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セレブラル・ボールジー

CEREBRAL BALLZY (初回限定盤)CEREBRAL BALLZY (初回限定盤)
CEREBRAL BALLZY

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 ニューヨークはブルックリン出身のオールド・ハードコア・バンドによる11年発表のデビュー作。このアルバムを発表する前に、シングル4枚とEP2枚を発表しているが、さほど変化があるわけでもない。全作品を通してスピーディーな激しい。ブレていない。強いて前EPとの違いをあげるなら、ギターソロを若干取り入れ、ヴァリエーションが増えたこと。扇情的なギターが諦観に彩られた弛緩した空気を切り裂き、ドラムの疾走感が怒りをドライブさせていく。音の悪さが魅力で、あいからわずライヴの勢いをそのまま音源に焼き付けている。まさにハードコアの原点というべき作品だ。

 そこに目新しさはない。だが彼らの新しさは、黒人が主体の白人以外の人種による、新しいハードコア思想にある。現在ハードコアは、音の激しさや重さが重視され、メタルと化した。ロックンロールをベースにしたバンドが多く、録音環境が悪かった20年前のハードコア・バンドと比べると、現在では飛躍的にレコーディング環境が向上した。その結果、サウンド面では、過激な音を展開しているバンドが増えた。だがその豊かな状況が反映しているせいなのか、精神面では新しい思想を持ったバンドがアース・クライシス以降、出現しなくなった。

 あれから15年弱。ようやく新しい思想を持ったハード・コアが誕生したのだ。たしかに黒人ではバッド・ブレインズという例外があるが、彼らには虐げられたリアルな黒人の感情や怒りがなかった。黒人で貧民という立場から、差別や貧しさによって虐げられた環境というリアルな怒りをもって、もう一度精神面からハードコアを問いただした。それが彼らの存在意義なのだ。本来ハードコアとは、サウンドよりも精神を重んじる音楽なのだ。近年、ムスリム教徒によるハードコアや、プーチン批判をして、不当に刑務所に送られたロシアのプッシー・ライオットなど、ポーズではなく、本物の怒りを持ったアーティストが出現している。世界的に格差が広がる現在、ハードコア界も変わり始めているのだ。


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