プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2017/08/17

Armstrongs (アームストロングス)       『 If There Was Ever a Time(イフ・ゼア・ワズ・エヴァー・ア・タイム)』

GREEN DAY(グリーン・デイ)のボーカル、Billie Joe Armstrong (ビリー・ジョー・アームストロング)と、RANCID(ランシド)のボーカル、Tim Armstrong (ティム・アームストロング)によって結成されたバンドのデビューシングル。このシングルが発表された経緯は、アメリカ西海岸のイースト・ベイ・パンクシーンのドキュメンタリー映画『Turn It Around: The Story of East Bay Punk』が上映されることがきっかけ作曲された。映画用に作られた曲を、iTunes限定で発売された。売り上げはすべてカリフォルニア州バークレーのイースト・ベイエリアにあるライヴハウスVenue、924 Gilmanに100%寄付されるそうだ。

そもそもこの2人の出会いは、87年までにさかのぼる。同じカルフォルニア州のイーストベイ出身で、当時ビリージョーはSweet Children(スウィート・チルドレン)というバンドで活躍し、ティムはOperation Ivy(オぺレーション・アイヴィ)で活動していた。お互いに貧しい地区の出身で、前身のバンド時代からの友人関係だという。先にブレイクを果たしたビリージョーが、ティムに売れてほしいと願い、93年に“Radio Radio Radio”を提供。のちにランシドの名曲と呼ばれ、現在でもライヴの終盤に必ず演奏されている。かたやグリーンディのほうは、初期のころから現在にいたるまでオぺレーション・アイヴィのカヴァーである“Knowledge”を必ずライヴで歌い続けている。そこにはお互いのバンドがどれだけ大きくなろうが、変わることのない絆の深さある。お互いの挫折と復活、成功など、苦楽をともにしてきた仲間だからこその結束の強い友人関係があるのだ。

そして結成されたバンド名は、ティムとビリージョーのラストネイムであるアームストロングが採られ「The Armstrongs(ザ・アームストロング)」と名付けられた。メンバーは、ビリージョーとティムのほかに、ビリー・ジョーの息子ジョーイと、ティムの甥っ子レイ・アームストロングも参加。お互いの親族のみで結成。

肝心の曲だが、アコースティックギターのイントロが印象的なカラッと明るい西海岸特有のパンクロック。ランシドの3作目である“...And Out Come The Wolves(アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス)”に収めされている曲に雰囲気が近いさわやかなパンクロック。ティムのしゃがれたボーカルスタイルに合わせた曲が採用されており、ビリージョーは終始わき役に徹している。

ここで歌われている内容は、映画にふさわしく、自分が生まれ育ったシーンについての楽しかった思い出。もう一度昔に戻ることができるのなら、また過去と同じステージに立ち歌いたいという、痛切な郷愁願望。いささかノスタルジーに浸っている傾向にあるが、けっして後ろ向きな感情ではない。そこにはイーストベイ・シーンへの深い愛情がある。バンドを始めたことによって出会えた同じ気持ちの仲間たち。そしてその仲間たちと巡り会えたことによって生まれた深い絆と、ルーツであるイーストベイ・シーンへの誇り。そのプライドを胸にバンドを続けていく前向きな感情。そして息子たち次世代へと受け継がれていく。その未来へと受け継がれていく希望が、すがすがしいまでのさわやかさとカラッとした心地よい風のような気持ちであふれているのだ。変わらぬ友情が放つ愛情のあふれた1曲なのだ。

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