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セイヴス・ザ・デイ  『アンダー・ザ・ボーズ』

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Saves the Day

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 07年発表の6作目。自分探し第2弾。今作のテーマは、反省と後悔。前作は孤独と怒りといった感情を、初期パンクサウンドに叩きつけ、自分の内面を見つめ直していた。今作では、ミディアムテンポのメロディック・パンクがひさびさに復活している。

 今作では、メロディックパンク中心のサウンドだが、そのほかにもバラードや、スミスのようなギターポップな曲、エモーショナル・ハードコアのような静寂と激しさがアップダウンしていく曲など、バラエティーに富んだサウンドを展開している。メロディック・パンクな曲の“ゲット・ファックド・アップ”では、健やかなアメリカン・ポップからの影響がうかがえる。メロディック・パンクの3作目と比べると、リフレインするコーラスやメロディーなどの新しい要素が加わっている。その部分に彼らがどのようにステップアップしてきたのか成長の軌跡が伺える。

 そしてこのアルバムでとくに印象深いのがバラード。“ロンリー・ナイツ”は、素朴なピアノのバラードで、アルバムジャケットのように、夜空を見上げ、自分の悩みがちっぽけに思えてしまうような広大な世界がある。また“ステイ”は、牧歌的なフォークギターを中心としたバラード。自然をフィーチャーしたアンビエントな要素を加え、インティーロックを展開している。ドロドロとした怨情を激しいノイズギターに叩きつけている“ウォウ”と“ターニング・オーバー・イン・マイ・トゥーム”では、エモーショナル・ハードコアのような展開で、激情から静けさに包まれた落ち着いた感情へトーンダウンしていく。いままでにないノイジーで実験的なサウンドを展開している。サウンド的には今作では、いろんなことに挑戦している。それが今作の特徴だ。

 歌詞も前向きな曲から、悲哀や慈悲など、多彩な感情を表現している。“アンダー・ザ・ボーズ”では<真意とは逆の邪悪な言葉を口走り、嫌われいく自分を殺してしまいたい>と、自己嫌悪な気持ちについて歌い、“ゲット・ファックド・アップ”では、<この星がみんな僕の心に舞い降りてくるのを、窓越しに見つめた日々は遠い昔になってしまった>と、彼女との楽しかった思い出について歌っている。“バイ・バイ・ベイビー”では、<バイバイベイビー、この愛ではダメなんだ>と、恋愛の終焉について歌っている。ドロドロとした内面の怨情や、孤独で惨めな気持ち、自嘲、やさしさ、慈しみ、思いやりなど、前向きな感情から負のネガティブな感情まで、じつに多彩でバラバラ。いろんな感情を感じながらも、すべて反省と後悔で統一されている。弱さも、汚らしさも、いやらしさもさらけ出した、人間味が溢れた作品といえるだろう。

 だが、いろんなことにチャレンジしすぎて、まとまっていない印象を受けた。感情のベクトルもいろんな方向に向かっているため、情念が定まっていない印象を受けた。個人的には悲しみなら悲しみだけ、怒りなら怒りだけど、一方向の感情で統一された、前作と前々作のような作品を作って欲しかった。そのほうが勢いも出たし、よかったのではないかと思う。だが、この作品の魅力は、現状に満足せず、新しいことにチャレンジしていく姿勢だ。なぜなら彼らの作品には全作品を通して、一貫して満たされない思いがあった。それがいままで精神的な部分だとぼくは思っていたが、ここではその思いが音楽の完成度に対して満足していないようにも感じに思えた。それがセイヴス・ザ・ディというバンドを、現在でも続けているモチベーションになっているのかもしれないとも感じた。そういった意味では、彼らの本質を垣間見れた作品ではないか。

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