プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2017年2月

2017/02/24

CODE ORANGE(コード・オレンジ) 『FOREVER(フォーエバー)』

ForeverForever
Code Orange

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ピッツバーグ出身のハードコア・バンドの3作目。ハードコアのジャンル分けをする際、彼らカテゴライズする言葉は難しい。メタルコアとしてジャンル分けをしているサイトやレビューが沢山存在するが、シャドウズ・フォールやキルスイッチエ・ンゲージのようなメタルからの影響は全くない。かといってフガジから発展したポストハードコアでも、アースクライスから進化したニュースクール・ハードコアでもない。強いて言うならポスト・カオティック・ハードコアとでも呼ぶべきなのか。

そのサウンドは初期コンヴァージの影響を色濃く感じる。初期コンヴァージのサウンド・スタイルをベースに、ブレイクダウンや暗黒ドローン、殺伐ノイズなどを練り込み、不気味な静けさと、おどろおどろしい暗黒な世界をイメージさせるサウンドを展開している。自身が奇妙で実験的なバンドを目指しているという発言通り、シンプルなハードコアにプラスアルファを加え、独特なサウンドを展開している。ハードコア界でも奇異な存在なのだ。

そして3作目となる今作では、korn(コーン)のようなゴズやギターのリフ、ヘヴィーロックの要素が強まっている。ノイジーでスピーディーな曲から、後半に進むにつれてスローでダウナーな曲が増えていく展開。1曲を除いてハードコアのスピーディーな曲がなくなっているが、ノイズ度や暗黒度が増し、前作よりも過激な作品になっている。Kornのサウンド・スタイルをさらにノイジーに、ストナーに、暗黒ドローンに進化させたサウンドといえるだろう。

そこで鳴らされている音楽は、魔界暗黒ノイズアンビエントドローンといったサウンド。終始、落ち着きのあるトリップ感に覆われている。まるで魔法陣の前で呪いの言葉を呟くような、不気味な落ち着きと邪悪な空気に満ちている。もはやここまでくるとハードコアではないが、ハードコアを通過した最先端のNU METAL(ニューメタル)といえるだろう。

彼らのサウンドは最新のNU METAL(ニューメタル)であることに間違いはない。だが鬱と躁で分けるのなら、鬱の側で鳴らされているサウンドだ。メタルに発散や過激さや刺激といった躁側の音を求めている人からすれば物足りなく感じるだろう。だから彼らのサウンドはおそらくメタルの主流になることはけっしてない。だがここでは独特な世界観と、彼らならではのオリジナルティー追求したサウンドが鳴らされている。彼らならではのメタルの亜流を追求しているのだ。素晴らしい作品。

2017/02/11

Touché Amoré (トゥーシェ・アモーレ) 『Stage Four(ステージ・フォー)』

STAGE FOURSTAGE FOUR
TOUCHE AMORE

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エピタフに移籍し、16年に発表された4作目。彼らのサウンドは、ポスト・ハードコアやスクリーモという括りで語られている。だが絶滅してしまったジャンルを現代に蘇らせたバンドといえるだろう。そのサウンドとは、スクリーモがメタルのいちジャンルと化し、形骸化する前の、スクリームするエモという語源のバンドなのだ。

バンド名で例えるなら、Heroin (ヘロイン)や初期Still Life(初期スティール・ライフ)、Julia(ジュリア)など。それらのバンド影響を感じる。血の噴き出るようなスクリームや、静と動のアップダウンする展開などは、彼らからの影響が強い。そこに性急なビートを加え、よりファストにメロディックに進化したバンドなのだ。

爆撃のような激しさと勢いに、妖艶で陰りのあるメロディーと、血の噴き出るようなスクリームが混然一体となった最高傑作と名高い『前作』。今作では前作で確立したサウンドフォーマットをベースに、さらにメロディーを追求した作品だ。

今作ではよりポップに、メロディックに爽やかな疾走感を加えたサウンドに進化した。メロディーの幅が広がった作品に仕上がっている。ここまでくるともはやメロディック・激情コアという内容だが、それはそれでいい作品だ。

相変わらずすべてを出し切るような叫び声は健在で、そこにface to face(フェイス・トゥ・フェイス)のような切ない疾走感や、陰りのある穏やかで美しいメロディーが加わった。そして“Skyscraper(スカイスクレパー)”では、叫び声を捨て、穏やかで落ち着いた雰囲気を醸し出している。そこには深い森の中にひっそりと湧き出る泉のような、心落ち着く穏やかなやさしさと癒しに満ちたメロディーがある。いままでなかった新しいタイプの曲だ。

とはいっても相変わらず全力を出し尽くして燃え尽きるような、彼らの個性は失われていない。大衆受けするような、ポップな聴きやすさとか、悲しみや励ましなどの共感しやすい感情は一切求めていない。例えるなら、川の流れのなかで研磨され丸くなった石のような、滑らかでソフィスティケイトされた聴きやすさよりも、ごつごつと尖った岩のようなぎこちなさが残る荒々しい演奏を重視している。

滑らかさのない荒々しさや勢いを重視する姿勢には、うまく立ち振る舞うことのできない不器用なぎこちなさを感じる。彼らの魅力は、この作品でも変わっていないのだ。メロディーの深みを増した分、人間としてもニュージシャンとしても確実に成長の跡がうかがえる作品に仕上げっている。

2017/02/01

BEYOND (ビヨンド) 『NO LONGER AT EASE (ノー・ロンガー・アット・イーズ )』

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活動期間が88年から89年の、わずか一年間という、ニューヨーク出身のハードコアバンドのデビュー作。昨年発売されたライブアルバム『Dew It/Live Crucial Chaos Wnyu(デュー・イット!-ライブ・クーシャル・ケイオスWNYU)』に引き続き、89年に発売された唯一のオリジナル・アルバムを、今回リマスター使用でヴァイナル盤にてリリース。

彼らはニューヨーク・ハードコア・シーンがちょうどオールドスクールがユースクルーに変わっていく過渡期に現れたバンドで、その後のユースクール・シーンに与えた影響は大きい。彼ここで収録されている曲は、97年にCDで発売された"NO LONGER AT EASE"に収録されている曲と変わらない内容。14年に発売された『Dew It/Live Crucial Chaos Wnyu』は、ライヴの臨場感が伝わってくる、荒々しい演奏の勢いを重視した迫力ある作品だった。その作品に比べると、勢いと迫力や荒々しさは足りない。その理由は正確な演奏を重視しているからだ。そもそもこのバンドは、勢いや衝動よりも、ギターサウンドを中心とした演奏力を重視していた。だから周りからは“メタル・ティンジド・ハードコア(薄くメタルに染まったハードコア)と呼ばれていた。つまり小刻みに刻むギターのリフや、感情の高ぶりのようにうねるギターフレーズなどテクニカルな要素を取り入れ、しっかりとした演奏力や技術力を求めていたバンドなのだ。

あらためてじっくりと聴いてみると、当時のニューヨーク・ハードコア・シーンでは、彼らのサウンドが独特だったことが理解できる。たとえば“Ancient Head(アンシェント・ヘッド)”ではうねるグルーヴのギターフレーズを導入し、“Time Stand Still(タイム・スタンド・スティル)”では高速スピードだけでなく緩急をつけたサウンドを展開している。“What Awaits Us(ワット・アウェイツ・アス)”ではじっくりとギターメロディーを聴かせる曲だ。一辺倒で太い荒々しさだけではない、技術的な意味でバラエティーに富んだサウンドを展開しているのだ。NewYork Hardcore(ニューヨークハードコア)にここまでギターサウンドを持ち込んだのは、彼らが初めてではないか。Sick Of It All(シック・オブ・イット・オール)やYouth Of Today(ユース・オブ・トゥディ)は、緩急を使ったサウンドを展開している。それほどシーンに与えた影響が大きいアルバムなのだ。ニューヨーク・ハードコアの歴史を知る上では外せない一枚だ。

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