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paramore 『Riot』

ライオット!ライオット!
パラモア

ワーナーミュージック・ジャパン 2007-09-05
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 07年に発表された2枚目。タイトル『ライオット』が示すとおり、暴動を示唆するような内容に仕上がっている。個人的にはこの作品を最高傑作に挙げたい。なぜならやや単調気味だった前作と比べると、ヴァラエティーが富んでいるから。初期パンクからエモ、ロカビリー、リヒューズド直系のハードコアなど、パンク系のジャンルに焦点を当て、荒々しい作品になっている。

 でもこの作品の魅力はそれだけではない。初期パンクのような刹那的な勢いと衝動に満ちている。とくに歌詞がすごい。今回も一人称でわたしの気持ちが中心だが、あくまでも強気。自分の気持ちを理解してくれなくても、わたしは成功してみせるとか、あきらめない、戦いの末勝ち取るなどの、自己啓発しているような内容が目立つ。そこに悲観的な要素はまったくない。悲しみや傷心をすべて捨て、いま一瞬のため楽しく生きてやると、線香花火のような輝きを放っている。すべてが現在進行形でアグレッシブ。まさにネガティヴな自分に対する暴動といえるだろう。

 このアルバムを発表したあとの日本公演では、熱狂的な女性ファンが多かった。おそらくボーカル、ヘイリーが歌う歌詞には、女性が共感し、ひきつける内容が多いのだろう。肉食系で硬派な女性の理想像であり、カリスマでもある。そんな彼女の魅力を詰め込んだ作品だ。

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paramore 『all we know is falling』

オール・ウィ・ノウ・イズ・フォーリングオール・ウィ・ノウ・イズ・フォーリング
パラモア

ワーナーミュージック・ジャパン 2009-06-24
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 05年に発表されたテネシー州出身のメロディックパンクのデビュー作。当時、弱冠16歳だった女性ボーカル、ヘイリーを中心に04年に結成。前世代のメロディックパンクでは、ダンスホール・クラシャーズやノー・ダウトなどの女性ボーカルバンドがいたし、最近ではアヴリル・ラヴィーンなどのアイドル性をもったミュージシャンもいる。だからけっして女性ボーカルのバンドが珍しいわけではない。

 だがパラモアが新しかったところは、エモなどの野太いギターサウンドに、U2、キュアーなどネオ・サイケなどの要素を取り入れ、陰影に富んだサウンドを展開しているからだ。パンクの荒々しさと、わたしの気持ちを理解してくれない大人や彼に対するすれ違いや、憂い、悲しみ、倦怠などといった感情を歌い、表現した意味では、10代の鬱屈した感情を抱えた肉食系の女性たちの共感を得たのではないか。そういった意味では新世代メロディックパンクを代表しているといえるだろう。

 この作品ではストレートなパンクサウンドを展開。基本的には荒々しいメロディック・パンクだが、全体的に暗い。エモ特有のキラキラ光るメロディや叫び声も、傷ついた心を慰めるような繊細で弱々しく、憂いや黄昏に充ちている。だがボーカルのヘイリーの強気で繊細な歌声が、ヴァラエティーが少なく、ワンパターンのきらいがあるサウンドに、陰影をあたえている。ヘイリーの歌声とカリスマ性で、聴き手をぐいぐいと引っ張っている。

 個人的には、初期パンクのような荒々しいスピリッツを感じるし、女の子らしい自己主張が好感を持てる。なによりインディペンデンスなサウンドにこだわり、ポップにスターのような斜に構えたところもなければ、明るくポップにソフィスケートされた部分もない。好きな作品だ。

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WE THE KINGS 『SMILE KID』

スマイル・キッドスマイル・キッド
ウィー・ザ・キングス

Kick Rock MUSIC 2010-07-21
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 09年に発表された2枚目。もはやエモやメロディックパンクの範疇を超えた。アメリカでの呼び名通りの典型的なパワーポップで、聴きやすく深化した。

 今作ではピュアな純粋さを歌った内容こそ変わりはないが、ヴァラエティーニに富んだ作品に仕上がっている。牧歌的なアコースティックから、ネオアコ、ベン・フォールズ系のピアノ、ポップなデジタル音などを加え、もはやエモの範疇では収まりきらないサウンドに仕上がっている。アメリカではジミー・イート・ワールドとアカデミー・イズをブレンドしたサウンドというレビューも見かけるが、それ以上の出来。いろいろなメロディーフレーズがミルフィーユのように甘く幾重にも重ねられて、極上のポップソングを奏でている。メロディックパンク界ではいままでなかったメロディーで、彼らしかないオリジナルティーを確立している。

 2作目でハードロックのギターメロディーを極める方向に向かったボーイズ・ライク・ガールやオール・アメリカン・リジェクツと比べると、その要素を少し残りつつも、ポップソングを極める方向に彼らは向かった。それがオリジナルティーを確立した要因だろう。

 個人的には彼らの最高傑作だと思う。前作のピュアさや爽やかさを残しつつも、そこにほんの少しの切なさや、やるせなさを叫んだ青春の苦悩を加えたから。そのサウンドは、より感情の深みを増している。なにより甘く切ない歌詞やサウンドが共感を持てる。

 オール・タイム・ローやコブラ・スターシップとかと並んで、新世代のメロディック・パンクを代表する作品だろう。

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WE THE KINGS

ウィー・ザ・キングスウィー・ザ・キングス
ウィー・ザ・キングス

EMIミュージック・ジャパン 2008-03-12
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 07年に発表されたフロリダのメロディックパンクバンドのデビュー作。EMI傘下の大手インディーレーベルに移籍をはたし、彼らの存在を一躍有名にした作品だ。

 日本ではメロディックなエモにカテゴライズされている彼らだが、アメリカではパワーポップバンドとして分類されているそうだ。もはやエモという呼称は日本独自のものなのかもしれない。そんな彼らの音楽性は、日本的な言い方をすればボーイズ・ライク・ガール系のピュア・エモ。限りなく透明でピュアなボーイズ・ライク・ガールと比べると、彼らはエネルギッシュでテンションが高い。清冽なメロディだけでなく、荒削りなギターコードを導入し、アメリカンハードロックなどの影響が強い。キラキラメロディーや青春コーラスからは、スターティング・ラインやカルテルなどに影響を受けたいまどきのサウンドを奏でるエモ・メロディックパンク・バンドだということが理解できる。ピュアな気持ちと熱い想い。それが彼らの特徴といえるだろう。

 歌詞はロミオとジュリエットの悲劇を、私だったらパッピーエンドにするといった仮定の話や、個人的な恋愛について歌った内容ばかり。基本的に未来への希望に満ちたラブソングが多い。典型的な高鳴る感情を歌った青春エモ。とはいっても明るい内容ばかりではなく、6曲目のオーガストイズオーバーでは失恋の曲なども歌っている。

 個人的には限りなくポップで聴きやすい作品で、それなりに楽しめた。ラブソングや純な気持ちが好きなかたに、お薦めの作品だ。

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ペレ 『エネミーズ』

EnemiesEnemies
Pele

Polyvinyl Records 2002-10-15
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 03年発表の5作目。ラストアルバム。もはや青葉が萌えるよう透明さはなくなった。癒し系インストメンタルであることに変わりはないが、ノイジーな雑音が主張し、にぎやかに変化している。

 今作では、ラップトップパソコンを使ったジョンの存在が目立つ。インストメンタルのバンドサウンド自体に変化はないが、その隙間を這うようにスペイシーな効果音から、エラー音、いびつなデジタル音などの雑音が、ささやかに主張している。手拍子やシャウトなども加わり、雑多感も増している。ギターメロディーもフラメンコなどの要素も加わりヴァラエティーが豊かに。持ち前の透明なメロディーに、隙間を這うように雑音が絡み合うサウンドからは、まるでおもちゃの缶詰のように何が出てくるか分からないワクワクするような楽しさがある。

 穏やかで大人しい印象が強かった前作と比べると、のびのびとした躍動感がある。穏やかで静かな森林が前作だとすると、今作ではそのなかの小鳥たちのさえずりや小さな生命の営みなどの大自然の細やかな雑多な音まで表現しているようだ。そこにある雰囲気は、軽快で明るく愉しげ。おそらく彼らの最高傑作を3作目に挙げるひとが多いと思うが、個人的には一番好きな作品だ。その理由は、前作までにあったまじめな堅苦しさが抜け、どこか吹っ切れたような無邪気さと遊び心に満ちているからだ。

 しかし彼らは、この作品のあと、TOEとのスプリットを04年に発表し解散してしまう。おそらく4作品目で演りたいことをやりつくし、この5作目で実験的な遊び心にあふれたアルバムを作ったのだろう。世間的な評価は気にせずに。だから解散をしたのではないか。だがこの作品のクオリティーは高く、いまだにその解散が惜しまれるほど燦然と輝いている。ぼくはこの作品の雑多感と無邪気さが、なんともいえないほど好きだ。

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ペレ 『ヌードズ』

The NudesThe Nudes
Pele

Polyvinyl Records 2000-09-19
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00年に発表された4作目。木陰でまどろんでいるようなインストメンタルと、サウンドフォーマットこそ変わりがない。だが多彩な楽器やギターアレンジを加え、着実に深化を遂げている。

今作ではアコースティックや木琴などを使い、メロディーのバラエティーが格段に増えた。とくにドラミングがすばらしい。和太鼓の縁を叩いているかのような渇いたトライバルなリズムが、まるで深い森の奥に足を見込むような神秘的な雰囲気と、ワクワクするような期待感に満ちている。結果、前作よりも躍動感があり、黄昏もある。よりお洒落になった。

そのほかにも変則的なリズムやメロディーフレーズを取り入れ、複雑さが増している。この癒しに満ちた若葉に彩られた大自然をフィーチャーした世界観を、さらに奥深く深淵に追求しているのが理解できる。前作よりも成長を感じさせる作品だ。

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ペレ 『エレファント』

ElephantElephant
Pele

Polyvinyl Records 2003-06-17
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 ミルウォーキー出身のインストメンタル・バンドの99年に発表された3作目。そこに02年の来日ライヴ音源を、3曲加えたリメイク盤。03年にポリビニール・レコーズから発売。ポリビニール・レコーズといえば、日本ではブレイドなどのエモバンドが所属しているレーベルとして知られている。しかしアメリカから見れば、実験的で一癖あるバンドが集まった、インディーロック・レーベルとして認知されている。だから彼らはけっしてエモバンドではない。元プロミス・リングのメンバーが在籍していたこともあって、エモバンドとして語られがちだが、彼らとの特徴をあえて挙げるなら、アメリカ中部特有の、どこまでも麦畑の水平線が広がる広大な大地をイメージさせる、おおらかさと水しぶきがキラキラ光るイノセントあふれるバンドサウンド。そんなルーズで牧歌的で広大なサウンドが中部のバンドたちの特徴といえるだろう。

 その彼らが奏でるインストメンタル・サウンドといえば、ジャズやカントリーからの影響が強い。しかしジャズのような都会的な洗練されたピアノやホーンや優雅な上品さはない。あるのはギターとベースとドラムを中心としたバンドサウンドだ。彼らはインディーロックからポストロックに発展したバンドだが、エモーショナルな部分はまったくない。穏やかで控えめな情熱に満ちている。感情を削ぎ落とし無機質なポストロックと比べると、ウェットで情緒的だ。

 穏やかに優しく爪弾くギターからは、まるで初夏の若葉がはえる木陰で、休憩しているような爽やかさのような清々しさをイメージさせる。透明感あるメロディーと穏やかに躍動感が増していくドラムのセッションからは、若葉が芽吹くような静かな情熱と、控えめでありながらも生命の力強さを感じさせる。徹底的したアレンジへのこだわりや、大自然をフィーチャーしたサウンドが、彼らの特徴といえるだろう。

 彼らは、マスロックの先駆者的存在でもあり、日本のバンド、teやtoeにあたえた影響も計り知れない。そういった意味で彼らはインディー・ポストロックの先駆者であるのだ。清涼感ある癒しや、穏やかな安らぎがほしい人にお勧めの作品だ。

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