタルを融合させることができたのかもしれない。そう時代によってパンク的モラルや価値観は転換する。その具体例を示した典型的なバンドといえるだろう。

シンセの音以外は肉体的なロックサウンドが中心。激しいサウンドだが、けっして怨念に満ちていたり、攻撃的ではない。ディスコのように激しく踊ってすることが目的とされている。そのためにデス声を加味し、迫力を増長させた、といえるだろう。音楽に対して深刻さを求めない人にはうってつけの作品だ。

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VALENCIA 『This Could Be a Possibility 』

ディス・クッド・ビー・ア・ポッシビリティーディス・クッド・ビー・ア・ポッシビリティー
バレンシア

Kick Rock MUSIC 2006-04-19
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08年に発表されたメロディック・パンク・バンドの2作目。ライナーで山口智男さんが書かれていたとおり、一生懸命がんばれば、夢はかなうといった姿勢と、固い決意で力強く前へ踏みだそうとするひた向きな情熱が、彼らの個性だろう。

そんな彼らのサウンドとは、ブリンク182とスターティング・ラインに、イエローカードを合わせ、そこにスライドギターやアメリカンポップスを加え、進化させたメロディック・パンク。前作と比べるとほかの音楽も徹底的に研究しているし、とても勉強熱心な姿勢が窺える。ハードな音楽からの影響も少し窺えるが、その要素をポップにソフィスケートする能力が素晴らしい。

そこに漂う雰囲気とは、冬の透明透き通った空気のなか、沈む夕日を眺めて、一縷の希望を信じるような透明さ。そう彼らだって人生がそんなに甘くないことは知っている。それでもただ純粋にメロディックパンクが好きだから、やり続けるしかないのだ。

その純粋さがキラキラと輝いていて、美しい作品だ。

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QUIETDRIVE

QUIETDRIVEQUIETDRIVE
クワイエットドライブ

TWILIGHT RECORDS 2010-12-08
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10年に発表された3作目。自らのバンド名を冠したアルバムだけに、過去の集約ともいえる内容だ。2作目の日の出のような明るく高みに昇っていくメロディーと海に向かって吼えるような熱いボーカルに、メロディックパンクの荒々しいギターコードを加えたサウンドだ。

それだけではなく、今作では新しい試みもある。女性ボーカルの掛け合いや、キーボーとアコースティックを使ったビューティフル・ソングなどもある。明るさから切なさ一歩引いた冷静さなど、多面的な感情が支配している。

もはや細やかなギターで、ギラギラした派手さと若さを表現するといった初期衝動は薄れた。変わりにルーズさとほかのジャンルの音楽を取り入れることで、多面的な感情を表現する手法を手に入れた。人間的成長を感じさせる円熟味を増した作品だ。

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NEW FOUND GLORY & DASHBOARD CONFESSIONAL SPRIT EP/ニュー・ファウンド・グローリ&ダッシュボード・コンフェッショナル 『スプリットEP』

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 10年に発表されたダッシュボード・コンフェッショナルとニュー・ファウンド・グローリーによる7EPスプリット。限定2500枚の発売。エモとメロディックパンクという微妙に立場が異なり、仲が悪そうなジャンルのバンドたちによるスプリットだが、実現したのは両者ともフロリダの出身だから。どこの国でも、地元意識は強いのだ。

 その内容は、お互いの曲をカヴァーしあっている。ニュー・ファウンド・グローリーは、ダッシュボード・コンフェッショナルのアコースティックナンバーをロック・バージョンにカヴァー。クリス・ギャラハーの心の痛みを耐えながらも前へ進んでいくような熱い歌声を、スクリームとデス声に代え、気合の入ったアレンジでカヴァーしている。対するダッシュボード・コンフェッショナルは、チープなキーボードとリズムマシーンを使ったインディーアコースティックにアレンジ。その情景は、まるで星空に散りばめられた夜空を見ているような爽やかさ。

 自分の個性を貫いたニューファンド・グローリーと、実験的で新しい試みが多くみられるダッシュボード・コンフェッショナル。どちらのファンも楽しめるし、両者ともポップでいい曲がそろっている。限定盤にするにはもったいない内容だ。
                  くわしくはここ

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リーチ・ザ・スカイ  『ソー・ファー・フロム・ホーム』

So Far From HomeSo Far From Home
Reach The Sky

Victory Records 1999-10-05
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 惜しまれながら03年に解散した、ボストン出身のハードコアバンドの99年に発表された1STアルバム。そのサウンドは、ゴリラ・ビスケッツの重いエッヂのギターに、シック・オブ・イット・オールの気合を加えたハードコア。ゴリラ・ビスケッツやCIVなどと同様のポジティヴな思想のハードコアだ。

 だからといってゴリラ・ビスケッツのような明るさはない。どちらかといえば、家や内面世界に閉じこもってないで外に出て行動しろと喚起したり、過去の思い出よりもつらい現在のほうが重要といった考えや、絶望や孤立を恐れない自己啓発的な内容が多い。苛酷な現状を正確に捉え、それでもアグレッシヴで闘争的に前へ向かっていくポジティヴさだ。

このバンドの好感が持てるところは、歌詞カードにあるサンクスリストだ。そこにはコンヴァージやドロップキックなどの地元バンドとの深い絆や、アナザー・ヴィクティム、マッド・ボールなどの名前があり、東海岸ハードコアコミュニティーを大切にしている姿勢が窺える。

社会問題にも積極的に取り組み、児童虐待をうけている子供たちを支援し、なお救援団体のボランティアにも参加しているそうだ。まさにストレートエッヂや、ヴィーガン、ポジティヴ・メンタル・アティチュードなどの、まじめな思想を生んだ東海岸のハードコアバンドらしい活動といえるだろう。

 なお、メンバーは現在、ライズアゲインストのメンバーや、ドロップ・キック・マーフィーズのスタッフで活躍している。

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COBRA STARSHIP  『HOTMESS』

ホット・メス(初回限定ハッピー・プライス盤)ホット・メス(初回限定ハッピー・プライス盤)
コブラ・スターシップ B.o.B フロー・ライダー レイトン・ミースター

ワーナーミュージック・ジャパン 2009-11-25
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 エモバンド、ミッドタウンの元ボーカル、ケイブ・サポータが結成したニューヨーク出身のディスコ・エモバンド。09年に発表された3作目。アメリカでは全米ビルボードチャートで7位を獲得するなど、かなり人気があるようだ。

 基本的には、90年代のディスコサウンドを取り入れたバンドだが、メトロ・ステーションやワッチアウト!ゼアズ・ゴーストズなどのバンドと比べると、けっこういろんなことをやっている。メロディックパンクにデジタルをのせた曲から、チアガールの応援歌みたいな曲、アフリカのシャーマンのトライバルなリズム、ディスコファンクなど、特定のジャンルにとらわれることなく、幅広くやっている。そこにはカラフルで幻想的。カクテル片手にマンハッタンの夜景を楽しむような、洒落た都会のクールさがある。それがこのバンドの魅力だろう。

 パソコンで曲づくりをし、機械的だった前作と比べると、ロックの肉体性が加わり、生身の息遣いが感じられるバンドサウンドに仕上がった。前作を踏まえて、違った要素を取り入れ、確実に進化しているところも、このバンドの魅力のひとつ。

 なおゴダイゴの“モンキーマジック”の英語ヴァージョンのカバーが、日本盤のボーナストラックとして収められている。この曲は、78年に放送された日本のテレビ番組、西遊記のテーマソングとして知られる曲で有名だ。その“モンキー・マジック”がファンク・ビートでカヴァーされていて、洒落っ気があっていい。いい曲は邦洋問わず関係なくカヴァーしている。その柔軟性と遊び心がある姿勢がなんとも好感が持てる。

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SOCIAL DISTORTION 『HARD TIMES AND NURSERY RHYMES』

ハード・タイムズ・アンド・ナーサリー・ライムスハード・タイムズ・アンド・ナーサリー・ライムス
ソーシャル・ディストーション

SMJ 2011-01-19
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 エピタフへ移籍し、11年に発表された7作目。前作からじつに7年もの歳月が経っている。本来は07年に発売される予定だったそうだ。ここまで製作が長引いた理由には、もうスローペースでアルバムを発表していこうという意識が働いての結果だろう。その間、過去の名曲をリメイクした『グレイテスト・ヒッツ』の発売や、ベースとドラムの脱退もあったが、ネスの人生観を転換させられるような出来事は起こっていない。

 今作では、3作前のアルバム『サムホウェアー・ビトウィーン・ヘヴン・アンド・ヘル』のような、アメリカ、ルーツ・ミュージックを意識して作られた作品だそうだ。でもカントリーやロカビリーの要素が強かった『ヘヴン・アンド・ヘル』とは違い、女性のゴズペル・コーラスや、ローリング・ストーンズ直系の70年代の猥雑なオルディーズ、ニューヨーク・ニューヨークなどの要素を取り入れている。いままでとは違った系統のルーツミュージックを取り入れ、ロックのゴージャスさや爽やかさをブレンドした作風に仕上がっている。

 しかしこれだけ、哀愁を出したアルバムも初めてではないか。そこにはアメリカミュージックのアクの強さや、エネルギッシュさはない。あるのは枯れた円熟味や、明るさの裏側にある切なさと、爽やかな優しさ。そんな感情がアルバムを支配している。個人的には、この作品では、ネスの人生の総まとめに入っているような印象を受けた。とくに11曲目“スティル・アライヴ”(まだ生きている)では、刑務所から出所して、お前は終わった人間だと烙印を押され、そこから奮起したネスの半生について振り返っている。

 そこで、描かれているネスの心情とは、自分の人生が終わるその日まで、プライドも恥も外聞も捨て、ただ好きなロックを純粋に楽しもうという決意。残された人生のカウントダウンが始まり、残された時間のなかで何が出来るのか、やれることは何でも試してみたい。けっして夢が叶わなくても悔いの残らない人生にするために、とくかく走り続けようじゃないか。そんな人生の終わりを意識した様子は、晴れやかでもあるが、どことなく寂しく切ない。

 個人的には、とがったパンクの彼らが好きだが、これはこれでいい作品だ。切なく優しくなったといっても、深すぎる人生経験を経たネスにしか出せないサウンドだ。感動できるし、今回もまた自分の人生について考えさせられた。

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SOCIAL DISTORTION  『Sex,Love and Rock'n' Roll』

セックス・ラヴ・アンド・ロックン・ロールセックス・ラヴ・アンド・ロックン・ロール
ソーシャル・ディストーション

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2004-12-01
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 04年に発表された6作目。前作からじつに8年もの月日が経っている。その間ネスのソロアルバムも発表されたが、これだけリリースが長引いた理由は、ギタリストのデニスが亡くなったからだ。ネスの幼馴染にして、高校時代をともにすごした仲。最初にソーシャル・ディストーションを結成しようと声をかけた大親友でもあるのだ。本来はソロアルバム発表後、すぐにソーシャルディストーションの新作に取り掛かる予定だったそうだ。突然起こったハプニングによって、ネスは悲しみに明け暮れ、しばらくのあいだ立ち直れなかったという。

 そんなデニスの死を乗り越え発表されたアルバムは、前作と同じ路線のローリングストーンズやラモーンズをベースにしたパンクサウンド。だが前作の重い暗さとはうって変わって、カラっと明るいサウンドに仕上がっている。爽やかでポジティヴなエナジーに満ち、じっくり聴かせるロマンティックなバラードが多い。全作品のなかで、いちばんポップな作品に仕上がっている。

 だがそこには悩みが吹っ切れたときのような明るさと、決意がある。とくにデニスについて歌った3曲目の“ドンド・テイク・ミー・グランデット”では、ビール片手にデニスと線路を歩きながら語り合った話や、ケンカをしたことなど、楽しかった思い出を延々と語っている。本来ならデニスが死んで悲しいはずだ。だが悲しみについては、全くていいほど触れていない。

 あえて悲しい歌を歌わなかった理由は、デニスの死というネガティヴな状況を、前向きに捉え、バンドで表現していこうと考えたからだ。後述のインタビューでネスは、こう発言している。デニスが死んだとき、ソーシャル・ディストーションを解散して、ソロ活動に専念しようと思った。でも仮にデニスの代わりに俺が死んでいたとするなら、彼にバンドを続けてほしいと思った。だからデニスの名誉のために、バンドを続けようとネスは考え直したそうだ。結局、悲しみにいつまでも浸っていては生きていけない。だからその痛みと悲しみをありったけ受け入れ、デニスの存在を胸に刻み込み、いつまでも忘れず生きていくしかない。

 個人的にはこの作品がソーシャル・ディストーションの最高傑作だと思う。なぜなら悲しみを乗り越え、その先にある感情を表現しているからだ。ぼくが感動したのは、この作品でデニスの死に対して悲しみはいっさい語られてないところ。本来なら、切ないメロディーで、悲しみについて歌ったほうが、ファンの理解と感動を生むのかもしれない。だがあえて悲しみを語らず、明るく前向きな気持ちになることによって、より深い感情を獲得している。

 人生経験の浅いぼくは、立ち直れないくらいの絶望的な悲しみを味わったことがない。100%ネスの気持ちを理解したといったら、ウソになる。だがそんなぼくでも、親友が死んだときの心境を想像できる。一番大切な人が死ぬということは、結局のところ、その人と楽しかった思い出があるから悲しく感じるのだろう。親友の死を受け入れるということは、痛みや悲しみといった感情を抱くことではない。自分の人生を有意義なものにしてくれたその人と、出会えてよかったと思うことが大切なのだ。だから悲しむより、楽しかった思い出を心に刻み込み、その存在を忘れないことが、本当の意味での供養になるのだろう。

 安っぽいペシミズムが乱売されている音楽業界で、悲しみよりも、楽しかった思い出をリアルに語るネスの言動は、信用できるし、感動できる。ネスの誠意に満ちた人柄が伝わってくるのだ。まさに学ぶべきところが多いリアル・パンクだ。これを聴いて感動できないやつは、本当の意味での悲しさを理解できない哀れな人だ。

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マイク・ネス 『チーティング・アット・ソリティア』

Cheating at SolitaireCheating at Solitaire
Mike Ness

Time Bomb 1999-04-13
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 99年に発表されたソーシャル・ディストーションのボーカル、マイク・ネスの、初のソロアルバム。ソーシャル・ディストーションの前ライブアルバムがパンクという攻撃性やリベラルに振れたのなら、今作は徹底的にルーツを追求している。ロックでパンクな曲はひとつもない。あるのはオールディーズとカーボーイスタイルのカントリー。50年代のアメリカの郷愁をイメージさせるノスタルジーな味わいだ。

 アルバムの半数近くは、ボブ・ディランやハンク・ウイリアムズなどのカヴァー曲だ。ソロ名義で発表するからには、パンクやロックから離れたかったのだろう。だから徹底的にカントリーを追及している。普段やれないことをやるのが、ソロ名義で発表する意味だったのだろう。

 サウンドもさることながら、歌詞も、そこにあるのは、過去を懐かしむような郷愁と、むかしの出来事を綴った、堕落と後悔に見舞われた自叙伝だ。自らの半生を振り返っている。10曲目の“ドープ・フィンード・ブルース”では、自らの麻薬体験を語り、隔離施設や刑務所に入獄したときの辛い想いを歌い、7曲目の“チーティング・アット・ソリティア”では、怒りや勇気に任せて臆病な自分を強気な人物だと偽り、孤独な自分を誤魔化していたと赤裸々に告白している。そして11曲目の“バラッド・オブ・ロンリー・マン”では、何一つ自分の意志で決められず、悪の道に走り、一度きりの愛を失った孤独な自分について歌い、自らの弱さをさらけ出している。依然こんな話を聞いたことがある。殴られるよりも、殴ったほうが心に痛みが残るという。それは、周りから恐れられ、誰も本音で接してくれず、心の許せる友達が一人もいないから。誰も相手にしてくれず、孤独という意味で、心に痛みが残るのだろう。おそらくマイク・ネスも元ドラック常習者として、周りから恐れられ、一人ぼっちで惨めな想いを経験しているのだろう。そういう心境を味わっているから、素直に弱さをさらけ出したのかもしれない。

 ソーシャル・ディストーションの魅力である激しさと緊張感は、ここにはないし、カタルシスもない。その深い落ち着きと枯れた円熟味に物足りなさを感じる人もいるかもしれない。だがぼくはこの作品がすきだ。聴いたあとに深いため息をつきたくなるような過去の教訓と内省がいい。深くずっしりと考えさせられる。心にしみる深い味わいのある作品だ。
 
 なおこの作品には、ゲストにブルース・スプリングティーンや、ブライアンセッツァーなど、往年のビックアーティストがレコーディングに参加している。


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