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JIMMY EAT WORLD 『INVENTED』

インヴェンテッドインヴェンテッド
ジミー・イート・ワールド

ユニバーサル インターナショナル 2010-10-06
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 10年発表の7作目。ここでは前作よりもさらに実験的なサウンドを展開している。フラメンコ調のフォークで始まったときは正直戸惑ったが、じっくり聞き込むと、そんなに悪い作品ではない。過去の彼らのイメージに囚われなければ、楽しめる。

 今作ではデジタルを全面に出したサウンドを展開。ディスコ・エモから、デュラン・デュランぽい曲、後期ソニックユース系のポストロック、牧歌的なフォーク、ピーター・マーフィのような薄暗い曲、ヴァーヴのような至福感あふれた曲など、いろいろなジャンルを取り入れている。穿った見方をすれば、ジミー・イート・ワールドらしくない曲がつづき、何に影響をうけたのかわかりやすい。これだけだと正直オリジナルティーが希薄だと思った。だがじっくり聞き込むとそれらの要素に『クラリティー』を融合させた作品だと気付く。とくに5曲目の“ムービー・ライク”以降の後半の流れ。朝日のような清々しいビューティフル・サウンドで、聴くものを安堵なやすらぎに導いてくれる。

 今回はシンディ・シャーマンやハナ・スターキーと写真家の写真を見て、そこから想起するイメージをサウンドに置き換え表現したそうだ。だから自分たちの経験や体験から感じた、切なさや哀しみ、楽しさやといった感情は表現していない。彼らが写真や人物を通じて感じたことを曲にしている。その写真からイメージされるな世界観とは、ヨーロッパのカフェテラスでな話しているような洒脱でクールな世界観。ドラマチックなラブシーンのように囁くように歌う“インヴェンテッド”や、遠い未来について二人で語り合っているような“エヴィデンス”など、まるで映画のワンシーンのような情景が浮かんでくる。

 このアルバムで表現されているのは三人称の世界観だ。わたしとあなたという二人の世界を、カメラのレンズを通して見るように、俯瞰してとらえている。だからどんな愛の囁きを歌ったも、静かで淡々と聴こえる。エモーショナルさはないし、ダイレクトな感情が伝わってこない。だがその分、気だるく薄暗くムーディーで洒脱な大人の世界観を獲得している。

 サウンドやエモーショナルといった部分すべてで、過去とは異なる作品だ。だが、彼らは1stのころから、サウンドも感情も同じ作品は一枚も作っていないし、つねに変化してきた。それに変化の兆しは大人になった前作からあった。不惑の40代に突入し、彼らはもう迷うことはないのだろう。彼らの年齢からくる表現方法としては、それが正直なやりかたではないか。身の丈にあった変化なのだ。少し淋しい気もするが、これはこれで納得のいく作品だ。


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