プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2014年11月

2014/11/21

Against Me (アゲインスト・ミー!)  『As the Eternal Cowboy (アズ・ザ・エターナル・カーボーイ)』


As the Eternal CowboyAs the Eternal Cowboy
Against Me

Fat Wreck Chords 2003-11-03
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 02年発表の2作目。彼らの最高傑作はこの作品。ベースがダスティン・フリドキンからアンドリュー・スワードにメンバーチェンジ。そのせいか、前作よりもボーカルの余分な力が抜け、男くさい気合いの入ったサウンドに仕上がっている。例えるなら、前作がバンジョーかたてソンブレロを被り、悲哀が入り交じったメキシコ風のカーボーイだとすると、今作はガンマンとバーボンが似合う土臭く荒々しいカーボーイ像だ。

 今作で多く変わったのは、やはりボーカルの歌い方だろう。前作までは苦しみに満ちた叫び声だったが、今作では気合の入った男くさい怒声へと変化している。ここには前作にあった羨望や理想への変身願望、悲哀やといった感情は見当たらない。“パーティーは終わった”という一節から始まり、突貫のような勢いで突き抜けていく。そこには祭りのあとの虚しい感情から始まり、開き直ったような気楽な感情がある。意気込んでも仕方がない、自分の好きなことを気楽にやろうとする意志と、猥雑で荒々しいエナジーに満ちている。熱さを通り越して、すがすがしさすらを感じ取ることができるのだ。

 彼らの個性であるカーボーイスタイルやカントリー&ウエスタンをベースにしたメロディック・パンクも、スカ調のノリのよさを取り入れたり、アコースティックギターとエレキギターの分厚いコードギターの2つになったお陰で、溶け合うバターのようにサウンドが融合した。口ずさみたくなるほどポップで、ここでは聴いていて、熱くなるし、勇ましい気分にもなる。どこかルーズで荒々しいカーボーイサウンドはカッコいいし、最高。それらが最高傑作の所以なのだ。

2014/11/17

Against Me! (アゲインスト・ミー!)  『Reinventing Axl Rose (リインヴェンティング・アクセル・ローズ)』


Reinventing Axl RoseReinventing Axl Rose
Against Me!

No Idea Records 2004-01-06
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 02年に発表されたデビューアルバム。アメリカン・パンクに、カントリー&ウエスタンやカーボーイソングなどを加えた、彼らならではのオリジナルなスタイルを構築したのはこの作品から。ラモーンズから影響の受けたノイジーで荒々しいギターに、猛り狂うカーボーイのメロディーを加え、苦悩に満ち溢れたボーカルのエモーショナルな叫び声で歌った。パンク荒々しさと、カーボーイスタイルの勇ましい叫びを加えた、激しい衝動に満ちた作品なのだ。

 おそらくこれほどの息詰まるような生々しい初期衝動に満ちあふれたのは、この作品のみだろう。普通、パンク・バンドの作品といえば、初期衝動に満ちた1作目や2作目が最高傑作であるケースが9割がた占める。だが彼らの場合、この初期衝動がけっして最高傑作ではない。たしかに“ヨルダンズ・ファースト・チョイス(日本語名:ヨルダンの第一選択)”や“ゾウズ・アナーコパンクス・アー・ミステリアス(日本語名:アナーコ・パンクは神秘的だ)”というタイトルの曲などは、政治的な怒りに満ちている。そこには<世の中を変えたい>という自らの理想へ世の中を変えたいという強い想いがあり、激しくエモーショナルで、パンクな作品であることに間違いはない。

 だがこの作品に関していえば、世の中や自分を変えたいという強い想いが、逆に空回りをしている。おそらく本人たちは意識して作っていないと思うが、このアルバムを全体を支配しているのは、理想主義的な考えだ。たとえばアルバムタイトルにある“リインヴェンティング・アクセル・ローズ”とは、ガンズ・アンド・ローゼズのボーカル、アクセル・ロースことだ。このアルバムでは、世の中を変えたいという政治理想と、アクセル・ローズのようなロックスターに憧れる羨望の想いに溢れている。その手の届かない位置にある理想主義が、届かぬ想いという哀愁に変わり、絶叫や衝動がなんともいえない息苦しさに繋がっているのだ。あまりにも理想主義的な考えが強すぎて、サウンドのかっこよさが後回しにされているのだ。だがサウンド的には前EPよりも、さらに飛躍を遂げている。おそらく今作の失敗点がつぎの最高傑作に繋がるヒントとなったのではないか。彼らの進化の歴史を知るうえでは重要な作品なのだ。

2014/11/11

Against Me (アゲインスト・ミー!)  『Acoustic Ep (2001 EP)』


Acoustic EpAcoustic Ep
Against Me

No Idea Records 2003-05-04
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 01年に発表された6曲入りのアコースティックEP。その名のとおりアコースティックギターのみで作られた作品だが、音楽的にけっして後退したわけではない。アコースティックのベースとなっている音楽は、カーボーイ調のフォークから、8ビートのスピード感あふれる速引きギターなど。意外とアレンジが豊富だが、音楽としてどうこうと判断するよりも、自らの言葉を伝えたいという想いが先行して作られている。それが彼らがこの作品を発表した意義なのだろう。

 ここにあるのは、、鬱積した感情を吐き出したいという想い。エモーショナルで感情にあふれた歌声からは、苦悩や苦痛すら感じられる。やりきれないほどの辛い気持ちをアコースティック・ギターに乗せているのだ。なおこのうちの4曲は、デビュー作『イズ・リベンティング・アクセル・ローズ』に収録され、ドラムやベース、エレキギターを肉付けされた完全版が発表されている。

2014/11/09

Against Me! (アゲインスト・ミー!)  『Crime as Forgiven (クライム・アズ・フォーギヴン)』

Against_me_crime

 01年に発表された2作目のEP。断片的ではあるが、彼らならではのスタイルを確立したのはこの作品から。とはいっても、この時点でもまだアコースティック・ギターを中心に、ボーカルが絶叫するサウンドは変わっていない。ただやみくもに叫んでいるだけだった前作までと比べると、歌ものとしての旋律が確立されているし、歌詞も聞き取れるようになった。何よりエモーショナルで感情が入り込みやすい作品に仕上がっている。

 とくにこの先、彼らの代名詞となるカーボーイ・ソングを取り入れたアメリカン・パンクという個性は、この作品から確立された。それを象徴しているのが6曲目の“バーン”。ここでは<ヒーハー>という叫び声とともに、カーボーイ調のギターを取り入れている。そのかきむしるように速引きするギターからは、乾燥した荒野を駆けるカーボーイのような勇ましさと狂おしいほどのエキサイトした熱狂を感じることができる。まだこの時点では、荒々しいロックギターを導入していないし、サウンドの完成度は低いが、彼らの熱意は伝わってくる。彼らしかありえないパンクスタイルを確立したのはこの作品からだ。

2014/11/06

Against Me! (アゲインスト・ミー!)  『2000 EP』

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 00年に発表されたデビューEP。世の中に発表した彼らのデビュー作はこの作品になるが、実際にプレスされたレコードの枚数は550枚ほどで、そのうち355枚は個人的な販売によって売られたという。

 公的なリリース作品だが、そのサウンドは今作も前作と変わらないアコースティックギターの旋律に、絶叫ボーカルが乗る展開。ただしアコースティックギターのベースになっているのは、フォークとカントリー。静と動のアップダウンなどエモからの影響を感じることができるし、ハーモニカなどの楽器や、エレキギターのバリバリと響くコードギターなどを加え、前作よりのさらに厚みの増したサウンドに仕上がっている。

 哀愁漂うフォークと牧歌的なカントリー。そこに哀愁や発狂しそうなほどの苦しさを感じる絶叫が入り混じっている。いうなら前々作と前作をそうまとめにしたサウンドなのだ。この作品でも彼ららしさはまだ発揮されていないが、一歩一歩確実に進化を遂げている。成長のあとを感じられる作品だ。

2014/11/04

Against Me! (アゲインスト・ミー!)  『Vivida Vis!』

Cover

 98年に発表された2枚目のデモ。今作も前作同様に、アコースティックギターと絶叫という部分では、まったく変わっていない。だが前作と比べると、はるかにエモーショナルな作品に仕上がっている。アルバム全体に漂っていた牧歌的なムードは薄れ、やり切れない想いや絶望などの鬱屈した感情を吐き出している。

 今作では演奏面でも感情が込められた作品だということが理解できる。ときよりブラストビートのようなドラムや力強く爪弾くギターからは、押さえ切れない感情の丈を感じることができるし、歌声の感情が高まるにつれ、動悸が高鳴るように演奏も熱みが増していく。ギターの音こそ単調なままだが、アレンジがバラエティー豊かになった。確実に成長の後が窺える作品だ。だがやはりデモの域から抜け出していないし、どんなバンドを目指しているのか、方向性も見えてこない。彼らの本領が発揮されるのは次の作品から。


2014/11/01

Against Me! (アゲインスト・ミー!)  『Frist Demo (ファースト・デモ)』

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 97年に発表された処女作となるデモEP。おそらくちゃんとした形での作品としてリリースするには、あまりにもクオリティーが低いため、しなかったのだろう。例えるなら、学生がバンドを始めて、初めて作ったオリジナルソングを寄せ集めただけの作品だ。だから、個性は確立されていないし、録音状態も悪い。

 サウンドはアコースティック・ギターの語り弾きで、これといった個性はない。落ち着きはらった歌声と、絶叫が交差する展開。絶叫しているわりにはエモーショナルな情動はあまり感じられない。どこか牧歌的なルーズな空気が漂っている。のちにカーボーイ色の強いメロディック・パンクという彼らならではの個性を確立するが、空気感だけはこの当時と変わっていないことが理解できる。まだこの時点ではサウンドの方向性は固まっていないが、彼らのルーツを知りたい方にお勧めの作品だ。

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