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ダウン・バイ・ロウ 『チャンピオンズ・アット・ハート』

Champions at HeartChampions at Heart
Down By Law

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 12年に発表された8作目。じつに9年ぶりとなる作品。03年に発表された前作『ウインドウォードタイドサンドウェイウォードセイルズ』のあと彼らは休止活動を宣言した。08年にデイヴとギタリストのサムが活動を再開し、徐々に曲を作り始めた。そして4年間に制作した16曲を、フロリダのBlasting Roomにてレコーディング。ザ・ビル・ステーブンソンによりミックスされ、最終的にロサンジェルスのD.O.B.サウンド・スタジオにてDerek O'Brien(Social Distortion, Adolescents)がマスタリングを担当し、仕上げられた。

 4年という歳月をかけ制作された今作は、熱く男くさい作品に仕上がっている。ギターは3作目の『パンクロックアカデミーファイトソング』のように、分厚いノイズギターと8ビートのミドルテンポが特徴だ。ロックンロールをベースにしたパンクな曲で始まり、そこに力強く男くさいOiコーラスの曲が加わり、開き直ったような爽やかで明るい展開で終わる。変わったところではマンドリンを取り入れたアイリッシュトラッドの5曲目などがあるが、全体的にパワフルで勢いを重視した内容だ。

 今作ではまるで自分の人生を総括している内容で、団結がテーマになっている。ステップ1と題された“パンクロック・ユナイデッド”では、パンクバンドを始めたことによって、アメリカ国内はもとより世界中のいろいろな都市やにライヴをするために訪れることができた。ライヴをすることによって衝撃や感動など普通の生活では得ることのできない経験をすることが出来たと歌っている。それが第一の経験。そしてステップ2にあたる“ミスフィッツ・ユナイデッド”(環境にうまく適用できない人たちの団結)では、流れに逆らって泳ぐとか、自分の話す言葉が誰にも通じない孤独な気持ちを、比喩を使いながら少数派の痛切な気持ちを歌っている。そしてステップ3の最終章である“ウォーリアーズ・ユナイデッド”では、少数派の気持ちをさらに発展させ、内にこもるのではなく、外に向かって戦っていくことの重要性を歌っている。自分が本来持っている権利を勝ち取るために。

 全体を要約すると、パンクという少数派が聴く音楽に出会い、そこでいろいろな人たちと知り合った。そこには同じ気持ちで、同じ怒りを持った世界中の少数派の仲間がいた。世界中のパンクスが団結し、庶民層を戦争に借り出す国家や、税金逃れをする既得権益層に(富裕層)戦うことが出来れば、世の中をいい方向に変えることができるのではないか。そんな青臭い理想論で結論付けている。

 この作品の正当な評価を下すなら、前作に次ぐいい作品で8作中4番目だろう。この気持ちを表現しなければいけないある意味使命感のようなテンションの高さはないが、熱さと男くささは全作品中一番で、なにかを残そうという意識でこの作品を作られている。その意識がぼくを感動させた。その意識とは理想論に近いパンク思想だ。隣国ともめることでナショナリズム思想を高ぶらせ不況のはけ口を他国に押し付けている昨今、その隙に富裕層は団結し、グローバルスタンダードやらで富を独占している。世界中の庶民層はますます貧困にあえぐばかりだ。そんなときこそ世界中の庶民層が団結し、富裕層と戦っていくべきではないのか。パンクというコスモポリタン思想が、ナショナリズム思想を排除し、パンクの旗の下、団結する。そして既得権益層に立ち向かっていく。そんな青臭いパンク思想がすばらしいと思った。

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