プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2015年5月

2015/05/30

Refused (リフューズド)   『Ep Compilation (EP・コンピレーション)』


Ep CompilationEp Compilation
Refused

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 97年に発表されたEP・コンピレーション。02年に再リリースという形でアメリカのエピタフ・レコーズから全世界盤が発売された。97年と02年盤では収録されている曲数が違う。世界普及された02年盤のほうが、曲数が少ない。その理由はとくにカヴァー曲で著作権の承諾が取れなかったそうだ。97年盤のほうを入手できなかったので、ここでは02年盤のほうを紹介したい。

 アルバムは年代が新しい順に収録され、1から4は98年に発表されたEP『ザ・ニュー・ノイズ・ジオロジー』から全曲収録。5から9は96年に発表された『ラザー・ビー・デッド』から全曲。10から16は95年に発表された『エヴィリラスティング』から全曲収録され、計16曲が収録されている。

 『ザ・ニュー・ノイズ・ジオロジー』は、98年の3作目のアルバム『ザ・シェイプ・オブ・パンク・トゥ・カム』のなかに収録されている“ニューノイズ”のシングルカットといえる内容で、そこに未発表曲が2曲収録されている形だ。このシングルは『ザ・シェイプ・オブ・パンク・トゥ・カム』とは違い、まだハードコアの残滓が残っている。とくにアルバム未収録曲である“2”は、エモのようなアップダウンを取り入れハードコアの新しい形を追求し、執拗に繰り返す重厚なギターフレーズにデジタルとプログレ的な要素を取り入れた“3”は“2とは異なるアプローチでハードコアの新しい形を追求している。

 そして『ラザー・ビー・デッド』は、これも『ソング・トゥ・ファン・ザ・フレイム・ディスコンテスト』のなかに収録されている“ラザー・ビー・デッド”のシングルカットといえる内容で、自由で遊び心にあふれた曲が多い。“6”では、スウェーデン語で歌い、いままでと違った滑らかさがある。“8”はクイックサンドのようなギターラインで、アルバムでは収録されていない実験的なタイプの曲だ。そして“9”も、ギターフレーズのみのイントロという実験的な要素をたくさん盛り込んでいる。

 最後の『エヴィリラスティング』は、デビュー作の『ディス・ジャスト・マイト・ビー・ザ・トゥルース』同様、まだ自分たちのスタイルを模索している段階で、先駆者の影響から抜けきれていない。 “11”は歌い方こそニュー・スクール・ハードコアそのものだが、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの“フリーダム”のように、ラストが急にスピードが上がりなだれ込むような展開で、“13”ではヘルメットのような重厚で金属的なリフに、ブラストビートのような、なだれ込むようなスピードを合わせた曲だ。全体的にスローテンポから急スピードに変わる曲が多く、ボーカルはニュースクール・ハードコアのような歌い方で、とくにヘルメットメタリックなギターからの影響が強い。このEPでは、まだリフューズドのスタイルが確立されていないのが理解できるし、ここで提示したニュースクール・ハードコアにプラスアルファーを加えたサウンドは、この先この路線を追及せず、捨ててしまった要素が強いのだ。そういった意味ではレアなサウンドといえるだろう。

 この3枚のEPを通じて共通していることは、太く荒々しいギター・サウンドをベースにしながらも、そこにプラスアルファを加え、ハードコアをつねに変化させている部分だ。たしかに失敗と捉えてこの先サウンド路線を追及するのを辞めた方向性の曲もあるが、全般的にアルバム・コンセプトという制約のない分、プログレなどを取り入れたり、スウェーデン語で歌ったりと、自由で遊び心あふれた実験なものを提示している。アルバムにないタイプの曲が多く、彼らのレアな一面が見られる作品だ。

2015/05/22

Refused (リフューズド)   『Demo Compilation (デモ・コンピレーション)』


Demo CompilationDemo Compilation
Refused

Epitaph Import 1997-09-14
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 97年に発売されたデモ・コンピレーション。リフューズドが結成して間もない初期のころのデモを収録した作品。その内訳は、1曲目から8曲目は、92年に初レコーディングされた『ファースト・デモ』と名付けられたEPからで、全曲収録。9曲目から15曲目は、92年にレコーディングされ発売された2作目のEP『セカンド・デモ』から、全曲収録。16曲目から21曲目までは未発表曲で、計21曲が収録されている。

 『ファースト・デモ』は、2ビートのスピーディーなハードコアな作品で、スウェーデンハードコアのレジェンドであるモブ47のゴリゴリの2ビート、2コードサウンドや、アグノスティック・フロントばりのギターソロなど、彼らが影響されてきたものを色濃く感じる。バンドを始めたころにありがちな、自分たちのサウンドのベースを固めることに必死で、先駆者の影響から抜けきれておらず、オリジナルティーを確立するにいたっていない作品といえるし、とくに途中で音のボリュームが大きくなるなどマスタリングの状態も悪い。まさにデモをそのまま収録している。

 そして『セカンド・デモ』は、演奏技術が前作よりもさらに向上している。とくにギターは音の厚みは増し、ヘヴィーに重く仕上がっている。前作の2コードと3コードのハードコアだけでなく、ユース・オブ・トゥデイのようなザクザク刻むリフや変則的なリズムなどのプラスアルファーな要素を取り入れている。緩やかであるが成長に進化を遂げていることを感じる作品だ。

 確かに両デモとも演奏技術的が未熟であることは間違いない。だが、この作品の魅力はリフューズドのツールがスウェーデンの伝統に沿って出てきたということと、ハードコア以外のバンドで影響を受けたのが誰であるかが理解できるという、その2点に尽きるだろう。とくに面白いのがハードコア以外の影響の部分だ。今作では、AC/DCやモトリークルー、ビスティー・ボーイズなどをカヴァーしている。ハードコア・バンドではない彼らをカヴァーした理由は、おそらくただ純粋のそのサウンドが好きだからだろう。AC/DCからはギターフレーズの間の取り方を学び、モトリークルーからは、執拗に繰り返されるカッティングギターなどの演奏技術を取り入れている。そしてビスティーボーイズから、ピップホップというロックとは関係のないジャンルのサウンドを柔軟に取り入れる方法を学んでいる。

 社会主義者という思想的や、スウェーデン・ハードコアの伝統という、ハードコアに対する尋常でない誇りと拘り持ちながらも、サウンド的には従来のハードコアに固執をせず、柔軟にいろいろなテクニックを取り入れている。それがリフューズドというバンドの特徴といえるだろう。ハードコアの伝統と革新性が結びついたそのアティチュードが、このバンドが一番評価されなくてはいけない部分なのだ。そこ事実を気付かせてくれる作品だ。

2015/05/04

Refused (リフューズド)   『Songs to Fan the Flames of... (ソング・トゥ・ファン・ザ・フレイム・オブ・ディスコンテント)』


Songs to Fan the Flames of...Songs to Fan the Flames of...
Refused

Burning Heart 2004-05-23
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 96年に発表された2作目。これがすばらしい作品に仕上がっている。前作のユース・オブ・トゥディに影響を受けた、変則的なリズムのギターのリフやOiコーラスなどが特徴的なハードコアを、さらに進化させた。ここまでくるともはやユース・クルー・ハードコアではなく、独自の進化を遂げたオリジナルティーあふれるハードコアに仕上がっている。

 今作ではフガジのいろいろな要素を詰め込んだ実験性あふれるフレーズと、ユース・オブ・トゥディの変則的なリズムのハードコアをベースに、ボーン・アゲインストのようなカオティックな要素、クイックサンドのような裏側でなっているような音、テキサス・イズ・ザ・リーズンのエモーショナルに、リフューズドならではのオリジナルティーを加え、独自な進化を遂げている。

 とくにすごいのが、簡潔な言葉で怒りを叫ぶスタイルのボーカル、デニスの怒声。尋常でない怒りと闘争心がアルバム全体を支配している。アルバムタイトルにある『ソング・トゥ・ファン・ザ・フレイム・オブ・ディスコンテント』とは、スウェーデンの産業労働者を支援する活動家で、IWWという労働組合のための応援・団結ソングを作っていたジョー・ヒルの“リトル・レッド・ソング・ブック”という曲から採られている。歌詞の内容もその曲からインスピレーションされ書かれ、たとえば “ラーダー・ビー・デッド”では、<あなたの言いなりになって生きるなら、いっそ死んだほうがいい>と歌い、“クルセイダー・オブ・ホープレス”では<彼らは1000の言い訳と謝罪をする。そして同じ過ちを繰り返す>と歌っている。そこには、権力者への反抗と、資本主義というシステムへの欠陥と怒りが込められている。労働者が一生懸命働き生産した利益の上前をピンはねして富をむさぼる富裕層への尋常でない怒り。まさに弱者のためのハードコアなのだ。

 スウェーデンというアメリカとは離れた土地柄が功を奏したのか、彼らのサウンドはポスト・ハードコアのなかでも独特の進化を遂げている。独特のリズムで怒りを刻み込むようなノイジーで分厚い音のギター、厳かな重低音のベース、雪崩のようなドラム。そこには不穏な空気を漂わせる不気味な静けさに満ちたギターのメロディーが突如激しさへと変わり、急激にギターのイズの洪水が押し寄せて、躁病のようにめまぐるしくギターフレーズがくるくると変化していく展開がある。あとにリフューズドが提示したサウンドがさらに進化してカオティック・ハードコアと呼ばれるようになるが、ちょうどこのころは、実験的なギターのリフやトリッキーなリズムのドラムなどの要素を詰め込んだフガジや、ネオ・サイケデリックな要素をハードコアに取り入れたクイックサンドとは違ったガラパゴス的な進化を遂げた亜種のポスト・ハードコアとして捉えられていたのだ。

 スローテンポでメタルのリフやヒップホップの要素を取り入れたニュースクール・ハードコアがシーンの主流となっていた当時、突然変異な進化を遂げた彼らのハードコアには唯一無二のオリジナルティーがあったのだ。すばらしい作品だ。


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