プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

スポンサードリンク


« 2016年6月 | トップページ | 2016年8月 »

2016年7月

2016/07/30

YOUTH BRIGADE (ユース・ブリケード) 『COMPLETE FIRST DEMO(コンプリート・ファースト・デモ)』


COMPLETE FIRST DEMOCOMPLETE FIRST DEMO
YOUTH BRIGADE

DISCHORD 2015
売り上げランキング : 591642

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

DC初期に活動していた伝説のバンド、ティーン・アイドル。そのバンドが解散し、ボーカルを担当していたナザンによって、結成されたバンド。まだマイナー・スレットが誕生する前のDCハードコアの創生期に活動していたバンドで、最初にして最後の作品。ディスコード初期に録音されたデモで、倉庫から発掘され、34年の歳月を経て、このたびEPにてリリース。

そのサウンドとアティテュードからロウ・スラシュ・ストレートエッヂといわれたバンドで、この時期のハードコア・バンドにありがちな、線香花火のように瞬間に激しく燃え散っていったバンドの典型だ。その活動期間の短さと同じく、アルバムにトゥーヤング・トゥーダイ的な瞬間の熱意、衝動、エナジーといった若さ全てを閉じ込めた。そのサウンドはディスチャージの影響が強いハードコア。ディチャージの2コード2ビートという歯切れのよさを、さらに短くファストに発展させた。

いうならこのあとDCコアシーンの代表格となるマイナースレットにいたるまでの途中段階にあるサウンドといえるだろう。マイナースレットほどの決定的なサウンドの個性が確立されていないが、個性的なアテテュードのアイデアがマイナースレットに近いという、発展途上段階にあるのだ。

だがDCシーンを語るうえではこのバンドを外すことが絶対にできないだろう。なぜなら、ガバメント・イシューやダグ・ナスティーというバンドたちからも、このバンドからの影響をほのかに感じ取ることができるからだ。そういった意味では、資料的な意味合いの強い貴重な作品といえるだろう。

2016/07/21

NYHC:New York Hardcore 1980-1990(ニューヨークハードコア 1980-1990)

NYHC: New York Hardcore 1980-1990
NYHC: New York Hardcore 1980-1990Tony Rettman Freddy Cricien

Bazillion Points LLC 2014-12-30
売り上げランキング : 51942


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

14年に発売されたニューヨーク・ハードコアを紹介した本。ニューヨーク・ハードコア・シーンの始まりである80年から、ニュースクールにシーンが変わる90年にかけての10年間だけに焦点を絞り、シーンの動向とバンドを紹介した内容だ。

トニー・レットマンというアメリカン・ハードコアに精通したライターが、当事者たちの証言をインタビュー形式で語っていく内容で、いままで日本では知られていなかった事実がここでは収録されている。たとえばニューヨーク・ハードコアの誕生の歴史はのちにクロマグスを結成するハーレー・ブラナガンがドラムを担当していたザ・スティミュレイターズが始まりとする話は初めて聞いた。

そのほかにも日本でも語られているニューヨーク・ハードコアのコミュニティーを形成する発信地となった伝説のライブハウスCBGBや、DCやボストンという地域対決、拠点をニューヨークに移したバッド・ブレインズがニューヨークのバンドたちに与えた影響、メタルとハードコアの融合と対立、そしてユース・オブ・トゥデイやゴリラビスケッツなどの新世代のバンドたちによって、シーンが変わっていく様子、クリシュリナ教がシーンに与えた影響など、ニューヨーク・ハードコア・シーンで10年にあった出来事を、52のチャプターに分け、すべて語っている。

06年に上映された映画アメリカン・ハードコアは、ブラッグ・フラッグを中心に、カルフォルニアから誕生したアメリカン・ハードコアがアメリカ全土に飛び火し、その土地々の地域性と融合し、個々のバンドにオリジナルティーを確立していく過程を紹介した映画だった。このニューヨークのみを限定したこの本を読んでみると、細かな細部で事実が食い違っているものだということが理解できる。というか、ニューヨーク・ハードコア自体が、特殊で独特なシーンだったのだ。ニューヨークとほかのハードコアシーンとの違いは、スピード感にある。その理由もバッド・ブレインズがあたえた影響が大きく、思想的にもブラッグ・フラッグのバイオレンスなハードコアとは一線を画した、宗教と結びついたピースフルな一面も存在した。ニューヨークという大都市のせいなのか、ハードコアにスカを取り入れたマーフィーズ・ロー、変則的なリズムを取り入れたユース・オブ・トゥディ、明るくポジティブさにあふれたゴリラビツケッツなど、いろんなジャンルの音楽をどん欲に取り入れ、個々に昇華していったものこのシーンの特徴の一つだ。

これ一冊でニューヨーク・ハードコアのオールドスクール・シーンのすべてが分かる貴重な本なのだ。

2016/07/07

Modern Pain(モダン・ペイン)  『Peace Delusions(プリーズ・デリュージョン)』

Peace DelusionsPeace Delusions
Modern Pain

Bridge Nine Records 2015-09-17
売り上げランキング : 947463

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

15年に発売されたダラス出身のハードコア・バンドの1st。ニュースクールやオールドスクールなどの発展型と違い、独特なハードコアを展開している。

その彼らならではの独特なサウンドとは、荒れ狂うノイズが渦巻くハードコア。ベースにあるのは、初期スロッピング・グリッスルをさらに荒々しくした暴虐ノイズ。そこに勢いあるハードコアを加え、爆裂ノイズなハードコアを展開している。

ノイズが中心のサウンドだが、それにしてもいろいろな音楽を咀嚼している。スクラッチ・アシッドやジーザスリザードのポストコアから、2コードのディスチャージ、超絶テクニックのパワーヴァイオレンスに、重厚なメタルのニュースクール系ハードコアのリフ、SSDやポイズン・アイデア、インフェストから多大な影響を受けたオールドスクール・ハードコアの焦燥感など、いろいろな要素を、バリバリと響く、不快で攻撃的な雑音ノイズにまとめ上げている。

全体的に80年代のハードコアの匂いが強いサウンドだが、そこには徹底して破壊しつくまでの暴虐性が支配している。全体を支配している鼓膜が破れる勢いのバリバリ響くノイズには灰をも残さないほど徹底的に焼き尽くす爆撃機のような衝撃を感じることができるし、怒りの絶叫をあげるボーカルからは強烈な加害者意識を感じる。ここには悲しみや哀れみなどのダウナーな感情は一切ない。あるのは怒りや衝撃といった躁の感情のみだ。これほど荒れ狂い不快なサウンドを追求しているハードコアはひさびさに出会った。すばらしい。

« 2016年6月 | トップページ | 2016年8月 »

スポンサードリンク


最近のトラックバック

無料ブログはココログ

スポンサードリンク