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Chiodos  『Bone Palace Ballet』

ボーン・パレス・バレー:グランド・コーダボーン・パレス・バレー:グランド・コーダ
チオドス

ワーナーミュージック・ジャパン 2009-03-24
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 メジャーデビューをはたし、07年に発表された2作目。彼らの最高傑作はこの作品。前作のクラッシクをベースにした華麗で上品なメロディーと、スクリーモ・サウンドを踏襲し、さらに深化させている。

 今作ではとくにクラッシクの要素がさらに濃くなった。前作はピアノを中心としたメロディーだったが、今作ではエレガントなバイオリンなどの楽器が加わり、サウンドにより深みが増している。“トゥ・バーズ・ストーンド・アット・ワンス”では、ショックな告白を聞くよな劇的でドラマティックなバイオリンの音色が切迫感を煽り、“ウィ・スワム・フロム・アルバトロス~”では、怒りに満ちたノイジーな激しさが静けさへと急激に変わり、穏やかで洒脱なピアノの音が物哀しいメロディを奏でる展開。総じてエレガントなメロディーのバラエティーが増えている。そしてスクリーモの激しさの部分では、“レキシントン”のようにスクリームがない曲もあれば、怒りの咆哮や、恐怖の叫びなど、新しい形のスクリームが加わっている。ギターもアレンジが多彩になり、“ア・レター・フロム・ジャネル”では、蜃気楼のようなようなリヴァーヴ・ギターなどがあり、スクリーモ一辺倒だった前作よりも、演奏力と技術力が飛躍的に成長しているのだ。

 アルバムも全体を通して物語のような構成になっており、ショックな告白を受けるような悲劇から始まり、“インテンシティー・イン・テン・シティーズ”ではピアノの音が川のせせらぎのように優雅に繊細にキラキラと光っている希望に満ちた展開へと進んでいく。そして“ジ・アンダーテイカーズ~”では再び、地の底に落ちたような激しい苦悩で幕は閉じられる。紆余曲折がある展開に作品は仕上がっている。

 アルバムを全体を取り巻くクラシックの上流階級のような華麗な世界観は、前作から変わっていない。ただシェイクスピアの小説からインスピレーションを受けた歌詞は、ビートジェネレーション詩人であり、酒と喧嘩と女が大好きだったハードボイルド作家、チャールズ・ブコウスキーからの影響に、今作は変わっている。アルバムタイトルは、彼の作品からとったそうだ。

 だがそこにはチャールズ・ブコウスキーような、猥雑でハードボイルドな世界観はない。上流階級の気品と華麗で優雅な華やかさに、アルバムの雰囲気は満ちている。だがその内側には、アルバムジャケットにある上流階級の優雅で華麗な舞踏会に踊るドクロと同じ世界観の、華やかさのダークサイドに潜む、精神の破綻と死の匂いがある。そこにまるで蜘蛛の糸を渡っているかのような、精神の限界のふちをギリギリで渡るかのような危うさと脆さを感じることができる。蜘蛛の糸とは正気で、少しでも負荷をかけると切れてしまう。切れた先にあるのは精神の破綻だ。そんな精神の脆さをこのアルバムでは感じることができる。しかもその脆さがエレガント輝きを放っている。それがこのアルバムの魅力だろう。雨後の竹の子のように、似たようなサウンドのバンドが大量発生しているスクリーモ界のなかで、歪な個性を放った作品なのだ。

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