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SAVES THE DAY 『THROUGH・BEING・COOL』

スルー・ビーイング・クールスルー・ビーイング・クール
セイヴス・ザ・デイ

ビクターエンタテインメント 2001-06-27
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 99年発表の2作目。4ヶ月前に発表されたアコースティックEPは、彼らにとって、肩の力を抜いた実験的な作品だった。ここでは本来彼らが演りたいサウンドのメロディック・パンクにこだわりをみせている。

 前作と比べると今作では、明らかに成長している。前作では粗削りなサウンドで、不器用に疾走していく姿が印象的であった。今作ではそのぎこちなさが改善され、メロディーもしっかりしてきた。とくにボーカルの歌声が、感情表現の幅が広がった。“ショルダー・トゥ・ザ・ホイール”では、メロディーにブリンク182の影響が伺え、<僕たちは車を走らせ、デイヴはスピードを出す~ラジオからはクイーンの曲がかかり、僕たちをロックしている>と、楽しい青春の一幕について歌っている。また“ロック・トニック・ジュース・マジック”では、暗く陰りのあるメロディーを展開し、<君は美しいけど、中身は醜い>と歌い、理想の女性に対する幻滅した思いや悔しさを歌っている。そして“サード・エンジン”では、切なく優しくまろやかなメロディーのメロディックパンクを展開。<僕たちが100マイルも離れていなかった時は、すべてもっとうまくいっていた。僕の前に座っている人を見ると君を思い出す>と、遠い土地へ旅しながらも、彼女のことを愛し続けている恋愛の純粋な想いを歌っている。

 ここで歌われている内容は、心地よい風を浴びるときの楽しさや、恋愛で感じる切なさ、憂鬱な気分や若さゆえ悩み苦しむ煩悶といた気持ちなど、幅広い感情がある。まさに青春真っ只中にいる感情だ。

 サウンド的にも、ギターのメロディーが円熟味を増し、ボーカルの歌声メロディーがさらに加味され、ものすごく聴きやすく極上なポップ・パンクを展開している。 これだけ成長を遂げた理由には、メンバーチェンジが挙げられる。今作ではギター2人とベースが新たに加わった。そのお陰で演奏は劇的にうまくなった。そしてその2人のギターセンスからは、ライフタイムやダグ・ナスティーの影響は感じられない。あるのはブリンク182の影響を感じる西海岸のメロディックパンク。そこにときよりアイアンメイデンやエアロスミスのようなハードロックのメロディーが絡む。そこに青春時代に感じる甘酸っぱさが加わっている。それが極上なポップパンクに仕上がっている原因なのだ。

 日本で彼らはエモ・バンドとして語られているが、そこにはエモからの影響はまったく感じられない。明るくノー天気な西海岸のメロディック・パンクを、東海岸風のネガティヴで湿った感情を加え、深化させた、異なるスタイルのメロディック・パンクなのだ。なお99年は、ジミー・イート・ワールドの『クラリティー』や、ゲッド・アップ・キッズの『サムシング・トゥ・ライト・ホーム・アバウト』などのアルバムがブレイクし、エモ・ロックが普及した年だった。そんななか、この作品はアメリカの雑誌、オルタナプレスから、99年の影響ある作品のベスト100の中に選ばれた。

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