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HOT WATER MUSIC  『Caution』

コーションコーション
ホット・ウォーター・ミュージック

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2002-11-20
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 02年に発表した6作目。『ノー・ディヴィジョン』から今作にかけてのホット・ウォータ・ミュージックは、本当にいいサウンドを展開している。今作も最高傑作といいたくなるほど、いい作品だ。

 前作で確立した複雑なアレンジと変則的なリズムのドラムのパンクロックを、今作でもベースにしている。だが前作と比べると、分厚いギターが薄れ、スピード感が増した。たとえるならハードコアのスピードに、テクニカルなメロディーを乗せている感じ。どうやらサポートギターとして参加している元ダグナスティー、現バッド・レリジョンのブライアン・ベイカーの存在が、サウンドに変化をあたえているようだ。ブライアン独特の冷たく透明で知性を感じるメロディーに、ホット・ウォーター・ミュージック特有のギャロピング・ギターが融合した。そこに性急なスピードのドラムと、尋常でないテンションの高いボーカル怒声が加わり、メロデック・パンクをネクストレベルへ進化させている。

 まるで息をつく間もなく次の曲が始まり、あっという間に終わっていく。その尋常でないテンションとテンポの速さには、苛立ちを急き立てるような焦燥感がある。それは歌詞にも顕著に表れている。たとえば“ワン・ステップ・トゥ・スリップ”では、〈控え目にすべてを手にするんだ、何も考えずにすべてのゴミを腐らせるために、崖っぷちから転げ落ちていく、俺はただ堕落していくだけさ〉と、投げやりで自暴自棄な気持ちをエスカレートさせている。また“アイ・ワズ・オン・ア・マウンテン”では、<注意しろ、お前が立っている地面も、足元から滑り落ちていくから>と、自分が築いたものが崩れさる危機感を切迫した思いで歌っている。その自暴自棄な苛立ちと切迫した危機感が、サウンドを加速させた原因なのだ。

 そして“ザ・センス”では、<むしろ子供たちから学んだほうがいい/彼らの世界を見たほうがよっぽどいい/年老いてくたびれたものじゃない>と、年寄りよりも子供のほうが学ぶことが多いと歌っている。そこには、すべてを壊し失ったあとに、新しい世代によるイノベーションが起きると予見したような内容だ。ぼくはそこに、次を担うのはしたの世代から学んだ俺たちなのだと、いわんばかりの主張が隠されているように思える。その根拠が、すべてを失ってもいいから、とにかく俺がやってやるぞという尋常でないテンションに表れているような気がしてならない。

メロディーを重視した作品のため、ポップになった。そのため男くさい暑苦しさ薄れ、爽やかになった印象さえある。古いファンからすれば、裏切りに写るのかもしれない。でもぼくはそうは思わない。なぜなら、研ぎ澄まされたメロディーと、この尋常でないテンションの高さが好きだから。

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