プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2015年2月

2015/02/17

Darkside NYC (ダークサイド・NYC) 『 Optimism Is Self-Deception: Vols. 1& 2 (オプティイズム・イズ・セルフ-ディセプション:Vols.1&2)』

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 デスコアの創始者であり、日本では極悪ハードコアと呼ばれたsheer trerer。その元メンバーであるギタリストのブレイクによって結成されたのがダークサイド・NYCだ。98年にファースト・アルバムを発表しているようだが、その17年間にたまった曲を収録したのが、今回発売された『オプティイズム・イズ・セルフ-ディセプション:Vols.1&2』だ。

 そのサウンドは、ヘルハマーやセルティック・フロストに影響を受けたブラック、ゴジックメタルとマイナースレットのスピーディーなハードコアをベースに、ノイズやグラインドコアなどの要素を加えている。メンバー自身、マーフィーズ・ローやシック・オブ・イットオールらと同世代で、オールド・スクールな部類に入る。といってもけっしてノスタルジーなサウンドではない。むしろニューヨーク・ハードコアの最先端を行っているバンドといえるだろう。

 その理由は、昨年発売されたニューヨーク・ハードコアの最先端のサウンドのバンドを集めたコンピレーション、V.A.『NYC Ground Zero』に共通している部分を感じるからだ。彼らとは世代も違うし、おそらく交流もないだろう。V.A.『NYC Ground Zero』からのサウンド的な影響を、この作品から感じることはまったくない。だが両者に共通しているのは、ノイジーなサウンドを展開している部分だ。とくにダークサイド・NYCは、日本のノイズの先駆者、灰野敬二の影響を色濃く感じる。激流のように渦を巻くノイズ音が、性急なスピードに代わり、ボーカルの叫び声が地の底から熱い感情を召喚していく。躁病的な焦燥で攻撃的で怒り狂ったハードコア・サウンド。ここではニュースクール・ハードコアやメタルコアとはまったく異なるベクトルのサウンドを展開している。まさにニューヨーク・ハードコアの最先端なのだ。

2015/02/16

鉄アレイ   『Ⅳ』

IVIV
鉄アレイ

インディーズ・メーカー 2014-12-23
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 じつに16年振りとなる3作目のアルバム。30周年を記念して発表された作品だが、これがすごくいい。個人的に彼らの好きな作品は、デビュー作の『鉄アレイ』。なかでも“自由のために”とい う曲が大好きだった。<期待を打ち砕かれ、希望を打ち砕かれ、何も恐れるな、何も怖がるな、狂った時の中に巻き込まれようとしても、必ず立ち上がり、顔を上げろ!>と叫ぶ歌詞と、すさまじいスピードと重く野太い3コードのギターサウンドからは、やるかやられるかの緊張感が張り詰めた緊迫した空気を感じ取ることができた。そこには絶望を恐れる自分との闘いがあり、弱い自分を鼓舞し立ち向かっていく尋常でないほどの緊迫が、たまらなく好きだった。

 そんな尋常でないほどの緊迫感に満ちた『鉄アレイ』のころと比べると、今作ではギターは複雑なアレンジに変化し、ドラムはスピードを落としたテクニカルな8ビートに変わった。スピード感こそ落ちたが、荒々しいギターサウンドを強靭なリズムに叩きつけ、簡潔な言葉で、怒りを吐き出す怒声のボーカルが際立っている。戦う対象が、自分の内面から外の世界に変わったのが今作の特徴だ。とくに印象的なのは歌詞だ。たとえば“ACCELERATION-加速-”では、<正義が正義と交錯する時代~加速する痛み、加速する怒り>と歌い、“NEW CLEAR WATER”では、<命削る最下層 光り輝くわが国は得意のトカゲのシッポ切り、人を人とも思っちゃいない>と歌っている。文学的で哲学的な歌詞だが、政権批判ともとれる内容だ。とある作家が、正義のための正義の行動は、巨大な悪に変わると言っていたが、まさにここで歌われている内容はそれに近いのではないか。

 歌詞から勝手に推測するぼくの解釈では、その顕著な例が9.11だ。首謀者たちは、アラブ社会とアラーの神の正義のためと言って若者を洗脳し、死後に天国へいけると諭し、テロを決行させる。正義のために3025人もの罪のない命を奪っていく。まさに正義が悪に変わる瞬間なのだ。だがいつの時代も支配者たちはのうのうと生き、いつも犠牲となるのは最下層の人々だ。安倍政権が掲げる正義にもこれに似ている。人質を取られているのに平気で敵対国に支援を表明し、一般市民である日本人の命を平気で奪っていく。そしてテロ国家が日本を攻撃対象にしていると言う理由で、憲法を改正しようとしている。軍隊を保持し、他国へ攻める国づくりをしようとしている。そして支配者層に殺されるのは、最下層にいる一般市民の日本人なのだ。

 まさに正義の名のもと行われる悪に満ちた行為なのだ。死にたくなかったら、現政権を否定し、平和を望む政権へ政治を変えろと、訴えているように思えた。政権批判をしていた社会派のパンクバンドたちが、情報規制する安倍政権によってダンマリを決め込んでいる昨今、彼らは巨大な敵に立ち向かっているのだ。本当の意味での平和を維持するため、権力に屈指ず戦い続ける姿勢があるのだ。そんな不屈のハードコア精神が、すばらしいと感じる作品なのだ。

2015/02/10

Unbroken (アンブロークン)  『It's Getting Tougher to Say the Right Things (イッツ・ゲッティング・タファー・トゥ・セイ・ザ・ライト・シングス)』

It's Getting Tougher to Say ThIt's Getting Tougher to Say Th
Unbroken

Indecision Records 2000-03-24
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 00年に発表された編集盤。その内訳は、92年から95年の間にリリースされたEP、コンピ収録曲などを、一枚にまとめた内容だ。1と2は、95年に発表されたEP、『Circa '77』から。3と4は94年発売の『-And/Fall on Proverb 7』から。5はジョイディヴィジョンのカバーで、94年に発表された『Abhinanda』とのスプリットから。6と7は93年に発表された『グラウンドワーク』とのスプリットから。8は、93年に発売されたコンピレーション『Lacking Mindset Compilation』に提供した曲。9と10は92年に発表したEP『ユー・ウォント・ビー・バック7』から。11は92年に発売されたコンピレーション『イッツ・フォー・ライフ』に提供した曲。いままで発表した全曲が収録されている。
 
 アルバムは年代をさかのぼるように曲順が並んでいる。3年という短期間しか活動しなかったせいか、どの曲も古さや演奏の未熟さを感じさせない。6,7,8は、『ライフ,ラブ,リグレット.』に収録された曲で、そのほかはアルバム未収録曲。とくにそのなかでも『ライフ,ラブ,リグレット.』以降の実験的な内容の曲を聴いていると、このバンドが存続して3枚目を発表していたのなら、さらに違った未来になっていただろう。とくにそう感じることができるのは3曲目の“アンド”で、ここでは電気系統がショートしたようなノイズギターが、静寂な空間をブンブンうねるベース・サウンドに入れ替わっていく展開だ。クイックサンドの『マニック・コンプレッション』が、この曲からアイデアを得て、さらに発展させたサウンドのアルバムを作ったことが容易に理解できる。そのほかにも2曲目の“クラッシュド・オン・ユー”は、静と動がアップダウンする展開で、当時のハードコア界としては最先端を行くサウンドだった。このEPたちを聴いて、ヒントを得て、その曲の先にある方向性を追及し、自分たちの個性を確立したバンドもたくさんいたのだ。後世に多大な影響をあたえた曲たちといえるだろう。前2作と同じくらいEPを集めたこのアルバムも、重要な作品なのだ。

 なお11曲目の“アンハード”の終わりにシークレット・トラックが4曲収録されている。


2015/02/07

Unbroken (アンブロークン)  『Life. Love. Regret. (ライフ,ラブ,リグレット.)』

Life Love RegretLife Love Regret
Unbroken

New Age Records
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 94年に発表された2作目。彼らの最高傑作。08年にはオルタナティヴ・プレス誌が“パンクのスタイルを作った23のバンド”のひとつに挙げ、アメリカのアマゾン・サイトでは、ハードコアのトップ5に入る最高の作品というレビューもあるほど、アメリカではかなり評価の高い作品なのだ。

 前作はヘルメットの影響が抜けきれなかったが、今作では確実にオリジナルティーあふれるサウンドを展開している。スローテンポでグルーヴィーなハードコア路線をベースにしつつも、最先端の音楽を貪欲に取り入れ、さらにパワーアップした作品に仕上がっている。“D4”では、エコー&バニーメンの陰りのあるギターを取り入れ、ヘヴィーなギターのリフとメロディーの調和の取れたサウンドを展開し、“イン・ザ・ネイム・プログレッション”では急にスピードが上がる展開で、“カーテン”では、ソニック・ユースのような5分を超えるノイズ・ギターのソロを曲の最後の部分に加えている。ニュースクールなハードコアなのだが、そこにいろいろな要素を加えたことによって、バラエティー豊かなサウンドを展開しているのだ。

 そして激しく荒々しいサウンドのなかにどこか冷静さを感じることができるのは、死に対して冷静に分析した歌詞。“レクーズ”では、<うつ病の恐怖の影を通して、私を(闇の世界に)引っ張る~私はうつ病の恐怖そのものを恐れるより、孤独を恐れる>という内容で、そこには冷静さのなかに恐怖と激情が入り混じった感情があり、内省的でシリアスな雰囲気を作り出しているのだ。

 当時最先端だったサウンドと、緊迫感に満ちた雰囲気が、この作品が最高傑作と呼ばれる理由なのだ。たしかにあとにニュースクール・ハードコアの代表格となるアースクライシスやマッドボールと比べると、アンブロークン自体が過小評価されているのも事実であろう。ニュースクール・ハードコアの先駆者的サウンドを展開していたのにもかかわらずだ。なおこの作品を最後にバンドは解散。そして3年後にギターのエリック・アレンは自殺したそうだ。

 現在、2014年の11月28日に、ブラック・フライデー/レコード・ストアー・ディに1000枚限定で、LP盤が発売された。


2015/02/04

Unbroken (アンブロークン)  『Ritual (リチュアル)』

RitualRitual
Unbroken

New Age 1997-05-01
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 サンディエゴ出身のニュースクール・ハードコア・バンドの93年に発表したデビュー作。メンバーは、のちにロカスト、スイング・キッズ、キル・ホリディなどで活躍する精鋭たちで構成されている。

 そのサウンドは、ヘルメットからの影響が強いスローテンポのグルーヴィーなハードコア。ザクザク刻む重く都会的なクールさと不良の匂いがするギターのリフ。怒りを刻むように叫ぶ迫力ある怒声ボーカル。男臭いOiコーラス。息詰まるような緊迫感と不良の匂いがする気合の入ったサウンドなのだ。

 彼らの功績はハードコアのスピード感を落としたところにあるだろう。彼ら以前のバンドは、2ビートでスピーディーであった。たしかにバイオハザードなどのスピードを落としたハードコア・バンドもいた。だがバイオハザードの場合、ツーバスやギターソロなどもあり、旧態依然の影響が強く、けっして最先端のサウンドではなかった。そんなバイオハザードと比べると、アンブロークンの場合、当時の最先端をいったサウンドだったのだ。彼ら以降のアース・クライシスやマッド・ボールなどのバンドはスピードを落とし、グルーヴに重点を置き、ニュースクール・ハードコアと呼ばれるようになった。アース・クライシスやマッド・ボールなどより、1,2年早かった彼らはまさにニュースクール・ハードコアの先駆者的な存在なのだ。

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