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サーカ・サヴァイブ  『ブルー・スカイ・ノイズ』

Blue Sky NoiseBlue Sky Noise
Circa Survive

Atlantic 2010-04-20
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 10年発表の3作目。前作の爆音ギターはなくなり、メロディーに重点を置いた作品に仕上がった。やはりメジャーに移籍したためか、アクの強かったサウンドはソフィスケートされ、よりポップに仕上がった。

 今作では、エモを基盤にしている。そこにポスト・ロックやプログレなどの要素を加えた。メロディーは、近代ヨーロッパのアンティークなメロディーから、マタドール、アラブ、ファンク、アコースティック、アメリカン・ハードロック、寂しげな南の島をイメージさせるトロピカルなメロディーいたるまで、じつに多彩。それを木枯らしのような内省と切なさと、寂しく悲しげでナイーブな世界観に統一している。

 歌詞は難解さが取り払われ、より解りやすい表現に。基本的には二人称で、ぼくとあなたの世界。“ゲット・アウト”では<試してみることの価値はない>と歌い、“ダイドゥ・イン・ザ・ウール”では、<私たちが築いた愛を捨てる。~なにも変えようとしとないとき、幸福を失ったと感じる。あなたが理解するだろうと言うとき、私はあなたを知ることができない>と歌っている。全体を通して絶望的で厭世的な内容が多い。

 歌詞はカート・ヴェネガットやサリンジャー、バロウズにインスピレーションを受けているそうで、絶望にたどり着くプロセスや、ドラッグを題材にした歌詞などの部分で、影響を受けているように思える。アメリカでは、前作の哲学的な難解さが取り払われ、歌詞に成長の後がうかがえるとの評価だそうだ。

 間違いなく今作が彼らの最高傑作だろう。たしかに強烈な被害者意識や苦痛をあげる子供の叫び声に近いボーカルなど、初期衝動のようなインパクトやアクの強さは失われてしまった。だがメロディーやリズム、ボーカル、歌詞などを含め、圧倒的にサウンドのヴァラエティーが広がり、円熟味を増している。なによりいいのは、いびつで奇妙なメロディー。どこかで聴いたことのあるメロディーであっても、AメロB メロ、曲の一小節ごどにメロディーの組み合わせを変えているため、いびつで奇妙に感じる。それを感情によってトーンを変えるボーカルの脆く透明な歌声が、技巧やマニアックな趣味に走りがちなサウンドに、シンパシーや独特の世界観をあたえ、複雑な難解さを回避し、うまくまとめている。衝動やエモーショナルといった部分では物足りないと感じるかもしれないが、もともと華奢で気だるい退廃的なムードが持ち味のバンドだけに、いたしかたないのかもしれない。個人的には前作の甘美でサイケデリックなサウンドが好きたが、この作品のヴァラエティーの豊富さも同じくらい好きだ。


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