プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2016年10月

2016/10/31

BURN(バーン) 『​From the Ashes (フロム・ザ・アッシュズ)』

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 89年から活動を続けるニューヨーク・ハードコア・バンドの、じつに14年ぶりとなる4作目のEP。

 今作を含め過去4作は、4曲入りのEPが3枚、6曲入りのアルバムが1枚と、活動期間のわりには持ち歌の数が極端に少ないバンドだが、それだけ曲にこだわりをもっている。気に入らない箇所は修正され手直しを加え、試行錯誤を繰り返しながら、選ばれた曲たちなのだ。まるで日本酒の大吟醸の米のように、極限まで研ぎ澄まされ、吟味されている。だからハードコア・バンドにありがちな、どれも同じ曲に聞こえるような駄作と呼ばれる曲はそこには1曲も存在しない。

 彼らのいままでの作品の変遷を説明すると、ゴリラビツケッツやシック・オブ・イット・オールなどのユース・クルー・シーンを集約したサウンドを展開したデビューEP。スピードよりもスローテンポのグルーヴを重視した曲に、ファンクやヒップ・ホップ、オレンジ9㎜やレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの要素を加えた、同時の最先端をいったニュースクール・ハードコア。そして今作では、また違った別のアプローチを展開している。

 そのサウンドは次世代のハードコアと呼べるオリジナルなハードコア。1曲目の“Novelist”はまるでミクスチャーロックのように複雑に入り組んだ展開のテクニカルなギターが魅力な曲。2曲目の“You Can’t Stop Me”は2ビートでハイテンポのオールドスクールなハードコア。3曲目の“We Don’t Stand A Chance”はジーザス・リザードから発展したポストコアにサイケデリックなギターを合わせた展開。

 歌声はボーカルそのものが代わったのかと思わせるぐらい甲高く危機感を煽るような声に変化し、それぞれにジャンルが異なる方向性の曲で、過去の面影を感じないくらい変化をしている。だがどの曲もハードコアのスピリッツにあふれている。なにより全作品で共通する、薄汚れた路地裏の地下道で、銃口を向けたギャングたちに絡まれるような、危なさを感じる緊迫したニューヨーク・ハードコアの独特な雰囲気は失われていない。今作も3曲と少ないがそれぞれに魅力の詰まった作品だ。

2016/10/20

A Day To Remember(ア・デイ・トゥ・リメンバー)  『Bad Vibrations(バッド・バイブレーション)』

バッド・バイブレーションバッド・バイブレーション
ア・デイ・トゥ・リメンバー

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16年発表の6作目。彼らについて散々書いてきた。くどいようだがもう一度説明しておく。彼らの個性とは、メタルコアのポップ・パンク化にある。05年当時、メタルコアをポップ化するというアイデアのバンドは、誰もいなかった。激しくヘヴィーで不快なデスメタルに、感情のひだを震わせるメロディックな要素を加えることによって、スカッと爽快に、憎悪から発散に変化させ、彼らならではの個性を確立することに成功した。それが『ホームシック』いうアルバムが50万枚売れた理由なのだ。

6作目となる今作だが、カラッと明るいサウンドだった前作と比べると、ダークで内省的な仕上がっている。エモっぽい曲など、新しいことにチャレンジしている曲もあるが、総じていうなら前々作、『ホームシック』の世界観を、さらに掘り下げた作品といえるだろう。彼らの作品のテーマの一つといえる疎外感や内省、心の闇を描いたアルバムジャケットも復活している。

アメリカでは『ホームシック』以来の快作と評価されている。その理由は暗く陰りのあるメロディーが復活したらだ。その憂いと切なさを含んだロディーからは、湖畔で黄昏ているような美しさがある。そしてメタルコアナンバーのデス声ボーカルからは、内面の憤りの叫びのように感じる。すべてが外向けの発散ではなく、シリアスで内向きなのだ。まるで人間の陰の部分にスポットを当てているかのようだ。ひさびさに彼ららしさが戻ってきた作品だ。


2016/10/10

seven sisters of sleep(セブン・シスターズ・オブ・スリープ) 『Ezekiel's Hags (エゼキエル・ヘッグ)』

Ezekiel's HagsEzekiel's Hags
Seven Sisters Of Sleep

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悪魔崇拝のサタニズム思想を全面に掲げ、ブルータルでドゥーム色の強いパワーヴァイオレンス・バンドの3作目。バンドのサウンドコンセプトともいえる、怨霊の呻きのようなボーカルやブラストビート、スローテンポでグルーヴを重視した重厚なリフなどは、3作通じて一貫して変わっていない。だが一作一作発表するごとに、サウンドの迫力や、演奏の技術力が上がり、確実に深化している。円熟と深化の極みに向かっているバンドなのだ。

今作では前2作と比べ、さらにサタニズムが深まり、魔界の地獄絵図を想像させるような迫力のあるサウンドで、悪魔の世界観を追及している。とくにドゥーム・メタルからの影響が強くなり、ブラストビートに磨きがかかっている。

地獄の窯がふつふつと煮詰まるようなブラストビート。獄の苦しみを味わっているかのような絶叫ボーカル。スローテンポのギターのリフとドラムが地獄めぐりという重く暗く絶望的な無限ループを感じさせる展開。すべてに地獄や悪魔の生贄といった禍々しさを感じさせるのだ。アルバムタイトルは、紀元前6世紀ごろのユダヤ人の預言者が書き、旧約聖書の一部となっているエゼキエル書から引用。神の怒りと悔い改めることへの教訓を書いたエゼキエル書とは真逆の内容の世界観を、追求している。

ここまでくるとハードコアというより、ブルータルやドゥームメタルだ。全作品中このアルバムが、一番迫力のあるサウンドを展開している。彼らの最高傑作といえるだろう。

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