プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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2017年9月

2017/09/19

Forced Order (フォース・オーダー) 『One Last Prayer (ワン・ラスト・プレイヤー)』

One Last Prayer
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Triple B. Records 2017-09-22
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TWITCHING TONGUES (トゥイッチング・タングス)、HARNESS (ハーネス)、DISGRACE (ディスグレイス)などの、現在を代表するカルフォルニア・ハードコア・シーンの豪華メンバーからなるバンドの2作目。前作『VANISHED CRUSADE (バニッシュド・クルセイド)』は、IN COLD BLOOD(イン・コウルド・ブラッド)系の硬質でメタリックなギターとスピーディーなハードコア路線に、勢いと迫力がさらに増したサウンドを展開していた。

基本的なサウンド路線は今作も変わらない。だが前作よりも迫力が増している。とくに変化が顕著なのは、ニュースクール・ハードコア的なアプローチと、メタルなギターソロが増えた部分。ここでいうニュースクールの要素とは、スローテンポなリズムとヒップホップな歌い方。その要素が加わったことによって、曲のバラエティーが増えた。これほどスピーディーなハードコアを展開しているバンドがニュースクール的なアプローチを加えると、曲がばらばらになり、大抵が音のまとまりがなくなる。だが彼らの場合、ニュースクールを一部分として取り入れ、終始アグレッシヴな闘争心と熱気で統一されているから、一貫性のあるサウンドになっている。音楽に対する情熱もありモチベーションも高く、前作に引き続き、エネルギッシュで気迫に満ちたいい作品だ。

2017/09/10

Really Red (リアリー・レッド) 『Teaching You the Fear: the Com (ティーチング・ユー・ザ・フィア:ザ・カム) 』

Teaching You the Fear: the ComTeaching You the Fear: the Com
Really Red

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79年から85年にかけて活動したテキサス州出身のハードコア・バンドの全作品を総まとめし2015年に発売されたコンプリート・アルバム。彼らはアメリカン・ハードコアのなかでも、BIG BOYS(ビック・ボーイズ)やDICKS(ディックス)、MDC(ミリオンズ・オブ・デッド・コップ)などのバンドと一緒に活躍し、テキサス・シーンを代表するバンドのひとつとしても知られている。

アメリカ国内でも中部の田舎で保守的な土地柄として知られるテキサス。その保守への反動なのか、テキサス出身のバンドたちは、反体制的なアティテュードを掲げているバンドが多い。サウンドは、初期パンクをベースに、プラスアルファを加えたバンドが多い。ゴリゴリのハードコアはいないが、ユニークなアイデアにあふれたバンドたちが多く存在する。

MDCはハードコアパンクにカントリーを取り入れ、ビックボーイズはファンクのリズムを消化した。アメリカルーツミュージックのR&Bに初期パンクを折衷したディックスなど、どのバンドもいろいろな要素を取り入れ自由に実験的なサウンドを展開している。それがテキサス・シーンの特徴でもある。Really Red(リアリー・レッド)もその例にもれず、初期パンクから、ニューウェーヴを取り入れ変貌を遂げてきた。テキサスという保守的な土地柄の反動ゆえ、マイノリティーな立場でシリアスな怒りをモチベーションに掲げているバンドが多い。彼らも人種差別や飢餓、商業主義のミュージシャンへの批判など政治的なメッセージを掲げているが、どこか牧歌的なのどかさが漂っている。それがこのバンドの特徴でもあるのだ。

このアルバムは、79年のデビューEP、『Crowd Control/Corporate Settings』から、80年のEP『Modern Needs/White Lies』、81年のEP『Despise Moral Majority』、1stアルバム『Teaching You the Fear』、82年のEP『New Strings for Old Puppets』、84年の2nd『Rest in Pain』、96年にコンピレーション・アルバム『Rather See You Dead』にデモ曲を加えた2枚組CDの計44曲が収録されている。しかもALTERNATIVE TENTACLESからリリースされジェロ・ビアフラ自らマスタリングを担当している。

彼らはバリバリ響くノイズギターが印象的なパンク路線の初期から、金属的にヒステリックに響くポストパンク路線、感情が高揚していくパーカッシブなピアノとホーンが印象的なフリージャズ、プログレのようなサイケデリックなサウンドなど、パンクの制約を受けることなく、自由にいろいろなことを演っている。ポップでのどかな曲から、暗くドロドロした情念の曲、アグレッシヴで攻撃的な曲など、多重人格者を思わせるような多彩な感情の奥行がある。

サウンドの一貫性はあまり感じられないが、だからといって悪い作品ではない。自分たちの演りたい音楽を楽しんでいる姿勢が、高いクオリティーを保有している。アメリカン・ハードコア・シーン全体から見れば、異端だが素晴らしい作品であることに間違いはない。彼らが存在しなければ、Butthole Surfers(バッドフォールサファーズ)のサウンドも大きく変容していただろう。テキサスではそれほど影響力のあるバンドだったのだ。

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