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フェイス・トゥ・フェイス 『ライヴ』

LiveLive
Face To Face

Vagrant Records 1998-01-27
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 98年に発表されたライヴ盤。フェイス・トゥ・フェイスを初めて聴くひとにお薦めの作品はどれかと問われたら、ぼくは間違いなくこの作品を薦める。その理由はバンドもベストな状態だし、アルバムとクオリティーがさほど変わらないから。テンションも高くいいライヴだ。彼らの個性である切なく疾走していくスタイルは健在。だがそれだけでなく、パワフルで放埓な一面や、カラッとした爽やかさなども垣間見れる。ある意味過去のすべてを集約し、一区切りをつけた。総まとめ的な内容の強い作品だ。

 肝心のライヴだが、1stの曲を中心に、切なく疾走していく2nd、カラッと爽やかさな3rdの曲を加え、間段なく進行していく。途中ソーシャルディストーションのカヴァーや”ディセッション”などのレアな曲も歌い、後半につれ激しさが増していく。

 基本的に彼らはアルバムもライヴもさほど変わらないが、ノイジーなギターサウンドが好きだということが理解できる。緊迫したムードとは無縁だが、テクニカルに演奏するとき、ギターコードが手早くなり、音圧が上昇する。彼ら自身、ライヴを楽しんでいるのが伝わってくる。ピーク時のいいライヴを閉じ込めた、よくできた作品だ。


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フェイス・トゥ・フェイス

Face to FaceFace to Face
Face To Face

A&M 1996-09-10
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 96年発表の3作目。おそらく彼らの最高傑作は、この作品ではないか。個人的にも前作と同じくらい好きな作品。前作で確立した、切なく疾走していく泣きコア路線に、初期パンクやエモーショナルハードコアなどの要素を加え、さらに深化させた。スピードこそ前作より遅いが、そのぶんノイジーで荒々しく、骨太で深みのある演奏に。

 この作品の素晴らしいと思う部分は、西海岸特徴のカラッとしたサウンドに仕上がっているところ。男くささのなかに、切なさや爽やかさがあるが、サバサバしている。カラッとしているため、しつこさがない。そのぶん何回でも聴きたくなるし、飽きがこない。

 ぼくにとってのベスト・オブ・メロコアは、グリーンディや、バッド・レリジョン、オフスプリングでもなく、間違いなくこのバンド。グリーンディやオフスプリングは、パンクというよりもロックサウンドだし、バッド・レリジョンはパンクよりも精神的に重いハードコアでシリアスすぎる。

 日常的な不満や憂鬱、楽しさをセンシブな感情でぶちまけ、シンプルな3コードのパンクで、西海岸特有のカラッとしたサウンドで仕上げたのは、彼らと、このあとブレイクするブリンク182くらいではないか。個人的には男くさく、若干不良の匂いのする彼らのほうが好きだし、思い入れも強い。

 


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face to face 『BIG CHOICE』

ビッグ・チョイスビッグ・チョイス
フェイス・トゥ・フェイス フェイスIIフェイス

ビクターエンタテインメント 1995-03-24
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 95年に発表された2枚目。個人的には一番好きな作品。ラモーンズのような荒々しいコードギターに、哀愁漂うメロディーをのせ、性急なスピードのドラムが疾走していく。彼らならではのスタイルを確立したのは、この作品から。

 それにしてもこれほどまで彼らにシンパシーを感じる理由は、ブルートみたいな粗暴な男が見せる哀愁ただよったうしろ姿にある。俺は大丈夫じゃない。と情緒不安定な自分を歌うA-OKや、選択し拒絶されたと挫折について歌うビッグチョイスなど、行動し得た結果がどの内容も悲惨な結果だ。まるで、あしたのジョーのような、負けの美学にも似た悲哀が漂っている。

 悲しい時に悲しいとはいえない男の性や、いかつい男が時折みせる弱い自分。その想いを爆音ギターと性急なスピードにのせ、激しく疾走する姿が、なんとも胸に突き刺さる。ビーチボーイズから続く西海岸の伝統-明るさの奥にある暗い一面-を受け継ぎながらも、明るくノー天気なバンドが多いメロコアのなかで、泣きコアや哀愁コアなどと呼ばれる異質な個性を確立した。まさにメロコア史に残る名盤だ。

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フェイス・トゥ・フェイス 『オーバー・イット』

Over ItOver It
Face to Face

Victory 1994-10-18
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94年に発表された7曲入りのEP。この時期メジャーレーベルとの契約が決まり、バンドの代表曲をリメイクする形で、発表された。

とくに”アイ・ウォント”や”ディスコネクティッド”は、パワフルでエネルギッシュにブラシュアップされているし、いままでなかなか入手することができなかったシングルの曲(ドント・ターン・アウェイとイット・イナフ)などが、聴くことができるのがうれしい。

過去の清算が目的とされ発表されているが、ここから本格的にメロディーを導入するきっかけとなった作品でもある。このあとメロディー専門のギタリスト、チャドが加入し、さらにメロディーを際立たせ、彼らの個性を確立するわけだが、初期の多彩なコーラスと、荒々しさを前面に出したギターと楽観さは、この作品で最後になる。7曲入りだが、どの曲も捨て曲のないいい作品だ。


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フェイス・トゥ・フェイス 『ドント・ターン・アウェイ』

Don't Turn AwayDon't Turn Away
Face To Face

Fat Wreck Chords 1994-04-12
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 94年に発表されたデビュー作。当時アメリカでは、グリーン・ディとオフスプリングのブレイクによって、メロコアと呼ばれる新しいシーンが生まれた。アンダーグランドミュージックだったパンクが、メインストリームへと台頭し、盛り上がりを見せていた。

 そのムーブに乗って現れたバンドがフェイス・トゥ・フェイスなのだ。そのサウンドは、高速8ビートのドラムと3コードのギターが特徴のメロディックハードコア。バッド・レリジョンのフォロアーと捉われがちだが、彼らからの影響はない。どちらかといえば、ラモーンズを速くしたようなサウンドだ。
 
 彼らの代名詞となる切ないメロディーと、疾走していくようなスピード感は、まだこの時点では確立されていない。だがこの作品には、3コードでグイグイ押していく男くささと気合いに満ちた迫力がある。メロディーこそ希薄だが、西海岸のバンド特有の、どことなく楽観的な明るさがある。それが魅力だ。

 当時のぼくは、切ないメロディーがないこの作品があまり好きではなかった。だが、いまあらためて聴きなおしてみると、逆にメロディーがないところに魅力を感じる。情緒的なメロディーがない分、迫力があるし、男くさい。悲観的な一面がまったくなく、多彩なコーラスがすばらしい。彼らの自然体な姿勢が出ている。

 ライヴでは必ず、”ディスコネクテッド”を歌っている。彼らにとって、思い入れの強い作品なのだろう。

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THE GET UP KIDS 『There Are Rules』

ゼア・アー・ルールズゼア・アー・ルールズ
ザ・ゲット・アップ・キッズ

QUALITY HILL RECORDS 2011-01-15
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 11年に発表された5作目。前作同様、ポップソングが一曲もない。あるのはゴズの要素が加わったサイケデリック。昨年発売されたEPよりも、ヘヴィーに仕上がっている。

 今作では、徹底的にニューウェーヴを追求している。とくにギャング・オブ・フォーやバグハウスなど、暗くノイジーなバンドの影響を強く受けている。例えるなら、ネオサイケにガレージを合わせたようなサウンドだ。

 そこにはメロディーとラブソングは一切ない。あるのはノイジーで、やさぐれたギターの音。ベースはブンブンとうねり、キーボードの音は不気味で幻想的。例えるなら、視界が揺らぎ暗闇が広がる魔界の沼地で、神経質に不気味に鳴り響くような音。ニューウェーヴ特有の隔絶された孤独感こそないが、アグレッシヴで暗く、憂鬱な世界だ。

 どうやらアメリカでは評価が二つに分かれているようだ。一つはエモやポップサウンドといった大衆性を捨てたとこによって、彼ら本来の魅力が失われてしまったことへの批評。もうひとつは過去の栄光やラブソングを捨て、オルタナティヴなサウンドを追求していることに対しての評価。

 確かにここまで変化すると、本来の彼らからかけ離れすぎている感じがする。だがぼくはこの変化を好意的に受け止めている。彼らはけっして、過去の栄光やノスタルジーにすがっていないし、なにより単純にいい曲が多いから。ラヴソングを一切捨て、アグレッシヴなサウンドを展開している彼らはカッコいい。いい作品だ。


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ザ・ゲット・アップ・キッズ 『シンプル・サイエンス』

Simple ScienceSimple Science
Get Up Kids

Quality Hill 2011-06-21
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 5年の歳月を経て復活を遂げ、10年に発表された1万枚限定の4曲入りEP。どうやらこの再結成は第一期と分けて考えたほうがよさそうだ。過去とまったく違う作風になっている。

 大手インディーズ、ヴェイグランドから離れ、自らが立ち上げたレーベル、フライオーバーから発売された。その姿勢からも分かるとおり、ディストリビューションからレコーディング、スタジオにいたるまで、すべて自分たちで管理している。何から何まで手作業。DIY精神をコンセプトに、この作品は作られたそうだ。そんな姿勢が反映されたせいなのか、サウンドもアティチュードも、すべての意味においてインディー精神を貫いている。

 EPでは大衆受けするポップロックから離れ、アンダーグラウンドなインディーロックを展開。ベースのリフを中心に、エフェクトをかけたボーカルや、ネオサイケ、ポストロックの要素を取り入れ、じつに実験的。青空が広がる明るくポップな世界観から、深い霧がたちこめる森林を彷徨っているような幻想的な世界観に変化した。

 個人的にはこの作品が好き。この変化を肯定的に捉えている。ここには第一期のゲット・アップ・キッズのコンセプトでもあった、子供ゆえの未熟な感情や、スウィートな失恋ソングはいっさいない。あるのは、感情を制御した大人のクールさと、幻想的で美しい世界。なによりカッコいい。真の意味でパンクしている作品だ。

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