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THE GET UP KIDS 『LIVE! @ THE GRANADA THEATER』

ライヴ・アット・ザ・グラナダ・シアターライヴ・アット・ザ・グラナダ・シアター
ゲット・アップ・キッズ

ビクターエンタテインメント 2005-05-21
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 05年に発表されたライヴアルバム。解散を発表してから発売され、第一期の最後となった作品だ。彼らの地元、カンザス州ローレンスで07年1月に行われた10周年記念ライヴを収録。アルバムを重ねるごとに勢いが薄れていった彼らだが、ライヴではエネルギッシュな衝動や勢いを重視している。

 デビュー作と2枚目を中心に、間段もMCなくもなく勢いぐいぐい押していく展開。ここでじっくり聴かせることなく勢いのみで駆け抜けていく。声が枯れるまでがなり声で熱唱する熱いライヴを聴いていると、あらためて彼らの魅力は、初期のころの勢いにあると気づいた。

 彼らはカンザスシティーが退屈な街だと歌いながらも、地元で行われたライヴを作品にしている。その行動からは地元に対する愛情や望郷意識が伝わってくる。地元を否定しながらも、――いろいろな経験を経て――やっぱり地元が一番だということに気づいた。つねに肯否定のなかで揺れ、本音を素直に表現することができない、もどかしさやいじらしさが、彼ら魅力であった。だが、いままで見えなかったものが見えるようになり、理解できなかったことが理解できるようになった。彼らは大人になった。そして解散を決意した。そんな迷いから吹っ切れた晴々しい気持ちが、ライヴから伝わってくる。それがこの作品を発表した意味なのではないか。


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THE GET UP KIDS 『Guilt Show』

ギルト・ショウギルト・ショウ
ゲット・アップ・キッズ

ビクターエンタテインメント 2004-02-21
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 04年発表の4作目。2作目のパンクチューンと、3作目のギターアレンジを、合わせたサウンドだが、ここまでくるとメロディックパンクでない。ポップロックに近い作品。勢いもないし、じっくりと聴かせてもいない。だから中途半端な印象を受ける。おそらくこのころにはバンドに対する情熱も薄れ、解散を考えていたのではないか。アルバム全体にどこか倦怠感や諦観、悩みから吹っ切れたときのような清々しさが漂っている。

 たしかに勢いやその反対のバラードもない作品だが、ソングライティングや演奏家としては前作以上に充実している。この時期、各メンバーのソロプロジェクト、ニュー・アムステルダムスやレジー・アンド・ザ・フル・エフェクトなど、個別の活動を行っていた。ソロプロジェクトの合間をぬって、メンバーそれぞれがゲット・アップ・キッズのために作った曲を録音し、みんなで話し合い、気に入らない箇所を修正しながら録り直したそうだ。

 ソロ作品と同時期に製作されたためなのか、とくにキーボードのジェイムスと、ギター、ジムの個性が光っている。ギターアレンジは、アメリカ・インディーズのみからの影響。曲の展開も、盛り上がるサビからいきなり静かなアコースティックへと変化したり、意外性に富んでいる。インディーロックを大衆受けしやすいポップロックに作り変えるセンスは相変わらず優れている。

 そしてキーボード、ジェイムスの個性。軽快なピアノの音から、恐怖映画の不気味な音、自然をフィーチャした効果音など、じつに多彩。今作では裏切りについて歌っている曲が多いそうだが、そこではいろいろな裏切りのパターンについて歌っている。たとえばヒーローが最悪の人物だったと知ったときの失望(自分に対する裏切り)や、彼女が約束を破ったときの裏切りなどがある。そこには繊細な心が傷つけられたときのもの悲しさ、失笑を交えた皮肉といった、いろんな感情がある。その表現を深いものにしているのがキーボードの効果音なのだ。

 一貫してネガティヴな内容を歌ってきた彼らだが、それにしても今作の歌詞には、<ぼくの罪は時間の欠乏><すべては終わり過去となった。>など、意味深な言葉が目立つ。ボーカルのマットはインタビューでとくに歌詞に意味がないと語っていたが、このアルバムを最後に、彼らは解散をしてしまう。歌詞の内容を要約すると、バンドの多忙さがメンバーの関係を悪化させ、解散へと追い込んだのではないかと、考えてしまう。

 個人的には全アルバムのなかで、熱量が最も薄れた作品と感じるが、今作のフレーズ構成やメロディーは、後世のエモバンドに多大な影響をあたえている。いまのバンドは、ジミー・イート・ワールドの『ブリード・アメリカン』か『ギルドショー』の、とどちらかから発展している。そういった意味では、高い評価を手にした作品なのだ。


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THE GET UP KIDS 『ON A WIRE』

オン・ア・ワイアーオン・ア・ワイアー
ゲット・アップ・キッズ

ビクターエンタテインメント 2002-05-02
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 前作からじつに4年ぶりとなる02年発表の3作目。もはやエモーショナルな初期衝動や、少年時代の青々しさはなくなった。タテノリのパンクナンバーもない。あるのはバラードのようなスローな曲と、落ち着き払った大人の枯れた円熟味。インタビューで「キッズではもうない」という発言どおり、この作品で青春時代に終止符が打たれている。

 おそらくこれだけスローな曲が増えた理由のひとつは、似た作品を作りたくないという意識。そしてもうひとつはボーカル、マットのソロプロジェクト、ニューアムステルダムでの活動が影響しているのではないか。そこではスローテンポの牧歌的なアコースティックを展開している。今回トム・ペティのむかしのレコードを意識してレコーディングされたそうだが、随所にオールドミュージックぽさが現れている。ニューアムステルダムでのサウンドフォーマットをベースに、ブリットポップなどの要素や60年代アメリカのトラディショナルなメロディーを加えた。セピア色が似合うノスタルジックな作品に仕上がっている。

 そこにあるのは、まる枯れ葉で敷き詰められた街路樹を歩いている時のような憂愁。前作まであった、やるせなさや憤りといった感情はない。おそらく激しさから穏やかさに変化した理由は、ボーカルのマットと、ギターのジムの結婚が影響しているだろう。もはや少年時代の悩みはない。感情的に荒げることもなくなり、理解されない立場から、理解する立場へと変わった。彼らは大人になったのだ。その心境の変化が如実に現れている。

 個人的には、何をやっても満足できない未熟さや、やるせなさ、エモーショナルな初期衝動が彼らの魅力だと思っているが、小さな幸せや穏やかさに反転した、この作品もけっして悪くない。なぜならあいかわらずハッピーソングはないし、むしろ切なさや孤独は深まっているから。穏やかで小さな幸せこそあるが、内省的で悩んでいるといった感情は変わっていない。サウンドが大人っぽさに変化したといっても、彼らの本質にある切なさや憂いといった感情が失われていない。それがこの作品の魅力だ。


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ザ・ゲット・アップ・キッズ 『ユードラ』

EudoraEudora
Get Up Kids

Vagrant Records 2001-11-27
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 過去の作品を集めたレアトラック集。01年発売。入手困難だったデビューEPから、当時所属していたサブポップレコーズから会員だけに配布された限定EP、各バンドとのスプリットやトリビュートアルバムなどで提供された曲が収録されている。

 バンド結成後、初めて収録したレア音源は、演奏が雑で録音状況が悪いが、なにより面白いのがカヴァー曲。デヴィト・ボウイからモトリークルー、ピクシーズにリプレイスメンツ、キュア、ニューオーダーなど、どのバンドも共感するところがない。しかもリプレイスメンツを除いて彼らがそのバンドの影響を受けているとは思えない。

 おそらくルーツをカヴァーしたのではなく、ひとつのチャレンジとしてカヴァーしたのではないか。その顕著な例がモトリークルー。自分たちが確立したサウンドスタイルに、モトリークルーらしい高音のギターメロディーと適度に取り入れている。ひとつの音楽性に留まることを嫌う、彼ららしいカヴァーといえるだろう。


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ザ・ゲット・アップ・キッズ 『サムシング・トゥ・ライト・ホーム・アバウト』

Something to Write Home About: 10th Anniversary Edition/+DVDSomething to Write Home About: 10th Anniversary Edition/+DVD
Get Up Kids

Vagrant UK 2009-09-08
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 99年に発表された2作目。最高傑作。十代から二十代の始めまでにしか感じることのできない、やるせない気持ちや焦りと不安といった心情を完璧な形で切り取った。その年代にしか感じることの出来ない空気を封じ込めたアルバム。この作品でエモというジャンルを、彼らが確立した。

 そもそもエモとは、アンダーグランドミュージックのいちジャンルだったエモーショナル・ハードコアから発展した音楽だ。バイオレンスなオリジナル・ハードコアと比べると、どちらかといえば喧嘩が弱く内向的な文学青年に支持されてきた。

 だがエモになると、不良にも優等生にもなりきれない若者が抱えるコンプレックスを代弁する音楽へと変貌を遂げた。クロブチのメガネに冴えないルックス。運動神経が良い訳でもなければ、頭がいいわけでもない。暴力的に立ち向かうこともできなければ、イジイジした一面もある。ルックスも優れているわけでもない。その冴えない若者のアイコン的存在といえばウィーザーだ。なにも取柄のない若者に窓口を開いた。

 だがウィーザーは、サウンド的にエモーショナルハードコアとの接点がない。そのアティチュードがエモと結びつくきっかけを作ったバンドだが、歌詞にもボーカルにもエモーショナル(激情)がない。エモの先駆者的存在であることに間違いはないが、彼らはエモではないのだ。

 エモといえばゲット・アップ・キッズと言われる由縁は、エモーショナル・ハードコアのサウンドスタイルや激情をというアティチュードを確実に受け継いでいるから。ジョーボックスやフガジなどのエモーショナル・ハードコアの伝統に、メロディックパンクのポップな要素を加え、メインストリーム受けする音楽に作り替えた。アティチュードもウィーザーのから発展させ、ビバリーヒルズ青春白書のような、ごく普通の若者が感じる憂鬱や不安を代弁している。叫び声と叙情的なメロディーに変えて。

 この作品でテーマに挙げているのは、恋愛と自分たちが住んでいるカンザスシティーという街について。退屈な田舎で感じる閉塞感と上京意識、彼女に対する不信や別れについて歌っている。そこにあるのは、誰もぼくの気持ちを理解してくれないときに感じる寂しさと孤独、不満や苛立ち。そういったやるせない気持ちを激情と静寂がアップダウンするサウンドスタイルにのせ、叫んでいる。

 だれもが一度は経験する大人になるための壁。そういった空気と心情を甘酸っぱいメロディーにのせ、見事なまでに閉じ込めている。青春とはときとして悩み苦しむものなのだ。

 いまだにこのアルバムを聴くと、ぼくは当時の感情や感覚、空気やフィーリングが、見事なまでに蘇ってくる。聴くたびに懐かしさと、新たな発見の新鮮さがこみ上げてくる。まるで永久凍土から溶け1万年前の姿を保持したマンモスのように。

 なお09年に発売10周年を記念して発売されたデラックスエディションでは、DVDとの2枚組みで、ダウンロードボーナストラックが7曲追加されている。


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THE GET UP KIDS 『RED LETTER DAY』

レッド・レター・デイレッド・レター・デイ
ゲット・アップ・キッズ

HOWLING BULL Entertainmen 2000-05-03
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 98年発表されたEP、『レッド・レター・ディ』と、96年に発表された7EP、『オール・スターズ』を加えた作品。前者はキーボードのジェイムスが加わり、ポップにメロディックパンクへシフトした作品で、彼らが飛躍するきっかけになった。たいする後者は、エンブレイス系のエモで、荒々しいギターサウンドの曲が並ぶ作品。そのサウンドは大人や親は自分を理解してくれない気持ちを歌い、暗く激しく内省的。

 あらためてこの両作を比べてみると、――あいだにフルアルバムを挟んでいるといはいえ――作風が違う。サウンド形態でいえば、エモーショナル・ハードコアから出発し、メロディック・パンクやアメリカ中部の野太いギターコードなどを取り入れ、ポップに変化してきた。だが、苛立ちややるせない気持ちを叫んだエモーショナルな初期衝動は失われていない。極端な変化をたどったこの作品を聴くと、ゲット・アップ・キッズというバンドは、青臭い初期衝動が魅力で、その年代の心情が、リアルにサウンドに反映されていることが理解できる。歳を取るとともに、疑問にケリをつけ、現状に立ち止まることなく、成長し進化し続けていくバンドなのだ。

 なお、このアルバムに収録されている曲、“レッド・レター・ディ”は、つぎのアルバムで再録されている。

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THE GET UP KIDS 『FOUR MINUTE MILE』

フォー・ミニット・マイルフォー・ミニット・マイル
ゲット・アップ・キッズ

HOWLING BULL Entertainmen 2000-05-03
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 97年発表のデビューアルバム。過去に幾つかのスプリットやEPを経て、発表された作品。当時、高校生だったメンバーは学校を休んでシカゴに赴き2日間のレコーディングで完成させたアルバムだという。

 16歳という若さも手伝ってか、この時点ではまだ若者が抱える悩みや苛立ち、未来への希望と不安を歌った、ナイーブさが取り柄のバンドであった。サウンドもフガジからの影響下から抜け切れておらず、奥行きがないしテンポも悪い。荒削りな印象がある。

 肝心のサウンドだが、ナイーブで静寂なメロディーと激しいコードギターのアップダウンが、このアルバムの特徴だ。先ほど述べたとおり、録音状態はよくない。高音は割れているし、静から激へシフトチェンジしていくテンポもやや歯切れの悪いところがある。

 だがその歌詞には聴くひとを魅了するエモーショナルがある。例えばこんな具合に。2曲目の“ドント・ヘイト・ミー”ではレコーディングという人生で唯一のチャンスに賭けながらも、彼女を大切にしない自分への後悔罪悪感に苛まれている。3曲目の“フォール・セメスター”では、父親に認めてもらいたいと思う反面、親の言いなりにはなりたくないと歌っている。決断の不安や、自我と他者の思惑の狭間で、自分の感情が揺れている。それがデリケートで穏やかメロディーと、想いをぶつける激しいサウンドのなかで、感情が揺れ動いている。戸惑いと逡巡、善悪の葛藤。それがごく普通の若者の共感を得た理由なのだ。

 なお01年にリマスター盤を発売。そちらのほうが音のよい仕上がりに。


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MOB47 『BACK TO ATTACK 1983-1986』

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 スウェーデン、伝説的ハードコアバンドの83年から86年までの作品すべてを網羅した、全124曲入りの2枚組アルバム。

 初期のころから一貫して反戦、反核などのアティチュードを掲げ、システムや国家権力を非難し、戦ってきたMOB47。ディスチャージほどの恐怖やシリアスさはないが、全曲、尋常でないほどのテンションの高さと、怒りと熱さがこもっている。ダイレクトに感情に訴えかけてくるという意味では、いかにもスウェーデンのバンドらしい個性が窺える。性急なビートと爆撃機のようなギターがとにかくカッコいいし、熱いし燃える。基本的にはディスチャージタイプの2コード、D-BEATに影響を受けたハードコア。だが、さらにスピード感が増した狂ったスピードのドラムと、ノイジーなギターサウンド、情感を重視したサウンドは、このバンドらしい個性が窺える。

 ディスチャージのサウンドフォーマットに、プラスアルファーを加え、徐々に進化させた彼らだが、時系列に並べられたこのアルバムを聴いてみると、作品を重ねるごとにスピードが増していっていることが理解できる。中期には鼓膜が破れるほど振動の強い嗚咽のような叫び声があり、ギターが爆撃機のように、激しさが増し、さらにノイジー変化している。

 そしてなにより魅力的なのが、その歌詞。“何千万もの動物たちが実験室で殺されている。すべての実験動物を解放せよ”や“警察がすべてを制御するスウェーデン”、“宗教は洗脳”などの簡潔で直截的な言葉が並ぶ歌詞には、世界で起こっている様々な問題に、目を向け疑問意識を感じろと、ぼくの心にダイレクトに訴えかけてくる。思想的にはディスチャージの反戦反核に、クラスの反キリスト教、コンフリクトの反動物実験などに影響が強いが、それだけでなく、世界の警察を気取っているアメリカへの反発、当時アパルトヘイト政策で黒人を差別していた南アフリカへの批判、地元スウェーデンの腐敗など、様々な政治的問題を取り上げている。人間の自己中心的なエゴや欲望、欺瞞や暴力、破壊など、醜い部分に焦点を当てている。そして変えろ、理想に満ちた建設的な未来を築こうと、彼らは訴えているのだ。それがMOB47の熱さなのだ。

 ノー・ファン・アット・オールやリフューズドなどの、スウェーデン後生のハードコア・バンドに与えた影響も大きい。ハードコアが好きな人は、ぜひお勧めの作品だ。


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paramore 『Brand New Eyes』

ブラン・ニュー・アイズブラン・ニュー・アイズ
パラモア

ワーナーミュージック・ジャパン 2009-10-21
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 09年発表3枚目。このアルバムを発表する前年に映画トワイライトに主題歌を提供し、そのサウンドトラックが200万枚を記録する売り上げを獲得したそうだ。いちやく有名となり、その状況下で今作は発表された。バンドも上昇気流に乗り、自信に満ちた作品となるかと思いきや、ダークでネガティヴな要素が強い作品に仕上がっている。

 その理由は、メンバー間の人間関係がボロボロの状態にあったからだという。ここ数年、忙しさも手伝い、メンバーとの意思の疎通がうまくとれておらず、軋轢があったそうだ。

 だから歌詞には<良くなる前に我々は崖に向かっている>だとか<目標を見失った。しかしわたしたちは新たな目標を見つけられることを信じている>といった、絶望的な状況について書かれている内容が目立つ。実際アルバムには、メンバーに伝え切れなかった気持ちがテーマになっているそうだ。

 とはいっても、批判だけで終わっているわけではない。この辛い状況から抜け出し、バンドを始めたころ初心を取り戻して、また気持ちを共有しながら活動が出来ると力強く希望をこめて歌っている。まさにアルバムタイトル『ブラン・ニュー・アイズ(新しい視点)』を獲得するために。

 今作はけっして悪い作品ではない。歌詞こそネガティヴで批判的な内容が多いが、サウンド的は確実に成長している。どちらかといえば前々作に近く、ジミー・イート・ワールドやサニーディ・リアル・エステイトを発展させたエモサウンドだ。繊細なナイーブさを紡ぎだすメロディーと、トーンこそ暗いが、強気で力強いヘイリーのボーカルが拮抗するサウンドは、お互いが理解を求め合いながらも、ぶつかっているような、もの悲しさを感じる。強気と繊細さというアプローチこそ真逆だが、理解されないことへの悲しみや、すれ違いといった共通意識を生みだしている。それが悲しみを倍増させる相乗効果をもたらしている。

 このあとサウンド面を担当していたジョシュとザックの兄弟が脱退。ジョシュがヘイリーと付き合っていたことを告白。ジョシュはパラモアというバンドが、ヘイリーのソロプロジェクトだったと不満をぶちまけたそうだ。結局、お互いが歩み寄ることが出来ないまま、すれ違いのまま、終わってしまったようだ。

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