プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2014/02/18

A Day to Remember (ア・デイ・トゥ・リメンバー)  『Common Courtesy (コモン・コートスィー)』

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A Day To Remember

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 13年発表の5作目。本作を発表する前、所属していたレコード会社、ヴィクトリーとの確執があった。2012年に起こったア・ディ・トゥ・リメンバー側がヴィクトリー・レコーズを訴えた裁判だ。うわさではア・ディ・トゥ・リメンバーに7万5千ドルのロイヤルティーを、ヴィクトリー・レコーズが支払わなかったため、提訴したそうだ。ヴィクトリーは金儲けのために、デビュー作のリメイクを発表したり、大ブレイクを果たした“ホームシック”を、DVD付きで再発したりと、同じ作品で再度儲ける商売方法をとっていた。おそらく再発分のロイアルティーがバンド側に支払わられていなかったたのだろう。それでア・ディ・トゥ・リメンバー側が提訴に踏み切ったと思われる。裁判はア・ディ・トゥ・リメンバー側が勝訴で終わるのだが、そこで勝ち取った条件は、自主制作でアルバムを発表できる権利も含まれていた。ヴィクトリー・レコーズとは、まだアルバムを2枚リリースする契約が残っていたため、裁判が長引いたのだ。けっきょく裁判は、ア・ディ・トゥ・リメンバー側の勝訴に終わり、バンドは無事2013年10月8日に5thアルバム『Common Courtesy』をリリースした。当初は公式サイトでの配信のみのリリースだったが、後に新曲を3曲追加した「Common Courtesy」のデラックス盤をCDと共に、2013年11月25日にリリースされた。

 そんな紆余曲折を経て発表された今作は、スコーンと突き抜けた作品に仕上がっている。今作も、前々作で確立したメタルコアのメロディック・パンク化というサウンド・フォーマットを踏襲している。変わった部分を挙げるなら、メロディック・パンクの曲の“シティー・オブ・オカラ”と“5”、メロディック・パンクをベースにデスメタルの要素を取り入れた“ライト・バック・アット・イット・アゲイン”、メロディック・デスメタルをポップ化した“サムタイムス・ユーアー・ザ・ハマー~”、メタルコアな曲の“デッド&ベリード”と“ヴァイオレンス(イナフ・イズ・イナフ)”、カントリー調のアコースティックな曲の“アイ・オールレディー・ゴーン”など、5つのタイプに分かれている。新しさが加わったという点ではアコースティックな曲だろう。それ以外のさほど変化を見せていない。

 今作で大きく変わった点を上げるなら、支配している空気だ。前作の内省的で、疎外や自閉といったネガティヴな要素がなくなった。今作では、ボーカル、ジェレミー・マッキノンがア・ディ・トゥ・リメンバーというバンドで過ごした人生を振り返り、集約した内容がテーマになっている。たとえば“シティー・オブ・オカラ”では、故郷の街で、バンドを始めたころの思い出を歌い、“ライト・バック・アット・イット・アゲイン”では、バンドで経験した失敗や挫折に挫けず、立ち向かっていく不屈の精神について歌っている。“アイ・サレンダー”では、つらさを乗り越えた先にある至福に満ちた感情について歌い、そして最後の“アイ・リメンバーでは”広大なアメリカ大陸を周る過酷なツアーで、辛かった思い出もたくさんあるけど、バンドでライヴをすることこそが、自分がこの世で生を受けた証であり、生きがいであり、この世に存在している証明になっていると結論付けている。

 ここで展開されているのは、バンドの歴史とそのエピソードだ。印象的な出来事について歌い、バンドで経験した嬉しかったこと、悲しかったエピソード、辛かった出来事など、喜怒哀楽すべての感情を吐き出している。だが全曲共通しているのは、人生にチャレンジしていく情熱と希望と明るさ。悲しくつらい出来事もあったが、前向きに自らの人生に立ち向かっていこうとする姿勢があるのだ。原点を失うことなく、未来に対する希望が貫かれている。外との世界に向かって挑んでいる姿があるのだ。未来へ向かって進んでいる姿勢が全面に出ているから、思い出に浸りながらも、けっしてノスタルジーになっていない。それが今作を希望に満ちたキラキラ光る作品にしている理由のだろう。その挑んでいく姿は、情熱的なわりにはさわやかで開放感に満ちている。その彼らの無色透明な純粋な姿勢はすばらしいし、今作もいい作品だ。

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