プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

スポンサードリンク


« 2014年8月 | トップページ | 2014年10月 »

2014年9月

2014/09/27

Texas Is the Reason (テキサス・イズ・ザ・リーズン)  『Do You Know Who You Are? Complete Collection (ドゥ・ユー・ノウ・ユー・アー?:ザ・コンプリート・コレクション)』

Do You Know Who You Are? Complete CollectionDo You Know Who You Are? Complete Collection
Texas Is the Reason

Revelation 2013-02-17
売り上げランキング : 202360

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 エモーショナル・ハードコアの最重要バンドのひとつであるテキサス・イズ・ザ・リーズンの95年に発表された最初で最後にして最高傑作のアルバム。このたびデビューEPと1ST、プロミス・リングとサミュエルとのコンピから1曲づつ、初期音源化の2曲が追加され、全曲リマスタリングされた。13年に発表された編集版だ。

 彼らの功績とは、エモーショナル・ハードコアというジャンルを確立ところにある。天下(ここでは音楽ジャンル)という名の餅を、信長が杵で搗いて、秀吉が捏ね、家康が食べると、いった戦国時代の例でたとえるなら、テキサス・イズ・リーズンは秀吉だろう。文字通りエモーショナルがこもった絶叫で、エモというジャンルを作ったエンブレイスやライツ・オブ・スプリングは先駆者的存在だが、大きなシーンを作るまでにいたらなかった。逆にエモのサウンド・フォーマットやアティテュードをポップ化し、不良にも優等生にもなれないという冴えない男というウィーザーの要素まで取り込んだジミー・イート・ワールドやゲット・アップ・キッズは、エモ・シーンがブレイクするきっかけとなったバンドとして知られ、家康の例えが合っているだろう。

 エモのアティテュードやサウンド・フォーマットを確立しながらも、大きなムーブメントが起きることも、売れることも決してなかったテキサス・イズ・ザ・リーズンは、まさに秀吉だろう。そのテキサス・イズ・リーズンが、確立したエモーショナル・ハードコアとは、内省的なアティテュードと、やりきれない想いを吐き出すような情動と、繊細なメロディーの静寂がアップダウンするサウンド・スタイルだ。テキサス・イズ・ザ・リーズン以前のニューヨーク・ハードコアは、マッチョな不良たちが反社会的で警察権力などにも暴力を辞さない、闘争的なシーンであった。それがテキサス・イズ・リーズンやサニーディ・リアル・エステイトなどのバンドが出現すると、文学的で喧嘩が弱そうで華奢な泣き虫な文学青年にもハードコアの門戸を開いた。そのサウンドは外へ向かっていたハードコアとは違い、繊細でナイーヴな内面世界を表現していた。

 改めて今回のリマスター盤を聴いてみると当時では気づかなかった細かい音のディティールがはっきりしている。そして彼らが確立したエモーショナル・ハードコアとは、エンブレストから続くノイズギターと、かすれた鼻声で絶叫するエモーショナルな歌声の“動”の曲と、ナイーブな感情を紡ぎ静かに鳴り響く“静”曲のメロディーにある。“動”と“静”のアップダウンにあるのだ。そこには外へ向かって突き進んでいくような熱い感情や爽快感はない。荒々しいノイズギターには、心の深淵にあるやりきれない思いを表現しているように感じるし、かすれた鼻声で絶叫するボーカルからは、他者に理解してもらいたい欲求のような衝動を感じる。そして穏やかで静かなメロディーには、傷ついた心をあやし慰めるような神経質な音がある。すべて一人称で完結している内向きな感情と、デリケートなメロディーが、エモーショナル・ハードコアのひ弱でうじうじしたイメージを作ったのだ。その新しいアティテュードに多くの人が共感したことは事実だが、ハードコア界に多くの敵を作ったもの事実だ。その賛否両論がこのバンドを売れることなく無名なままに終わらせた理由だろう。

 だがエモのサウンドフォマットととなる雛形を作ったのは、紛れもなくこのバンドだ。あとにJ・ロビンス(元ガバメント・リイシュー、元ジョーボックス)が、エモ界の辣腕プロデューサーとして知られるようになる理由は、この作品をプロデュースしたのがきっかけだ。それほど後世にあたえた影響はすさまじく、紛れもなくエモの名盤なのだ。

2014/09/20

Fartz (ファーティズ)  『Because This Fuckin World Still Stinks (ビコウズ・ディス・ファッキン・ワールド・スティンクス)』

Because This Fuckin World Still StinksBecause This Fuckin World Still Stinks
Fartz

Alternative Tentacles 1998-10-13
売り上げランキング : 592065

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 シアトルを代表するハードコア・バンドで、のちに加入するアキューズドのボーカル、ブレインが在籍していたことで知られるファーティズの98年に発表された3枚のEPをまとめたベスト・トラック集。

 その内訳は、1~9曲目までは81年に発表されたデビューEP『ビコウズ・ディス・ファッキン・ワールド・スティンク....』から全曲収録。10~25曲目までは、82年に発表されたEP『ワールド・フル・オブ・ヘイト』から全曲収録。26~35曲目までは90年に発表されたEP『ユー,ウィー・シー・ユー・クロウィング』から全曲収録。いままで発表された全曲を収録し、CD化された。

 反レーガン政権のイベントに参加したり、ポリティカルな姿勢や歌詞もさることながら、サウンドやジャケットデザインも、初期クラスや初期ディスチャージからの影響が強いハードコアだ。ただこのバンドがクラスやディスチャージのコピーで終わらない理由は、曲を1分台にファストに縮め、メタルのギターソロを導入したところにある。その3つの要素が融合して、このバンドでしかありえないスタイルのハードコアのスタイルを確立したのだ。

 『ビコウズ・ディス・ファッキン・ワールド・スティンク....』は、クラスからの影響が強く、ギターはパンクのように軽い音で、メロディー中心のサウンドだ。『ワールド・フル・オブ・ヘイト』はギターが重く分厚くなり、ギターソロがなくなっているのが特徴だ。ディスチャージからの影響が色濃くなり、ファストで重いサウンドだ。『ユー,ウィー・シー・ユー・クロウィング』は、8年ぶりという作品だけあって、前2作とは変わった部分がある。ギターソロが復活し、4ビートでスローテンポになった。ギターはノイズギターと2コードギターの2本で、コードの音の厚みにバリバリ響くノイズが加わり、さらに深みが増した作品に仕上がっている。

 個人的には『ビコウズ・ディス・ファッキン・ワールド・スティンク....』の曲が一番好きだ。その理由はパンクとハードコアやメタルを混ぜたオリジナルなスタイルがあるから。だが全曲通じてむしゃくしゃした気持ちや怒りを叩きつけるボーカルや全曲ファストで2ビート2コードをベースにしている部分では共通している。そのむしゃくしゃした怒りを叩きつける姿勢が最高だ。あとに結成するアキューズドとは真逆のアティテュードなのが面白い。まさにハードコアの名盤の1枚に入る作品だ。

2014/09/17

Closure in Moscow (クロジュア・イン・モスコ)  『Pink Lemonade (ピンク・レモネード)』

Pink LemonadePink Lemonade
Closure in Moscow

Sabre Tusk 2014-05-08
売り上げランキング : 74204

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 約5年ぶりとなる2作目。前作のアジア、メタル、ジャズ路線から一転、今作では70年代のサイケデリックに焦点を合わせた。世界観が180度変わった作品に仕上がっている。

 今作でもマーズ・ヴォルタやディア・ハンター、dredgなどからの影響が強い、プログレやサイケデリック、メタル、ファンク、ダンス・エモなどを切り貼りしたサウンド・フォーマットをベースにしている。今作も情報過多になるほどいろいろなジャンルの音楽を詰め込んでいる。取り入れた音楽こそ180度違うが、サウンドフォーマット自体は前作からあまり変わっていない。だが前作との一番の違いは世界観にある。前作も西洋世界から見た奇異なものを追求していた。そういった意味ではブレていないが、インドなどのエスニック色が強かった前作と比べると、今作では不思議の国のアリスのような小鳥がさえずるおとぎの世界を追求している。

 たとえば、“ザ・フール”と“Pink Lemonade”のイントロは違うメロディーだが、あえて同じメロディーが繰り返していると錯覚するような、同じ夢を繰り返すデジャヴの効果を演出している。また“Pink Lemonade”の6分ごろから始まる女性ボーカルの歌声には、まるで精神病者患者のような無邪気で無垢な狂った喋り方がある。

 そこにあるのはドラッグでトリップするようなサイケデリックな幻覚世界。今作では不思議の国のアリスのようなメルヘン世界に、ロバート・アントン・ウィルソン著の“サイケデリック神秘学――セックス・麻薬・オカルティズム”を合わせた内容ががテーマになっている。麻薬トリップで見たメルヘンな世界の幻覚を、サウンドに置き換えた。

 ぼくがこのバンドを評価している理由は、いろいろなフレーズの切り貼り方にある。初期マーズ・ヴォルタやディア・ハンターにインスピレーションを受けたフレーズの切り貼り方なのだが、その組み立て方がとても独特だ。たとえばアメリカのバンドではあまりいない、ファンク・ギターやコーラスをベースにしている。エモーショナルに感情が高ぶっていくボーカルが、いきなりなよなよしたソウルフルなコーラスなど、意外性のある展開が目立つ。80年代のような超絶テクニックの速弾きメタルのギターソロを取り入れたり、アメリカやイギリスでは忘れ去られている古きよきものを引っ張ってきて、オーストラリアという土地柄の独自の加工を施している。その切り貼りの仕方が、アメリカやイギリスのバンドではありえない発想なのだ。それが個人的にこのバンドを高く評価している理由なのだ。

 今作のメルヘンなラリった世界もすばらしかった。だが、けっして大人しいアルバムではない。総じてテンションが高くエモーショナルだった。前作よりも確実に成長を遂げて、すばらしい作品に仕上がっている。

2014/09/09

C.O.C(Corrosion of Conformity コローション・オブ・コンフォミティー)  『Ⅸ』

IxIx
Corrosion of Conformity

Candlelight 2014-06-22
売り上げランキング : 55040

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 14年に発表された9作目。日本語で『9』と付けられたタイトルだが、どうやら3作目と思われていた『テクノクラシー』は、EP扱いで、それを抜いた作品の合計が9作目にあたるようだ。10年の再結成以来、2年ぶりとなる作品だが、ベテランのバンドがこれだけ短いスパンでアルバムを発表するということは、それだけ彼らの制作意欲が高まっているからなのだろう。実際テンションの高い作品に仕上がっている。

 オリジナル・メンバーであるギターのウッディ・ウェザーマン、ベースのマイク・ディーン、ドラムのリード・ムリンの3人の不動のメンバーは、今作でも変わらない。サウンドはもはや80年代のときのような伝統的なハードコアに、メタルを取り入れた最先端のハードコアではない。しかも最先端のバンドやサウンドは、恐らく聴いていないし興味がないようだ。ここにあるのはモーターヘッドの影響が強い土臭いバーボンロックをベースにしたサウンド。そこに80年代のときのようなメタルのギターソロなどを加え、ハードコアの残滓を感じるギターフレーズも取り入れている。

 ここではファンの期待に応えようとする意識や、ハードコアのアティテュードやブレない信念を貫くという意識よりも、やりたいサウンドをただ純粋に楽しんでいる姿勢が窺える。彼らの趣味が大爆発した作品といえるだろう。純粋に音楽を楽しんでいる姿勢が、この作品にある種の魂を吹き込んでいる。ここにはハードコアの怒りこそないが、酒好きな荒々しい匂いのする猥雑なロックな彼らも、また違った魅力がある。

2014/09/08

C.O.C (Corrosion of Conformity コローション・オブ・コンフォミティー)  『Technocracy (テクノクラシー)』

TechnocracyTechnocracy
Corrosion of Conformity

Metal Blade 1999-11-13
売り上げランキング : 130696

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 87年発表の3作目。前作よりもさらにメタル化が進んだ作品。今作でもまたボーカルが、ベースのマイク・ディーンからノース・キャロライナ州の伝説のハードコア・バンド、アグリー・アメリカンズのサイモン・ボブ・シニスターに代わった。どうやら彼らは今作から、クロスオーバー・バンドとして、世間から認知されているようだ。

 サウンドスタイルには大幅な変化はないが、たしかに今作ではザクザク刻むギターのリフやテクニカルなメロディーからは、メタルそのものの影響を色濃く感じる。個人的にはハードコアとメタルの割合は、7対3くらいに感じか。とくにハードコアの影響が強いのは、スラップベースと断片的に残っているボーカルの、マイナー・スレットのような簡潔な言葉の歌い方と2ビートのドラムくらいか。曲が後半に進むにつれ、メタル色が強くなっていく展開だ。

 個人的にはハードコアのような真摯な姿勢や怒りを吐き出すような衝動が薄れてしまったのは、残念に思えるが、このクロスオーバーの形も彼らしかありえないオリジナルなスタイルだ。

2014/09/07

C.O.C (Corrosion Of Conformity コローション・オブ・コンフォミティー)  『Animosity (アモノシティ)』

AnimosityAnimosity
Corrosion Of Conformity

Metal Blade 1994-11-22
売り上げランキング : 56811

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ヴォーカルのエリックが脱退し、ベースのマイク・ディーンがボーカルを担当した85年発表の2作目。彼らの最高傑作はこの作品。前作で確立したブラック・フラッグやディスチャージなどのハードコアに、ブラック・サバスのギターフレーズを合わせたサウンドスタイルを、さらに深化させた。

 この作品が最高傑作と言われる所以は、前作の雑さがなくなり格段に演奏力が向上しているからだ。ハードコアとメタルとのクロスオーバー・バンドと知られる彼らだが、DRIやスイサイダル・テンデンシーズ、アグノスティックフロントなどのバンドと比べると、メタルの取り入れ方が、明らかに違う。その取り入れ方とは、ギターソロのテクニックも取り入れているが、それよりもスラッシュメタルのようなリフを重視している。でも厚みのあるギターと、最速スラップ・ベースの勢いはハードコアそのもの。勢いがメタルのリフよりも勝っているから、DRIやスイサイダル・テンデンシーズよりも、ハードコアな印象をあたえている。

 若干メタルからの影響を感じるボーカルのひねりの効いた歌声でマイナースレットのような簡潔な言葉を矢継ぎ早に捲くし立てるボーカルも彼らの独特の個性といえるだろう。めちゃくちゃな演奏のカオティックな曲もあって、ハードコアのなかでもオリジナルティーを感じるすばらしい作品だ。


2014/09/05

C.O.C (Corrosion of Conformity コローション・オブ・コンフォミティー)  『Eye for An Eye (アイズ・フォー・アン・アイズ)』

Eye for An EyeEye for An Eye
Corrosion of Conformity

Candlelight 2012-11-05
売り上げランキング : 40563

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ノースカロライナ出身のハードコア・バンドの85年に発表されたデビュー作。クロスオーバーの走りのバンドと捉えるべきなのか、ハードコア界のなかでもだれも真似することはできない独特なサウンドを展開していた彼ら。彼らの個性とは、ブラック・フラッグやディスチャージなどのハードコアに、ブラック・サバスのギターフレーズを合体を試みたサウンド。

 ブラッグ・サバスの影響をモロに感じるギターフレーズから、なだれ込むようにドタバタ疾走していくドラム。デス声の前兆となる叫び声で、簡潔な言葉を矢継ぎ早に捲くし立てるボーカル。演奏自体ものすごく未熟さを感じるが、その分勢いや衝動が半端なくすごい。当時、ギターフレーズや、極端なスローテンポから最速2ビートへ、シフトチェンジしていく、緩急をつけたハードコア・バンドはいなかった。彼らならではのオリジナルなスタイルを持っていたバンドなのだ。ギターフレーズなどを取り入れているが、分厚いギターのサウンドは、まさにハードコアど真ん中のサウンドだ。個人的には一番好きな作品。

2014/09/03

Twin Forks (ツイン・フォークス)  『An Introduction To Twin Forks (アン・イントロダクション・トゥ・ツイン・フォークス)』

10600461_739884899409450_8497710701

 フェイスブック上で発表された2枚目のEP。どうやら最近のクリス・ギャラハーは、ダッシュボード・コンフェショナルを再活動する気はないようだ。ここ2年、ツイン・フォークスの活動に熱心に力を入れている。

 おそらくそれほどこのバンドに手応えを感じているのだろうし、まだやり残したこともあるのだろう。ここで発表されたEPは、フェイスブックにあるツインフォークのファンページにて、無料ダウンロードすることができる。その内容だが、全4曲で、“バック・トゥ・ユー”と“キス・ミー・ダーリング”は、デビュー作『ツイン・フォークス』に収録されていた曲。“グッド・アンド・スロー”と“ミーン”は、新曲。“グッド・アンド・スロー”は、物思いにふけるような切ないバラードで、曲の展開によってトラディッショナル・フォークやカントリーなどのギターフレーズが入れ替わっていく。“ミーン”は現在、24歳の女性カントリーシンガー、テイラー・スウィフトのカヴァー。アメリカン・スウィート・ハートと呼ばれる彼女のカヴァーらしく、いかに相手を傷つけないかを思いやりながらも、好きという気持ちを抑えきれないという、複雑な感情を歌っている。サウンドもウクレレなどの新しい楽器を取り入れている。

 クリス・ギャラハーがツイン・フォークでそのやり残したこととは、アメリカのトラディッショナルなフォークやカントリーを、現代のサウンドにアレンジすることなのではないか。デビュー作では、カントリーやフォークをシンプルで素朴に演奏していたが、この2曲ではいろいろなフレーズを組み合わせ、隙間なく音が詰め込まれている。完璧主義者の彼の性格が如実に反映されているのだ。

それにしてもクリス・ギャラハーのアメリカ・ルーツ音楽に追求した活動は、自身の音楽性の幅を広げただけでなく、感情の表現も多彩になった。意外といまが彼の円熟期ではないか?そんなことを感じさせる作品だ。

                  こちらからダウンロード可能

2014/09/02

GREEN DAY 『Tre!』

トレ!トレ!
グリーン・デイ

ワーナーミュージック・ジャパン 2012-12-11
売り上げランキング : 78182

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 12年12月に発表された11作目。3部作の最後となる第3部。今作は、「パーティーの翌朝の自己反省」がテーマになっているそうだ。

 その「パーティーの翌朝の自己反省」とは、内省的な考えを意味する。たとえば“セックス、ドラッグス&ヴァイオレンス”では、<人生で一番つらい教訓を学んでいる>と歌い、“ナインティナイン・レヴォリューションズ”では、<労働者はこんなに廃れてしまったのか>と歌っている。ここでは自身の苦労や、弱者を挫き富裕層を優遇する政府への批判がある。自分の内面を見つめなおした結果、反省と弱者への思いやりに行き着いた。それが今作のやさしさとさわやかさに満ち溢れた原因なのだ。

 そしてサウンド面では、今作はミディアム・テンポのソフトでやさしい曲が多く占められている。“ミッシング・ユー”では、気だるい甘さを含んだコーラスがさわやかで優しい印象をあたえている。“ドラマ・クイーン”では『ウォーニング』のようなアコースティック・ギターを中心とした牧歌的なカントリーな曲で、暖かみにあふれている。まさに『ドゥーキー』にある“ホエン・アイ・カム・アラウンド”や『インソムニアック』にあった“86”のようなコーラスに特徴がある曲を、ソフィスケートし、増やした感じだ。

 今作が原点回帰という言葉に一番近い作品ではないか。その理由は、西海岸特有の明るくカラッとしたサウンドや、アメリカン・カントリーとラモーンズや初期ザ・フーのギターサウンドを融合した初期グリーンディならではの、オリジナルなサウンドをここで展開しているから。といってもただ原点回帰をしているのではなく、そしてそこに優しさや思いやりなどの心の暖かさを感じる要素が加わった。結果、センチで甘い大人の感情を表現した新しいグリーンデイの姿があるのだ。

 個人的には3部作のなかでは『ウノ!』が一番好きだが、それぞれに違った感情を表現しとサウンド3つとも違いがあって、楽しめる作品だった。

« 2014年8月 | トップページ | 2014年10月 »

スポンサードリンク


最近のトラックバック

無料ブログはココログ

スポンサードリンク