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CIRCA SURVIVE/サーカ・サヴァイブ  『The Inuit Sessions EP』/『ザ・イヌイット・セッションズ・EP』

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 元セイオシンのボーカル、アンソニー・グリーンによる結成されたバンドの05年に発表されたデビューEP。おそらくこのバンドがエモにプログレの要素を取り入れた、初めてのバンドではないか。デビューEPながら異彩を放っている。エモーショナル・ハードコアの静と動のアップダウンのあるサウンドに、プログレ調の浮遊感とサイケデリックなギターを合わせた。なりより特徴的なのはボーカル。歌い方はスクリーモそのものだが、その声は華奢で神経質でナイーヴ。まるで少年の悲痛の叫びのような悲しみと孤独に満ちている。そこからつむぎだす感情は、袋小路に追い詰められたときのような絶望感。暗く混乱した陰鬱な世界がある。

 そのサウンドはメロディーでポップなサウンドながらも、暗く陰鬱。心の皮をはがされ、自分の弱さやダメな部分を剥き出しにされるような気分になる。奇異な怪物のジャケットを含めて、すべてが新しい。この時点でオリジナルティーがあるし、価値あるEPだ。

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テイキング・バック・サンディー 

Taking Back SundayTaking Back Sunday
Taking Back Sunday

Warner Bros / Wea 2011-06-28
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 セカンド・ボーカルのファジとマットが脱退し、ストレイライト・ランからジョンとショーンが加入した11年発表の5作目。ストレイライト・ランというとテイキング・バック・サンデーを脱退したメンバーによって結成されたバンド。ということはデビュー作のころのメンバーが復活し、制作されたアルバムだ。いうなら初期衝動だけで突っ走っていた、スクリーモのころに戻ったということだ。

 アルバムにバンド名を冠したことから、その名前どおり、まさしく原点回帰。ミドルテンポのスクリーモのサウンドフォーマットに、2作目以降のギターテクニックや、コーンなどのヘヴィーロック、東海岸パンクなどの要素を加えた。デビュー作をさらに進化させたサウンドだ。そしてボーカル。前々作ぶりにツインボーカルとスクリームが戻ってきた。掛け合いのタイミングと、アダムのメロディックな歌声とジョンのスクリームの絡みは、まさに初期そのもの。初期の絶叫に近いスクリームだ。まさに原点回帰している。

 それにしても歌詞のテーマがいつになく重い。2曲目の“Faith”では、キリストが子供を叩くことを想像できる?とか、富への信仰を失う、といった歌詞が目立つ。ここで歌われている内容は、ごく平凡に生きている日常への懐疑。ごく普通の富や信仰を失うことの怖さを歌っている。いままでラブソングが多かった彼らの歌詞なので、今回は意外に感じられた。なぜ、こんなシリアスなテーマが歌われているのか、資料がないのでその理由は分からないが、歌詞がサウンド自体に与えた影響はそんなになさそうだ。

 この原点回帰したアルバムは、賛否両論分かれる。スクリーモが好きな人からみれば、最高の作品だろうし、スクリーモから離れた3作目以降が好きな人からみれば、物足りなさを感じる。個人的には後者だ。その理由は、前々、前作にあったサウンドの勢いと迫力を感じなかったし、ギターアレンジは豊富だがテンポが同じため、単調に聞こえる。メインボーカルの声の魅力も失われている。だがスクリーモという範疇だけで捉えれば、メタルの影響を受けていないスクリーモ自体、珍しい存在であるから、オリジナルティーはある。現在のメタル化したスクリーモシーンに一石を投じた作品でもあるのだ。彼らの1、2枚目が好きな人には、お勧めだ。

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テイキング・バック・サンディー  『ニュー・アゲイン』

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Taking Back Sunday

Warner Bros / Wea 2009-06-02
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 セカンドボーカルのブレッドが脱退し、新たにマッド・ファジが加入した09年発表の4作目。個人的には『ラダー・ナウ』が一番好きだが、それに劣らず、このアルバムもいい。

 今作では初期パンクやハードコア、ガレージを中心に、オルタナのギターメロディーを加味。ダークて妖艶な要素が薄れ、荒々しさとアルレッシヴな攻撃性が強化された。ディッセンデンツが制御を失ったようなスラップギターや、クランプスをシリアスにさらに猥雑仕立てたな荒々しいギターコード。そこにはまるでハイウェイで荒っぽく車を飛ばしているような乱暴さと激しさがある。そしてその激しさをさらに自暴自棄なものにしているのが、反復するサビのフレーズを吐き捨てるように歌うボーカル。ツインボーカルの掛け合いや、スクリームがなくなったせいなのか、二重人格的な要素がなくなり、すべてが直情的に変化。血管がぶち切れ意識が朦朧としそうなほど、アドレナリンを放出している。

 ツインボーカルの掛け合いがなくなった理由は、ファジーボーカルのが、インパクトに欠けるからだろう。彼らの特徴であったツインボーカルの魅力を失ったわけだから、おそらくブレッド脱退は痛かったはずだ。だがここではそんなの関係ないねとばかりに、終始強気なサウンドを展開している。

 そんな彼らのアグレッシヴな姿勢は評価できるし、なにより聴いていて力がわく。これはいい作品だ。


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テイキング・バック・サンディー  『ラダー・ナウ パート2』

Louder Now: Parttwo (W/Dvd)Louder Now: Parttwo (W/Dvd)
Taking Back Sunday

Warner Bros / Wea 2007-11-21
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07年に発売された『ラダー・ナウ』のパート2。『ラダー・ナウ』が大ヒットしたことにより、パート1と2が発売されたわけだが、パート1は本作にライヴ音源をプラスしたCDとライヴDVDを加えた内容。パート2は、ライヴ音源とボーナストラックとシングルのB面を加えたCDと、『ラダー・ナウ』後の活動を振り返ったインタビューと、ビデオクリップを加えたDVDで構成されている。

『ラダー・ナウ』は本人たちにとって自信作だったのだろう。奥深い魅力を伝えるため、別ヴァージョンを2作も発表したのだ。本作のライヴCDでは、すべてラダーナウから選曲され、過去の曲は一切演奏されていない。迫力と勢いのあるいいライヴだ。絶頂期の最高の瞬間がここに収録されている。

ラダーナウの奥深い魅力が知りたいひとに、おすすめの作品。

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TAKING BACK SUNDAY  『LOUDER NOW』

ラウダー・ナウ(初回限定盤)ラウダー・ナウ(初回限定盤)
テイキング・バック・サンデイ

ワーナーミュージック・ジャパン 2006-07-12
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 06年発表の3作目。最高傑作。前作までぎこちなかったメロディーとリズムのバランスが円滑なり、彼らの目指していたサウンドが完成。エモはもとより、ポリスに代表されるポストパンク、オルタナティブ、映画のイントロなどを取り入れ、ダークで甘美な都会的世界に仕上がった。

 今作では飛躍的に成長を遂げた。アレンジのヴァラエティーが格段に増え、メロディーも独特の世界観を構築。意図的に半音ずらしたハードで金属質のように固いギターからは、映画のワンシーンを切り取ったような緊迫感や、ワイルドでクールなムードが漂っている。そこにはまるで廃墟ビルのコンクリートむき出しの地下室で、繰り広げられる人間ドラマのような世界がある。そしてさらに磨きがかかったのが、2つの人格が自分に語り掛けるようなアンビバレンスなツインボーカル。その掛け合いは、まるで映画ファイトクラブのような、堅実な自分の考えに対して、リスキーで異なる意見で問いかけるもう一人の自分のようだ。

 その世界観を象徴しているのが、ニューヨークのストリート写真家のジョエル・マイヤー・ウィッツが担当したアルバム・ジャケット。ひとの顔に貼られたスピーカーは、真意を隠し演説で偽善を説いている政治家のペルソナを、表現しているそうだ。今作では自分のなかに潜む異なる2つの人格や、アンビバレンスな感情、嫌いな相手に対して笑顔で商談に応じるといったペルソナが、アルバムのテーマになっているそうだ。

 それにしても都会的でダークなサウンドはカッコいい。そこには自然の匂いが一切しない人工的なサウンドだが、人間的な熱量がハンパでない。そこにちりばめられた感情は、混沌とした思いや、息苦しいほどの切迫感、激しい衝動の攻撃性。弱々しい感情は微塵もない。金属的なサウンドと人間的なエモーショナルとのぶつかりが、熱い輝きを放っている。そんなハードボイルドのような世界を確立した今作は、最高傑作といえるだろう。

 ここまで壮大な作品に仕上がると、もはやスクリーモではない。だがほかのバンドにはないオリジナリティーがあるし、アメリカで全米アルバムチャート初登場で2位を獲得するなど、その評価は高い。彼らもダッシュボード・コンフェショナルと同じく、日本での評価が低い。こんなにいい作品なのに、そこが残念なところ。

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TAKING BACK SUNDAY 『Where You Want To Be』

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テイキング・バック・サンデイ

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 04年に発表された2作目。この作品を発表する前に、ギター兼ボーカルのジョンとベースのショーンが脱退。代わりにセカンドボーカル兼ギターのブレッドと、ベースのマットが加入した。

 普通セカンドボーカルが代わってしまうと、バンド全体の印象がガラリと変わってしまうが、彼らの場合、さほど影響がなかった。むしろよくなったとも言える。新しく加入したブレッドのアドバイスにより、モータウンなどの歌い回しなど取り入れた。前作よりも熱い叫び声も増え、しかも声の掛け合いなどの新しいスタイルを取り入れ、ヴァラエティーが格段に増えた。このボーカルスタイルは、後世のメロディックバンドたちに多大な影響をあたえる結果となった。

 基本的には前作の延長上にあるサウンド。相変わらずの基盤になっているのはエモで、そこに叙情的なメロディーやカッティングギターなどのアレンジを加え、より多彩な作品に仕上がった。アルバム自体は2部構成で、昔のレコードのような作り。6曲目の内省的なアコースティックの“ニュー・アメリカン・クラシック”でひとつ流れが終わり、7曲目“アイ・アム・フレッド・アステア”から始まる。そして日本盤のみのボーナストラックだが、ピアノのバラードの“ユア・オウン・ディザスターで終わる展開。まるで2部構成の映画のような展開だ。

 確実に成長を遂げているが、前作よりも衝動が薄れた。しかも若干サウンド面でリズムとメロディーのバランスが悪く粗削りなところがある。そのあたりがこの作品の欠点だが、それが解消されるのは次の作品から。やはり成功するためには苦労というプロセスが大切なのだ。そのプロセスの大切さを垣間見れる作品だ。

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TAKING BACK SUNDAY 『Tell all your friends』

テル・オール・ユア・フレンズテル・オール・ユア・フレンズ
テイキング・バック・サンデイ

ビクターエンタテインメント 2003-02-21
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 02年に発表されたデビュー作。この年はスライスの2nd、ユーズドの1stなど、個性あふれるバンドたちの重要な作品が発表され、一区切りにスクリーモと呼ばれていた。テイキング・バック・サンデーもまた、彼らと同じくスクリーム(叫び)があったため、スクリーモと呼ばれることに。だが3者それぞれにルーツが違う。スライスはハードコアから発展したメタルコアサウンドで、ユーズドは冷たいメロディーのメタルから発展したスクリーモ。スクリームにも違いがあり、スライスは怒声でユーズドは悲鳴に近い叫び声が乗るスタイルだ。

 そしてテイキング・バック・サンデーは、東海岸のパンクやエモーショナルハードコアをベースにしたサウンド。メタルからの影響は一切ない、ツインボーカルに、エモーショナル・ハードコアサウンドと、熱い叫びが乗るスタイルだ。

 彼らの経歴を記すと、1999年、ロングアイランドにて結成。2001年、レイシーがバンド、ブランド・ニューで活動するため脱退、代わりにアダム・ラザーラが加入した。この時、ラザーラはボーカルではなくベースを担当し、この時のボーカルはアントニオ・ロンゴ。 02年にはロンゴがバンドを抜け、ショーン・クーパーがベースとして加入。この時からアダムがボーカルとして定着。今作を発表するにいたった。

 この作品では彼らの独自のスタイルがあるが、まだ研磨されていない。終始ミドルテンポのエモーショナル・ハードコアをツインボーカルでやった状態。サウンド面でまだオリジナルティーを確立していない。例えるならダイヤの原石の状態だ。でも未熟さを衝動やパワーで押し切っている。その姿勢が好感が持てるし、熱くてエモい。青春の一ページを見事に閉じ込めた、これはこれですばらしい作品だ。

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ライバル・スクールズ 『ペダルズ』

PedalsPedals
Rival Schools

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 11年発表の2作目。じつに9年ぶりの作品。10年に再結成ライヴを果たしたが、どうやらその前からアルバムを発表する構想があったようだ。だがツアーを重ねるうちに、お互いの成長と長所が分かり、もっと熟考を重ねたほうがいい作品になると感じたのではないか。だからこれほど時間がかかったのだろう。

 基本的にはオルタナティブ・ロック。けっしてポスト・コアの重さはない。そういった意味では前作とコンセプトは変わらない。だがサウンドは大きく変化した。彼らの特徴であるストップ&ゴーや変則的なリズムがなくなり、代わりにフレーズの切り貼りや明暗のメリハリがあるサウンドが全体を支配している。クイックサンド時代からウォルターの特徴である地響きのようなうねりのギターコードの曲もあれば、イアン・ラヴのキラキラ光るメロディーが特徴の曲もある。朝日が昇っていくような至福に満ちた感情と、混乱した内面世界のような暗さ。そんな2人の違った個性をそん色なく交互に並べた。そういった部分では、前作よりも個々の個性が発揮された作品といえるだろう。

 今作では最新のハードコアやスクリーモなどの流行を取り入れていない。いまどきのサウンドではないが、でも古さは感じない。その理由は取り入れているものが、インストだったり、自然をフィーチャーしたフレーズだったり、廃れることのない普遍的なメロディーを取り入れているからだ。

 しかも支配している感情も、路地裏でひとり寒さに凍え震えているようなみじめさから、適度な孤独と悲哀、控えめな明るさと暗さなど、いろんな表情を見せている。重くなく適度にライトに仕上がっている。

 前作ではハードコア出身でアンダーグラウンドを意識しすぎるあまり、余計な力が入っていた。9年間という歳月が、ウォルターの変則的なリズムとヘヴィーなサウンドであることというこだわりを、棄てることに成功した。自分自身を素直にさらけ出し、イアンの個性も受け入れ、いい意味で柔軟で開けた作品に仕上がった。

 個人的には最高傑作にあげたい。アレンジを煮詰めるあまりどこか息苦しさのあった前作と比べると、純粋に音楽を楽しんでいる姿があるから。今作ではここにこのフレーズを入れるといい曲になるのではという視点で作られている。だから、すっと心に染み込んでくる。肩の力を抜くことによって最高傑作に仕上がったのだ。


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Every Avenue 『Shh. Just Go With It』

シー・ジャスト・ゴー・ウィズ・イットシー・ジャスト・ゴー・ウィズ・イット
エブリ・アベニュー

Kick Rock MUSIC 2008-04-09
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08年に発表されたミシガン州出身のメロディック・パンクバンドのデビュー作。典型的なメロディックパンクサウンドだが、ベースになっているのは80年代のアメリカン・ポップス。ところどころにゼブラ・ヘッドの要素を感じる。歌詞は女の子と遊んだ楽しかった日々や別れなど、典型的な青春パンク。海で女の子とビーチバレーでもして戯れているような楽しくゴージャスなサウンド。そこには悲しみや怒りといったネガティヴな感情が一切ない。一貫して明るく楽しい。そしてポップで聴きやすい。明るく楽しいサウンドが好きな人にはお勧めの作品。

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クリス・ギャラハー(exダッシュボード・コンフェッショナル) 『Covered In The Flood』

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 クリス・ギャラハー名義で11年に発表されたカヴァー・アルバム。ギャラハーのソロプロジェクトであるはずのダッシュボード・コンフェッショナルではなく、本人名義で発表された。その理由は分からない。だがダッシュボード・コンフェッショナルと比べて遜色のないクオリティーの作品に仕上がっている。アルバムはダッシュボード・コンフェッショナルと同様のアコースティックギター1本に、チープなデジタル音が絡む展開。カヴァーしたアーティストは、リプレイスメンツからREMなどのオルタナ系アーティストから、パワーポップの先駆者、ビッグ・スター、インディーロックのロング・ウィンターとアーチャーズ・オブ・ローフなどのロック系。それとカントリーのガイ・クラーク、ウエスタンのジャスティン・タウンズ・アール、フォークのコリー・ブラナンなどの、アメリカ伝統音楽の担い手たち。アメリカルーツ音楽と自らのルーツ、2つの要素をカヴァーしている。

 ロックミュージシャンのカヴァーでは荒々しい弾きかたで力強く歌い、伝統音楽は技巧的な演奏でやさしく丁寧に歌っている。とくに印象深いのはREMのカヴァーの“イッツ・ザ・エンド・オブ・ワールド...”。そこでは枯れた歌声や、徒労に終わるかもしれないがそれでも自分を信じて進んでいく、といった2重の感情を含んだマイケル・スタンプの歌い方をまねている。そこにREMへの強いリスペクトを感じるし、愛情が伝わってくる。

 それにしてもチープな録音とデジタル音が、とても味わい深くいい作品に仕上がっている。彼の作品全般を通していえることだが、莫大なお金をつぎ込んで最新の機材を導入し、多種多様なミュージシャンや敏腕プロデューサーを採用して、アレンジ展開がこったアルバムほどいまいちの出来だ。逆にアコースティック1本で、アナログのチープな録音で、感情の赴くままシンプルで装飾のない作品ほど、優れている。

 その理由はおそらく彼の魅力が歌声にあるからだろう。彼の長所である透き通った声が、リラックスした状態や、ぶんばるように力強く歌っているときほど、長所を発揮している。透明で力強い歌声を最新の機材を使ってクリアーにしてしまうと、暑苦しさやくどさといった余分な雑味をふくんでしまう。チープな録音が嫌味を消してくれるのだ。

 個人的には好きな作品だ。ものすごく楽しんでいる姿勢が伝わってくるし、肩の力を抜き、感情の赴くまま歌っている。やはり彼は、シンプルな作品ほどいい。

                         
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