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ベッドサイド吉野 『#4』

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bedside yoshino (ベッドサイドヨシノ)

吉野製作所 2010-03-06
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 10年3月に発表された4作目。この作品を制作するまで、紆余曲折があった。09年秋、急性心筋梗塞で吉野は倒れた。入院中に、音楽こそが生きる支えだと、改めて再認識したという。

 死の淵から生還し、療養中に制作された今作は、内省的で暗く重い作品だ。もはや前作の延長上にある作品ではない。やさぐれたノイジーなサウンドで、ハードコアやエモーショナル・ハードコアをベースにしている。内省的で荒々しく、煩悶、苦悩しているかのような暗い心の叫びがある。

 たとえば”静かなる隣人”では、<見ろよあの男、西友の食品売り場で、何かを見つめている>と歌っている。そして”hang around杉並”では、<ここは知らない道、行き止まり、引き返す>と、どこにでもありそうな、ごく平凡な日常について、淡々と歌っている。

 そこには、ごく平凡な日常に潜む奇妙でいびつな光景がある。一見、大衆の誰もが当たり前と感じている事象のなかに、奇妙な光景が存在している。だがそのいびつさに対して少々不思議に感じながらも、結局何もなく、淡々と過ぎていく。虫に変身してしまったグレーゴル・ザムザが、不思議に思わないフランツ・カフカの『変身』とは、間逆の手法だ。奇妙でありながらも奇妙でない。それが吉野が感じた現実である。

 いままでの季節感を交えた情緒的な表現から、不条理哲学を取り入れた一歩先に進んだ表現に進化した。それが死の淵から生還したことによって、ひとつ上のレベルに到達したのだ。そんな手ごたえを感じる作品だ。


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