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Panic at the Disco 『Vices & Virtues』

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パニック!アット・ザ・ディスコ

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11年発表の3作目。09年の夏にギターのライアンとベースのジョンがバンドを脱退。その理由は、前作『プリティ・オッド。』の60年代サウンドを追求するため、新バンド、ザ・ヤング・ヴェインズを結成したから。パニック・アット・ザ・ディスコは、1st派と2nd派の2つに分裂したのだ。

残されたボーカルのブレンドンとドラムのスペンサーの2人によって制作された今作は、原点回帰。ヨーロッパの怪しい仮装パーティーのような雰囲気に、80年代のディスコのような、暗闇で水面に揺れ青く淡い光のような幻想を加えた作品だ。

その音楽は幅広い。ホラーから、ビューティフルエモ、デジタル、ディスコ、打ち込みなどの00年代の要素に、中世のクラシックなサウンドや聖歌隊、ジプシーブラス、バイオリン、ラッパなどの古典的な要素を合わせた。いろんな要素が複雑に絡み合った作品に仕上げっている。もはやパンクのノリのよさこそないが、オリジナルティーある作品に仕上がっている。

これだけ作りこんだ作品に仕上がった理由は、アーケード・ファイヤーやのような、オリジナルティーあるサウンドを意識したためだ。それとメンバーが抜け、パニック・アット・ザ・ディスコはダメになったと、言われるのが嫌だったから、というのも理由のひとつだろう。そういった意味では意欲的で、ミュージシャンとして意地を見せた作品だ。

確かに全3作のなかで、いちばんオリジナルティーのある作品に仕上がっている。ほかにはないサウンドだ。だが作りこみすぎて、音楽マニアだけを意識して作られた印象を受ける。ヨーロッパの古典的な音を取り入れることの重視しすぎて、かんじんの表現力が失われている。ここでいう表現力とは、伝えたい感情のこと。前々作、前作はサウンドの方向性こそと違うが、シンプルで分かりやすい作品だった。聴いていて、単純にハッピーな気持ちにさせてくれるポップさがあった。それは共通していた。だから単純に楽しめた。だがこの作品は、ファンが肩組んで楽しめるようなハッピーさがない。喜びにも、悲しみにも、怪しさにも、恐ろしさにも、寄り付かない、あいまいささが漂っている。伝えたい感情をはっきりしてくれれば、いい作品だったに違いない。そういった意味でおしい作品だ。


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