プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2014/04/11

Letlive (レットライヴ)  『The Blackest Beautiful (ザ・ブラッケスト・ビューティフル)』

Blackest BeautifulBlackest Beautiful
Letlive

Epitaph / Ada 2013-07-08
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 13年発表の3作目。彼らの最高傑作と呼ばれる作品。事実イギリスのハードコア、ヘヴィーロック系専門雑誌の『ロック・サウンド誌』にて、2013年のアルバム・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。それほど世間的な評価の高い作品だ。

 前作はハードコアの延長上にあり、リフューズドなどの影響から抜けきれない作品であったが、今作ではどのバンドからも影響を感じさせない、彼らしかありえないオリジナルなサウンドに仕上がっている。サウンドのベースになっているのが、トライバルで呪術的なアフロ・ビートのリズム。前作のサルサのからさらにリズムを追求し、アフロビートにたどり着いた。そこに2ビートのハードコア、メタルコア、デジタル・ノイズ、メランコリーなメロディーギター、ドラマティックで絶望的な悲しみのクラッシクのキーボード、ソウル、ファンクなどを加えた。

 そしてこの作品をさらに複雑なものにしているのは、バラエティー豊かな歌い方のヴァリエーション。“バンジー(ゴースト・フェイム)”では息継ぎなく早口でまくし立てる歌い方で、“エンプティー・エルヴィス”ではマイナー・スレットのような核心だけを叫ぶ端的な歌い方。“ドリーマーズ・デディーズ”ではコーンのような悔しさと恐怖とが入り混じったおどろしい歌い方で、“ザット・フィアー・フィーバー”はR&Bのような歌い方を取り入れている。そして“ヴァージン・ダート”では映画音楽からの影響が強いバラード。全曲すべて違った歌い方をしている。その歌い方の違いを含め、ドラムやギター、ベースなどのすべてのパートにおいて、いろいろなジャンルの音楽が複雑に混ざり合っている。ここまでミクスチャー度が進むと、もはやハードコアではない。これはまさに最新型のヘヴィーロックといえるだろう。

 たいていのバンドはこれだけいろいろな要素を取り込むと、サウンドのまとまりを欠けてしまう。まとまりがないため、作品自体がとっ散らかった印象をあたえ、自分たちの個性が失われてしまう。自分たちはなにを演りたく、なにを表現したいのか、見失ってしまうケースが多々ある。だが彼らの場合、これだけ雑多性が進み、ハードコアからの影響が薄れたとしても、彼らの個性は失われていない。その理由はしっかりとした軸があるからだ。

 その軸となっている部分とは、怒り。一部絶望からくる深い悲しみと憤りのバラードがあるが、アルバム全体に貫かれているのは、尋常でないテンションの高さと、戦闘心や闘争心をかきたてる激しい怒りだ。今作のテーマは、巨額の富を得るため、低賃金で労働者を働かせ、富を搾取する企業の暴利や、人種差別と崩壊した家庭の虐待、新しい形の犯罪が起こる社会の病気など、支配者層や差別主義者への怒りがテーマになっている。

 その怒りが尋常でないテンションの高さと激しいエモーショナルを生み、アルバム全体を統一している。その統一感が、聴いていて闘争心をかきたて、熱い気持ちになれるのだ。それがこの作品のすばらしさだ。闘争心あふれるコンガのリズムと、扇情的なノイズギターと、激しいテンションのボーカル、サビの部分のメロディーの融合は、彼らしかありえない個性を確立しているし、まちがいなく2013年のベスト10に入ってくるいい作品だ。

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