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ツインフォークス  『EP』

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 ダッシュボード・コンフェショナルのクリス・ギャラハーらによって、結成されたツイン・フォークスの13年に発表された5曲入りのデビューEP。参加しているメンバーは、ダッシュボード・コンフェッショナルからクリス・ギャラハーとジョナサン・クラーク。ニューヨーク出身のアコースティックを中心としたインディ・ポップ・バンド、ザ・ナラティヴのボーカル、スージー・ゼルディン。こちらもインディー・フォーク・バンド、バッド・ブックスのドラム、ベン・ホモラの4人で構成されている。

 近年のクリス・ギャラハーの活動は、実に多彩だ。多感な時期に影響を受けたアーティストをカヴァーしたクリス名義のソロに始まり、失われた初期衝動を取り戻すため、再結成をしたファーザー・シームス・フォーエバーなど、ダッシュボード・コンフェッショナルから離れた活動をしている。

 そして今回、アメリカ・ルーツ・ミュージックを演奏。そのサウンドは、アイリッシュ・トラディッショナル・フォークやアメリカン・カントリーなどの、ルーツ・ミュージック。トム•ペティやキャット•スティーブンス、ジョン•デンバーやゴードン・ライトフットなどに影響を受けた、カウボーイ和音を意識したサウンドを展開している。

 この作品がすばらしいと思うのは、枯れた円熟味に走っていないところだ。アメリカのベテランのアーティストほど、達観した人生に裏づけされた渋みの効いたアコースティックをやる傾向にある。だがここでは、渋みや枯れはない。あるのは葡萄の豊作を祝うような祝祭感。全曲を通して、田舎ののどかな楽しさにあふれている。

 それにしてもクリスの音楽を純粋に楽しんでいる姿勢には、好感が持てる。クリス名義のソロと、ファーザー・シームス・フォーエバーの再結成以降の彼は、サウンド的にも感情的にもヴァラエティー豊かな表現を追及している。とくにボーカルを挙げると、彼には透明で熱い歌声という才能があった。ダッシュボード・コンフェッショナル時代は、彼女にフラれ、悲しみと屈辱に耐えながら前へ進んでいくといった、熱く透明な歌声が魅力であった。だがその反面ボーカリストとして、表現が乏しい一面もあった。それが他者とバンドを組むことで違った視点から音楽を吸収することできた。そこお陰で、いろんな歌い方や声の抑揚の付け方、感情の表現などを習得した。ボーカリストとして確実に成長を遂げている。サウンドにオリジナルティーはないかもしれないが、聴いていて嬉しい気分になれるし、のどかさがいい。いい作品だ。

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