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マイク・ネス 『チーティング・アット・ソリティア』

Cheating at SolitaireCheating at Solitaire
Mike Ness

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 99年に発表されたソーシャル・ディストーションのボーカル、マイク・ネスの、初のソロアルバム。ソーシャル・ディストーションの前ライブアルバムがパンクという攻撃性やリベラルに振れたのなら、今作は徹底的にルーツを追求している。ロックでパンクな曲はひとつもない。あるのはオールディーズとカーボーイスタイルのカントリー。50年代のアメリカの郷愁をイメージさせるノスタルジーな味わいだ。

 アルバムの半数近くは、ボブ・ディランやハンク・ウイリアムズなどのカヴァー曲だ。ソロ名義で発表するからには、パンクやロックから離れたかったのだろう。だから徹底的にカントリーを追及している。普段やれないことをやるのが、ソロ名義で発表する意味だったのだろう。

 サウンドもさることながら、歌詞も、そこにあるのは、過去を懐かしむような郷愁と、むかしの出来事を綴った、堕落と後悔に見舞われた自叙伝だ。自らの半生を振り返っている。10曲目の“ドープ・フィンード・ブルース”では、自らの麻薬体験を語り、隔離施設や刑務所に入獄したときの辛い想いを歌い、7曲目の“チーティング・アット・ソリティア”では、怒りや勇気に任せて臆病な自分を強気な人物だと偽り、孤独な自分を誤魔化していたと赤裸々に告白している。そして11曲目の“バラッド・オブ・ロンリー・マン”では、何一つ自分の意志で決められず、悪の道に走り、一度きりの愛を失った孤独な自分について歌い、自らの弱さをさらけ出している。依然こんな話を聞いたことがある。殴られるよりも、殴ったほうが心に痛みが残るという。それは、周りから恐れられ、誰も本音で接してくれず、心の許せる友達が一人もいないから。誰も相手にしてくれず、孤独という意味で、心に痛みが残るのだろう。おそらくマイク・ネスも元ドラック常習者として、周りから恐れられ、一人ぼっちで惨めな想いを経験しているのだろう。そういう心境を味わっているから、素直に弱さをさらけ出したのかもしれない。

 ソーシャル・ディストーションの魅力である激しさと緊張感は、ここにはないし、カタルシスもない。その深い落ち着きと枯れた円熟味に物足りなさを感じる人もいるかもしれない。だがぼくはこの作品がすきだ。聴いたあとに深いため息をつきたくなるような過去の教訓と内省がいい。深くずっしりと考えさせられる。心にしみる深い味わいのある作品だ。
 
 なおこの作品には、ゲストにブルース・スプリングティーンや、ブライアンセッツァーなど、往年のビックアーティストがレコーディングに参加している。


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