DOWN BY LAW 『All Scratched up!』
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96年発表の4作目。彼らの最高傑作はこの作品。ギターは弾丸のような勢いのギターコードが飛び散る爽快な汗のようなメロディーに変わっていくギタースタイルを確立させ、ボーカルもジェロ・ビアフラのような早口で捲くし立てるような歌い方を、デイヴ・スマイリーの力強い歌声に取り入れ、オリジナルなボーカル・スタイルを完成させた。パンク以外のアメリカ民謡や早口のハードコアなどの歌い回しを取り入れている。それが彼らしかありえない独特のスタイルのメロディック・パンクを確立した要因なのだ。
今作では前作とはまた違ったスタイルのメロディック・パンクを展開している。前作の3コード、8ビートのメロディック・パンクから、スピーディーなハードコアを取り入れ、さらに爽快でスピード感の増したサウンドに仕上がった。サウンドもさることながら、とくにコーラスワークがすばらしい。“チープ・スリル”では、ささやくようなコーラスを取り入れ、“トゥルー・ビリーバース”は、コーラスのみで曲を完成させている。そして“グルーサム・ゲイリー”では、海兵隊のようなコーラスなどがある。そのバラエティーにあふれるコーラスには、みんなが肩を組んで盛り上がるようなノリのよさがある。気持ちを高揚させ、元気をあたえてくれるコーラスだ。そこには怯えて立ち止まっていた自分の背中をドンと押すような、爽快な活力がある。青空のような爽やかなメロディーと、勢いにあふれたガッツと気合。それがこの作品の魅力なのだ。
社会批判やパンクのあり方について語った歌詞も健在だが、今作ではもっとパーソナルな内容が目立つ。たとえば“オール・アメリカン”では、16歳のころマイナースレットに出会いパンクに目覚め、いまではスケボーを楽しんでいると歌い、“グルーサム・ゲイリー”では、ゲイリーといういじめっ子が、警察に捕まり周りに嫌われいく話について歌っている。“ケヴィンズ・ソング”では、強者イスラエルによって攻撃されるパレスチナの悲惨な現状や、IRAに加わり殺された知人へのやり切れない思いや、国家のために戦争に行き戦うことへのばかばかしさを歌っている。自分の感じたことや実際にあった出来事を歌詞にしている。相変わらずデイヴ節は健在で、サウンドに劣らず血を滾らすような内容だ。
なおLP盤は、2枚組みで、6曲多く収録されている。なかにはフェイス・トゥ・フェイスやサムマイムなどが参加したコンピレーション『ウエストxノース―サウス 』に収録された名曲、“ダグパンク”が入っている。CD盤にはLP未収録の9とゴーストトラックの2曲が追加されている。
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