プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2016年3月

2016/03/22

Pg. 99 (ページ・ナインティーナイン)    Document #8 (ドキュメント No8)

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アメリカはバージニア州出身のスクリーモ・バンドの01年に発表された2作目となるアルバム。メンバーはボーカルが2人、ギターが3人、ベースが2人、ドラムが1人の計8人からなる大所帯で、彼らの作品は、スピリット、シングル、EP、アルバム、すべての音源がDocument No.○○という形で発表されている。そのうちNo.8はアルバムで9曲が収録されている。

彼らはエモがスクリーモに進化する過程に活動していたバンドで、スクリーモがメタルの亜種となる前の、ハードコアの残り香が残ったスクリーモ・バンドとしてジャンル分けされていた。アメリカではリアル・スクリーモのレジェントとして語られてきたバンドの一つだ。

スクリーモのレジェントとして語られている彼らだが、ここで展開されているサウンドは、スクリーモというよりカオティック・ハードコア。その証拠にリミキシングにコンヴァージのカートが担当している。躁病的なけたたましい叫び声のボーカルや狂ったような勢いで叩くドラム、洪水のような激しさのノイズギターからは、まさしくコンヴァージからの影響を色濃く感じる。だがコンヴァージとの明らかな違いは、メロディーと静のパートを導入している部分にある。そのメロディーだが、深い沈黙の先で不気味に鳴り響いているようなメロディーがループし、まるで高速回転する万華鏡を除いているのような、カオティックな気分に陥る。静の部分はほかのエモバンドとは違い、いじけたようなナイーブなメロディーではない。そこにあるのは中毒患者が夢見るような不気味にキラキラと光る妖しげで幻想的な世界だ。静を妖しく妖艶に変化させ、動をエモよりさらに激しくカオティックにデフォルメさせたサウンドなのだ。いまカオティック・ハードコアとは、突発的な発生したジャンルとして語られているが、元来はエモから進化したサウンドなのだ。この作品はエモからカオティック・ハードコアの進化の過程で現れた作品なのだ。

2016/03/16

Disgrace(ディスグレイス)   『True Enemy (トゥルー・エネミー)』

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現TWITCHING TONGUES(トイッチング・タングス)のタイラー・ヤングがボーカルを務め、Forced Order(フォースド・オーダー)のケイル・トーマスがギターを担当し、カルフォルニア州オレンジカウンティーで結成されたのハードコア・バンドの15年に発表されたデビュー作。正直、ここまでいろいろなバンドを掛け持ちしていると、どれが本命のプロジェクトなのか分からないが、どのバンドも違ったサウンドのハードコアを展開している。

このバンドで演奏されているのは、ニュースクール・ハードコアの発展形サウンド。90年代に日本で極悪ハードコアと呼ばれたマローダーやオール・アウト・ウォー、コウルド・アズ・ライフなどのサウンドを進化させた。ジャンル的にはニュースクール・ハードコアをもっとメタルよりに進化させた、デスコアとでも呼ぶべきサウンドだ

その進化とは、いろいろなテクニックを盛り込んでいる。地獄のうめきのような声とモーターヘッドのようなバーボンが似合う猥雑でハスキーな歌声を使い分けるボーカル、ニュースクール・ハードコア特有の重く金属質なギターのリフを中心としながらも、ループするギターのリフや、警告音のように鳴る高音ギターなど、いろいろな要素を取り入れているギター、そして終始グルーヴに主眼を置いたスローテンポながらも、ブラストビートから、4ビートまでいろいろなリズムを刻むドラム。緊張感やタイトさ切迫した感情こそないが、テクニックに重点を置くことによって、進化したニュースクール・ハードコアを展開しているのだ。それがこのバンドの個性といえるだろう。

ヘビーロック、ハードコアというこだわりを持ちながらも、マストドンの影響が強く邪教崇拝のトイッチング・タング、オールドスクール・ハードコアの影響が強くスピーディーなサウンドのフォースド・オーダー、そしてニュースクール・ハードコアの影響が強くグルーヴィーでテクニックに重点を置いたDisgrace(ディスグレイス)と、3者3様にネクストレベルのハードコアを追求し、異なるサウンドを展開しているのだ。

どのバンドも遊び感覚ではなく、微妙に異なる一つのジャンルにこだわりを持って演奏している。だからどのバンドも本命といえるのではないか。またこの作品も、新しい形のニュースクール・ハードコアが提示されていてすばらしい。


2016/03/07

ignite(イグネイト) 『A War Against You(ア・ウォー・アゲインスト・ユー)』 

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 じつに10年ぶりとなるオレンジカウンティー出身のメロディック・ハードコア・バンドの5作目。今作もまたブレない信念のもと、メロディックなハードコアを展開している。

 彼らのサウンドとはアメリカンなオルドスクール・ハードコアをベースに、メロディックなギターとボーカルを加えたライフタイム系のメロディック・ハードコア。初期のころかハードコアにメロディーラインを取り入れていたが、とくに分岐点となった作品は『アワ・ダーキスト・デイズ』。以降はメロディーラインを強調し、よりメロディックな方向に深化をしてきた。その流れは今作でも変わらない。彼らの個性のひとつでもあるメロディーラインの強い熱い歌声のボーカルは今作も健在。今作の変化を挙げるのなら、メロディーラインの強いコーラス、愁いを帯びたギターメロディーなど。曲調もライズ・アゲンイストやモトリー・クルーから影響を受けた曲が増え、メロディック化がさらに進んでいる。メロディックに深化することによって、さらに円熟味が増しているのだ。

 そしてなりより彼らの最大の魅力であり、初期のころから一貫してブレないのがその信念。絶望から這い上がっていく闘争心に満ちた熱い内容の歌詞、環境保全やヴィーガン思想を掲げる政治的な姿勢など、まさに直球ともいえるパンクな内容といえる歌詞は今作でも全く変わっていない。

 今作では戦いがテーマになっている。“ビギン・アゲイン”では挫折から再び立ち上がっていく熱い気持ちを歌い、“ディス・イズ・ア・ウォー”では、富裕層の金儲けのために行われる戦争への批判をし、“ナッシング・キャン・ストップ・ミー”では脳腫瘍にかかった友達のことを歌っている。挫けそうな弱い自分との闘いや、病気との闘い、1%の富裕層だけを優遇する政治との戦い、あらゆる戦いの形がテーマになっているのだ。

 それにしても熱い。その熱さとは、どんなに打ちのめされても、たとえいまがもっとも最悪な状況でも、立ち上がっていく姿勢。アルバム全体、そんな熱気でみなぎっているのだ。今作でもその変わらない熱意が魅力なのだ。今作もその熱気がすがすがしいほど好感を持てるいい作品なのだ。

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