プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2016年11月

2016/11/28

Heaven Shall Burn (ヘヴン・シャル・バーン)  『Wanderer(ワンダラー)』


ヘヴン・シャル・バーン『ワンダラー』【通常盤CD(歌詞対訳付き/日本語解説書封入)】ヘヴン・シャル・バーン『ワンダラー』【通常盤CD(歌詞対訳付き/日本語解説書封入)】
マーカ・ビショフ ヘヴン・シャル・バーン

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ドイツのメタルコア・バンドの8作目。このバンドも現在のハードコアを語る上では外すことのできない重要なバンドだ。現在のハードコアの中心であるアメリカとは離れた環境にあるためか、欧米のバンドらしく、メタルコアの中でもユニークなサウンドを展開している。

その彼らの個性とは、アース・クライシスのニュースクール・ハードコアをさらに進化させたサウンド。アースクライシスの影響が色濃く残る怒声ボーカル、ハンマーを打ち付けるような重厚なリフと、ナパーム弾のように全体に響き渡るギターサウンドを、ブラストビートを加えさらにスピードアップさせた。そしてそこにメロディック・デスメタルや、テクニカルなメタルの要素を加えた。ほかのバンドにはない独特なサウンドを展開しているのだ。

アース・クライシスからの影響はサウンドだけにはとどまらず、彼らもまたメンバー全員がヴィーガンで、レイシストに対する徹底抗戦する姿勢や、ハードコア精神を貫いているのだ。そういった意味では今はなきニュースクール・ハードコアの、正当な後継者といえるだろう。

彼らの作品は、2作目の『Whatever It May Take(ワットエバー・イット・メイ・テイク)』で確立したサウンドスタイルをベースに、そこにプラスアルファを加え、バラエティー豊かに進化してきた。前々作の『Invictus(インビクタス)』では、メロディック・デスメタルの要素を加え、攻撃的な激しさベースにしながらも、陰鬱な要素を加え、怒りや攻撃性の裏側に潜む悲しく陰鬱な感情を表現していた。前作『Veto(ヴィート)』では、全作品中一番激しいサウンドを展開し、デスメタルをさらにパワーアップさせ、すさまじい音圧のサウンドで、攻撃的に進化していた。

そして今作では、シンフォニックメタルの要素が加わった。今作も『ワットエバー・イット・メイ・テイク』で確立したサウンドスタイルをベースとしているが、前々作よりもさらにメロディーに重点を置いている。メロディック・デスメタルな要素を加えた前々作との違いは、メロディーの質にある。そこにあるのはクラッシクの交響曲のような芸術性と、北欧神話のような世界観。まるでヨーロッパ中西部をイメージさせる深い森と霧と寒さに包まれたサウンドなのだ。

そこにあるのは前作までの激しい怒りや憤りを発散するというより、過酷な冬の厳しさや忍耐力、孤独に耐えゆる精神力といった方向にベクトルが向いている。外への発散から内面と向き合ったサウンドなのだ。ハードコアの対極にある美しさを追求したアルバム。だが決してそれが悪いわけではない。なぜならこの、ストイックなまでに突き詰めた美しさも魅力的だからだ。同じ時点にとどまらず、新しいことにチャレンジした意欲作ともいえる作品だ。

2016/11/14

ABNEGATION (アベネゲーション) 『Verses Of The Bleeding(ヴァーサス・オブ・ザ・ブリーディング)』

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ペンシルバニア州出身のヴィーガン思想を掲げるストレート・エッヂ・バンドの、97年に発表された最初にして最後となる1枚目のフルアルバム。93年ごろから活動を始め、過去にデモとEP、スプリットを合わせた作品を、4年間の間に計6枚発表している。

彼らの活動といえば、95年に動物愛護運動家でシーシェパードの活動にも参加しているRod Coronado(ロッド・コロナド)の活動資金提供のために制作された、アースクライシスも参加したことで知られているコンピレーションアルバム『Stones To Mark A Fire (ストーンズ・トゥ・マーク・ア・ファイヤ)』に参加したことで有名だ。

改めのこの作品を聴いてみると、サウンドはニュースクール・ハードコアというより、パワーヴァイオレンスや、デスメタルに近い。しかも音質がペラペラで音に迫力がない。オリジナルティーもあまり感じられない。

歌詞は反キリストや悪魔崇拝や絶望に満ちた内容が多い。ヴィーガンやストレートエッヂ・バンドにある外の世界に向かっての闘争的な内容や怒りの内容は、この作品にはない。イギリスのメタルバンド、ヴェノムのカヴァー曲も収録されているし、実際にはヴィーガン思想よりも悪魔崇拝のほうが上回っているのだ。

おそらく彼らが強い信念を持ったストレートエッヂ・ハードコア・バンドとして認知されてしまった理由は、『ストーンズ・トゥ・マーク・ア・ファイヤ』に参加したからだろう。このコンピレーションの販売目的自体がラディカルな理由だったので、強烈なヴィーガン思想をもったバンドたちしか参加できないと、捉えられてしまったのだろう。

あくまでも僕の想像だが、彼らが『ストーンズ・トゥ・マーク・ア・ファイヤ』に参加した理由は、自身がストレートエッヂではなく、社会に対する憎悪、とりわけ人が嫌がる、反社会的な行動をとりたかったからではないか。彼らアルバムからは不快なものへのフェティシズムを感じることができる。彼らは屈折しているのだ。

個人的には穿った見方をしてしまったが、ストレート・エッヂ・バンドの作品のなかでは、100選に選ばれるほど、重要な作品なのだ。

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