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DOWN BY LAW 『punkrockacademyfightsong』

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ダウン・バイ・ロウ

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 94年発表の3作目。DYSとダグ・ナスティーと数々の伝説のバンドを渡り歩いてきたデイヴだが、ボーカリストとしての個性を確立し、ダウン・バイ・ロウというバンドのサウンド的な部分でのオリジナルティーを確立したのは、この作品から。このアルバムを制作する前――クビなのか、価値観の不一致だったのか定かではないが――ギターのクリスとベースのEdが脱退した。代りにギターのサム・ウイリアムズⅢと、ベースのジョン・ディマンブロが加入。そのメンバーチェンジが功を奏し、オリジナルティー溢れるサウンドを確立した。

 ここで確立したオリジナルティーとは、メロディックでエネルギッシュな荒々しいギターサウンド。そこに躍動感に満ちたテンションの高いドラムと、水のように透明で熱さを含んだメロディーボーカルが加わる。挑戦的で派手で明るくエネルギッシュで熱いサウンドだ。そこには躁病的なエネルギッシュさに、朝日のように、気持ちが高揚していく、活力がある。ザ・ジ・ャムの『ギフト』を意識したジャケットのように、サウンドも初期パンクからの影響が強い。ザ・ジャムもさることながら、ジェネレーションXなどからの影響を感じる。だがしっかりと、西海岸の雲ひとつない青空を想起させるカラッと明るいサウンドに、アメリカナイズされている。ほかにもドラムのハンターがボーカルを採る曲もあれば、テンポを落としグルーヴを重視したギターアレンジの曲、30秒で終わるファストな曲、コード進行が躁病のようにエネルギッシュで速いノイズギターが魅力な曲もあり、バラエティーに富んでいる。自分たちのサウンドに手ごたえを感じていたのだろう。だから19曲も収録されている。

 それにしても歌詞には、パンクという言葉が目立つ。曲のタイトルにパンクと付く曲が“パンク・ウォン”と“パンク・アズ・ファック”と、2曲ある。そこにはパンクに対する尋常でないこだわりが伺える。“パンク・ウォン”では<自分の信念にすがって生きている>と歌い、<ドラミン・デイヴ、ハンター・アップ>では<ディスコのミラーボールを破壊しやる>と歌い、“ヘアカット”では、<パール・ジャムのクローンだらけ、汚い髪を切ってしまえ>と、チャラチャラしたスノップなものや、流行の音楽を否定している。彼らにとってパンクとは、生き方や信念を貫くものであり、けっして流行に左右されないものだと歌っている。そのこだわりが、ランシドやグリーン・ディのような貧困層出のパンクではなく、スノッブや流行を否定した典型的な中間層のパンクスタイルだ。だから音楽で金銭的に豊かになろう意識より、自分たちが気に入らないことを素直にぶちまけ意識のほうが強く感じられる。

 デイヴ・スマイリーのキャリアのなかでは、DYSとダグ・ナスティーのほうがこのバンドよりもフォーカスされるが、彼独特のボーカルスタイルを確立したのは、間違いなくこの作品だ。それほど話題にならなかった作品だが、このバンドにしかないパンク・スタイルがあるし、パンクを貫いている。

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