プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2014年2月

2014/02/21

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 スウェーデンのハードコア・シーンを代表する元リフューズドのデニス(ボーカル&ギター)と、ガレージロックをベースにしたハードコアを展開していたザ・(インターナショナル)・ノイズ・コンスピラシーとパンクバンドのマエストリでベースとボーカルを担当していたサラなどのメンバーが集まって結成されたINVSNの13年に発表されたデビュー作。彼らの経歴から想像と、ノイジーで荒々しいハードコア・サウンドを奏るのかと思いきや、エコー&バニーメンやジョイ・デヴィジョン、キュアーなどに影響を受けたネオ・サイケ調のニューウェーヴ・サウンドを展開している。プロデューサーに、パブリック・イメージ・リミテッドやスージ&ザ・バンシーズの作品を担当したことで知られるニック・ローネイを起用。おそらく彼を起用した理由は、80年代のニューウェーヴのバンドたちのような、隔絶された孤独と、暗闇で鈍く光るロウソクの炎のような揺らめきの、空気まで表現したかったからだろう。ここで展開されているサウンドは、いうなら古きよき80年代の焼き直しで、古きよきものに新しさを加えて蘇らせたのではなく、完璧なノスタルジーを目指している。だがその古さが、今の時代のバンドたちにはない空気で、逆に新鮮に聴こえてしまう。おかしな逆転現象を引き起こしている。

 おそらくノスタルジックなサウンドを意識した理由は、デイヴとサラ両者の趣味がネオ・サイケに向かっているのだろう。だから素直に今現在自分たちが好きなサウンドを奏でたのだろう。現在の彼らの趣味が大爆発した作品といえるだろう。デビュー作で、手慣らしの状態といえる。もしかしたら次の作品で、また変わるのかもしれない。次作でオリジナルティーを獲得して、更なる進化を期待する。

2014/02/18

A Day to Remember (ア・デイ・トゥ・リメンバー)  『Common Courtesy (コモン・コートスィー)』

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A Day To Remember

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 13年発表の5作目。本作を発表する前、所属していたレコード会社、ヴィクトリーとの確執があった。2012年に起こったア・ディ・トゥ・リメンバー側がヴィクトリー・レコーズを訴えた裁判だ。うわさではア・ディ・トゥ・リメンバーに7万5千ドルのロイヤルティーを、ヴィクトリー・レコーズが支払わなかったため、提訴したそうだ。ヴィクトリーは金儲けのために、デビュー作のリメイクを発表したり、大ブレイクを果たした“ホームシック”を、DVD付きで再発したりと、同じ作品で再度儲ける商売方法をとっていた。おそらく再発分のロイアルティーがバンド側に支払わられていなかったたのだろう。それでア・ディ・トゥ・リメンバー側が提訴に踏み切ったと思われる。裁判はア・ディ・トゥ・リメンバー側が勝訴で終わるのだが、そこで勝ち取った条件は、自主制作でアルバムを発表できる権利も含まれていた。ヴィクトリー・レコーズとは、まだアルバムを2枚リリースする契約が残っていたため、裁判が長引いたのだ。けっきょく裁判は、ア・ディ・トゥ・リメンバー側の勝訴に終わり、バンドは無事2013年10月8日に5thアルバム『Common Courtesy』をリリースした。当初は公式サイトでの配信のみのリリースだったが、後に新曲を3曲追加した「Common Courtesy」のデラックス盤をCDと共に、2013年11月25日にリリースされた。

 そんな紆余曲折を経て発表された今作は、スコーンと突き抜けた作品に仕上がっている。今作も、前々作で確立したメタルコアのメロディック・パンク化というサウンド・フォーマットを踏襲している。変わった部分を挙げるなら、メロディック・パンクの曲の“シティー・オブ・オカラ”と“5”、メロディック・パンクをベースにデスメタルの要素を取り入れた“ライト・バック・アット・イット・アゲイン”、メロディック・デスメタルをポップ化した“サムタイムス・ユーアー・ザ・ハマー~”、メタルコアな曲の“デッド&ベリード”と“ヴァイオレンス(イナフ・イズ・イナフ)”、カントリー調のアコースティックな曲の“アイ・オールレディー・ゴーン”など、5つのタイプに分かれている。新しさが加わったという点ではアコースティックな曲だろう。それ以外のさほど変化を見せていない。

 今作で大きく変わった点を上げるなら、支配している空気だ。前作の内省的で、疎外や自閉といったネガティヴな要素がなくなった。今作では、ボーカル、ジェレミー・マッキノンがア・ディ・トゥ・リメンバーというバンドで過ごした人生を振り返り、集約した内容がテーマになっている。たとえば“シティー・オブ・オカラ”では、故郷の街で、バンドを始めたころの思い出を歌い、“ライト・バック・アット・イット・アゲイン”では、バンドで経験した失敗や挫折に挫けず、立ち向かっていく不屈の精神について歌っている。“アイ・サレンダー”では、つらさを乗り越えた先にある至福に満ちた感情について歌い、そして最後の“アイ・リメンバーでは”広大なアメリカ大陸を周る過酷なツアーで、辛かった思い出もたくさんあるけど、バンドでライヴをすることこそが、自分がこの世で生を受けた証であり、生きがいであり、この世に存在している証明になっていると結論付けている。

 ここで展開されているのは、バンドの歴史とそのエピソードだ。印象的な出来事について歌い、バンドで経験した嬉しかったこと、悲しかったエピソード、辛かった出来事など、喜怒哀楽すべての感情を吐き出している。だが全曲共通しているのは、人生にチャレンジしていく情熱と希望と明るさ。悲しくつらい出来事もあったが、前向きに自らの人生に立ち向かっていこうとする姿勢があるのだ。原点を失うことなく、未来に対する希望が貫かれている。外との世界に向かって挑んでいる姿があるのだ。未来へ向かって進んでいる姿勢が全面に出ているから、思い出に浸りながらも、けっしてノスタルジーになっていない。それが今作を希望に満ちたキラキラ光る作品にしている理由のだろう。その挑んでいく姿は、情熱的なわりにはさわやかで開放感に満ちている。その彼らの無色透明な純粋な姿勢はすばらしいし、今作もいい作品だ。

2014/02/05

ア・デイ・トゥ・リメンバー  『ワット・セパレート・ミー・フロム・ユー』

What Separates Me from YouWhat Separates Me from You
A Day To Remember

Victory Records 2010-11-15
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 10年発表の4作目。今作も前作と同じくらいのクオリティーを保ったいい作品に仕上がっている。前作『ホームシック』は、ビルボードのインデペンデント・チャートで1位を記録し、彼らの最高傑作と呼び声高い作品だった。今作を制作する上でモチベーションとなったのが、前作のヒットだそうだ。世間から『ホームシック』が最高傑作と評価されればされるほど、彼らには重荷になっていた。過去の自分たちを超えることが、今作を作る動機になっていたという。

 そんな彼らの世情がアルバム全体に反映されており、熱い作品に仕上がっている。サウンド的には今作も前作で確立したメタルコアのメロディック・パンク化というサウンド・フォーマットに変わはない。変わった部分を強いて挙げるのなら、ニュー・ファウンド・グローリーからの影響がなくなり、サニーディ・リアル・エステイト系のエモのメロディーを取り入れた部分か。あとはメタルコアな曲やメロディック・パンクの曲など、折衷スタイルではないストレートな曲が目立つ。

 サウンドを重視した今までの作品とは違い、今作では情緒的だ。絡み合っていた要素を2つに切り離すことが、アルバムのコンセプトだ。具体的に説明するなら、人間社会から自閉症のように隔絶された自分と、友達とコミニケーションをとる社会性にあふれた自分。善と悪。岐路に立たされどの道を選択するかの決断などだ。たとえば“ベター・オブ・ディス・ウエイ”では<人生の壁をこわす自分を誇りに思う/またはそこで躓いたら、最後に戻ってまたやり直す。私の人生は待つことに費やされた>と歌い、壁を壊している自分と、壊せる時期まで待った自分の気持ちを歌っている。“オール•アイ•ウォント”では、<私は正直なものを維持したい。私はあなたの人生の賭けた。私はあなたのすべてを疑問に思っておくことを憎む。そして壊れたため後悔を保存。>維持するものと、それを捨てて賭けに出ることの2つの気持ちを歌っている。

 その2つの要素から決断にする感情とは、人生の困難に立ち向かい前へ進んでいくような熱さ。そこには逡巡や優柔不断な感情はない。選択しやるだけのことをやって駄目ならしょうがないと覚悟を決めた決意を感じる。熱く情熱的な姿勢の裏側に、桜のように散っていくような清々しさと潔さがあるのだ。

 そこには、今作でこれだけ熱い作品を作った。これで前作を超えることができなければ、しょうがないではないかと、覚悟を決めた決意を感じる。前作を超える作品を作るという意気込みが、全作品のなかで一番熱く情緒的な作品に仕上がった理由だろう。自分の感じたことをありのまま吐き出した感情。過去の栄光と闘い、挑む気持ちが今作という傑作を作ったのだ。個人的には今作も前作と肩を並べるくらいこの作品が好きだ。

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