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サーカ・サヴァイブ  『バイオレント・ウェーヴス』

Digital_800

 12年に発表された4作目。今作ではメジャーレーベルのアトランティック・レコーズを離れ、どこのレーベルにも属さない完全自主制作の道を選んだ。前作『ブルー・スカイ・ノイズ』は、ビルボートでトップ11に入るほどのヒットを遂げた。さらなる人気を獲得し、固定したファン層が拡大した。レコーディング機器やCDを作る機材を自分たちでそろえる資金を調達することができた。そのため、メジャーレーベルを離れる決意にいたったのだろう。もはやメジャーの力を借りなくても、自主制作で利益を確保することが出来るし、サウンド路線を変更しろだのと、制約を受けることもない。それに自分たちで管理すれば、メジャーでは提供していないハイレゾ音源を安価でファンに提供することができる。だから完全自主制作の道を選んだのだろう。この新しいビジネスモデルの先駆者といえば、レディオヘッドやナイン・インチ・ネイルズなどがいる。その彼らが確立した新しいモデルが、インディーバンドまで徐々に普及し始めているのだ。

 そのサウンドは、静と動がアップダウンするエモ特有のサウンドに、ポスト・ロックやプログレなどの暗くアカデミックなメロディーにを加えたプログレッシヴ・エモ。前作のサウンド路線とあまり変わりはない。今作では精神が歪んでいくサイケデリックなシンセ音と、メランコリックなメロディーが加わった。バラード曲が増えた。とくに後半に進むにつれ、メランコリックな美しさは増していく。7曲目の“シンク・フォー・ザ・ミー・ホエン・ゼイ・サウンド”では、寂寥感を爪弾くように弾く穏やかで脆さを孕んだギターにサイケデリックなシンセ音が加わり、絶望に満ちた不穏な空気を演出している。そこでは失われた愛について歌っている。“ブラザー・ソング”では、素朴で哀しく美しいメロディーが、サイケデリックなシンセの音によっていびつに屈曲する終演を迎える。そこでは人間にはひとり一人違いがあり、怒りや悲しみ喜びなどを、共有できない悲しさを歌っている。そこに共通しているのは、被害者として優しさからくる悲しみ。触れたら消えてしまいそうな脆さと、弱者の虐げられた悲しみと美しさがある。

 アンソニー•グリーンのボーカルの透明で物憂げなボーカルと、透明で寂寥感に溢れるメロディーからは、まるで船縁から水底に沈んだ都市を俯瞰し、失われた無垢な楽園を覗きみているような切なさがある。水面の揺れのようにやさしく震えるメロディーは、幻想的で寂しげ。そこには良かったころを振り返っているような悲しい気分にさせられる。か弱いは脆さは、儚く透明な美しさをはらんでいる。この芸術性はすばらしい。

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