プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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C

2017/12/19

VA GIVE ME BACK COMPILATION (ゲット・ミー・バック・コンピレーション)

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08年に発表されたコンピレーションアルバム。発売元であるEBULLITION RECORDS(エボリューション・レコーズ)といえばオーナーであるケントがストレート・エッヂに対して尋常でないこだわりを持っていることで知られている。自らがヨーロッパまで足を運び、徹底した現場主義で選び抜かれたバンドのみコンピレーションアルバムに収録。ストレートエッヂに対する尋常でないこだわりをもったレーベルとして有名だ。

そのケントがコンピレーションアルバム第一弾として発表をしたのがこの作品。ここではストレートエッヂに対して、全く触れられていない。だがInternational P.E.A.C.E. Benefit Compilation(インターナショナル・ピース・ベネフィット・コンピレーション)やStone To Mark a Fire(ストーン・トゥ・マーク・ア・ファイヤ)などのハードコア界のコンピレーションアルバムに匹敵するほど、歴史的な価値を持つ名盤なのだ。

ここで取り上げているテーマは、ジェンダーフリーや同性愛者の権利、フェミニズム運動など。性差別を受けている者たちが、平凡な市民生活を送るため、権利獲得を目的とされたベネフィットコンピレーションアルバムなのだ。32ページにわたる小冊子には、ジェンダー問題に関する記事やエッセイが掲載されている。なお売り上げは、ゲイやレズビアンなどの団体と、コンドームなどの避妊薬や乳がんやHIV検査などを無料で行っている非営利団体『プランドペアレントフッド(Planned Parenthood)』、男性に暴力を振るわれた女性が緊急避難できるシェルターサービスの、3箇所に寄付されている。

ここで収録されているのは、BORN AGAINST(ボーン・アゲインスト)、DOWNCAST(ダウンキャスト)、STRUGGLE(ストラグル)、SPITBOY(スピット・ボーイ)、ECONOCHRIST(エコノクライスト)、Seein' Red(シーイン・レッド)、BIKINI KILL(ビキニ・キル)、END OF THE LINE(エンド・オブ・ザ・ライン)、Amenity(アメニティー)、Man Lifting Banner(マン・リフティング・バナー)といったバンドたち。エボリューション・レコーズのXXX SOME IDEAS ARE POISONOUS(XXX・サム・アイデアズ・アー・ポイズネス)やILLITERATE COMPILATION(リトルレイト・コンピレーション)などのコンピレーションアルバムとは違い、ボーン・アゲインストやビキニ・キルなど、有名なバンドたちが参加している。

Riot Grrrl(ライオットガール)というパンクバンドのフェミニズム運動の中心人物であったビキニ・キルは、ロカビリー調のパンクナンバーで、生きていくために援助交際をしている女性の心情を歌い、男女平等やジェンダーフリーを訴えつけているサンフランシスコの女性アナーコパンク・バンドのスピットボーイは、パーティーで男性に性的嫌がらせを受けたことについて歌っている。ニューヨークハードコアの裏番長といわれるボーン・アゲインストは、容姿だけですべて判断する美女コンテストを痛烈に批判し、LOCUST(ロカスト)やRETOX(リトックス)の中心メンバーでも知られるJustin Pearson(ジャスティン・)が在籍するサンディエゴのSTRUGGLEは、マッチョイムズの男性が女性よりも優れていると錯覚し、性的虐待や差別をすると歌っている。そしてレーベルオナーでありケント率いるダウンキャストは、ゲイやレズヒアンなどの同性愛は、自己表現のひとつであり、彼らの愛の形を否定すれば、自分たちが愛を知らない人間だと訴えている。どのバンドもジェンダーフリーに対する見解や感情論、主張も異なるが、性差別に対して解消する必要があるという部分では共通しているのだ。

当時、激情コアの始祖的な存在のバンドが収録され、音楽的にも最先端のバンドが収録されていた。ハードコアの定義のひとつに“行動を起こす”という信念がある。そういった意味では、まさしくハードコアらしいコンピであるし、ジャンダーフリーという価値観を提示した意味では、ものすごく価値のある作品なのだ。

2017/02/24

CODE ORANGE(コード・オレンジ) 『FOREVER(フォーエバー)』

ForeverForever
Code Orange

Roadrunner 2017-01-12
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ピッツバーグ出身のハードコア・バンドの3作目。ハードコアのジャンル分けをする際、彼らカテゴライズする言葉は難しい。メタルコアとしてジャンル分けをしているサイトやレビューが沢山存在するが、シャドウズ・フォールやキルスイッチエ・ンゲージのようなメタルからの影響は全くない。かといってフガジから発展したポストハードコアでも、アースクライスから進化したニュースクール・ハードコアでもない。強いて言うならポスト・カオティック・ハードコアとでも呼ぶべきなのか。

そのサウンドは初期コンヴァージの影響を色濃く感じる。初期コンヴァージのサウンド・スタイルをベースに、ブレイクダウンや暗黒ドローン、殺伐ノイズなどを練り込み、不気味な静けさと、おどろおどろしい暗黒な世界をイメージさせるサウンドを展開している。自身が奇妙で実験的なバンドを目指しているという発言通り、シンプルなハードコアにプラスアルファを加え、独特なサウンドを展開している。ハードコア界でも奇異な存在なのだ。

そして3作目となる今作では、korn(コーン)のようなゴズやギターのリフ、ヘヴィーロックの要素が強まっている。ノイジーでスピーディーな曲から、後半に進むにつれてスローでダウナーな曲が増えていく展開。1曲を除いてハードコアのスピーディーな曲がなくなっているが、ノイズ度や暗黒度が増し、前作よりも過激な作品になっている。Kornのサウンド・スタイルをさらにノイジーに、ストナーに、暗黒ドローンに進化させたサウンドといえるだろう。

そこで鳴らされている音楽は、魔界暗黒ノイズアンビエントドローンといったサウンド。終始、落ち着きのあるトリップ感に覆われている。まるで魔法陣の前で呪いの言葉を呟くような、不気味な落ち着きと邪悪な空気に満ちている。もはやここまでくるとハードコアではないが、ハードコアを通過した最先端のNU METAL(ニューメタル)といえるだろう。

彼らのサウンドは最新のNU METAL(ニューメタル)であることに間違いはない。だが鬱と躁で分けるのなら、鬱の側で鳴らされているサウンドだ。メタルに発散や過激さや刺激といった躁側の音を求めている人からすれば物足りなく感じるだろう。だから彼らのサウンドはおそらくメタルの主流になることはけっしてない。だがここでは独特な世界観と、彼らならではのオリジナルティー追求したサウンドが鳴らされている。彼らならではのメタルの亜流を追求しているのだ。素晴らしい作品。

2016/05/05

City Of Caterpillar (シティー・オブ・キャタピラー)

City of CaterpillarCity of Caterpillar
City Of Caterpillar

Level Plane 2003-06-20
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02年に発表されたデビュー作にして最後の作品。エモからスクリーモ、カオティック・ハードコアにシーンが変わっていく過程に現れたバンドで、そのサウンドは現在ではリアル・スクリーモと呼ばれている。

このバンドもジュリアと同様に、テキサス・イズ・ザ・リーズンに影響を受けたエモーショナル・ハードコアをさらに過激なサウンドへと進化させたバンドのひとつだ。このバンドの特徴はアップダウンするエモのサウンド形態に、不気味な静寂のメロディーが延々と続く中期ソニックユースのサウンドスタイルや音が反響する幻想的なスライドギターなどの要素を加えた部分にある。

不気味な静寂のなかにキラリと光る万華鏡のように幻想的で美しいメロディーと、洪水のように襲いかかるノイズギターの音の壁。激しさと静かさが交互に繰り返されるサウンドには、渡ることのできない川の岸辺で一人ぽつんとたたずんでいるような寂しさが漂っている。対岸にある華やかで人の賑あう世界。そこにたどり着くことのできない寂しさや悔しさ。そんな感情がどことなく漂っているのだ。

この暗く陰りのある美しさは、後世のバンドに多大な影響を与えた。初期スクリーモのなかでも独特な世界観を持ったバンドといえるだろう。

2015/01/21

Copeland (コープランド)  『Ixora (イソラ)』

IxoraIxora
Copeland

Tooth & Nail 2014-11-23
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 2014年の再結成を経て発表された5作目。じつに6年振りとなる作品。コープランドといえば日本ではビューティフル・エモと呼ばれ、その名のとおり、氷細工のような、いまにも壊れそうなほど繊細で美しいサウンドを個性にしていたバンドである。

 そもそもコープランドが08年に解散を決めた理由は、前年に発表した『マイ・サンシャイン』のセールスが伸びず、アルバム制作でお金を使い果たし、メンバー全員が辞めていったからだそうだ。バンドを続けたくても財政的な理由で活動を続けることが困難になり、解散せざる得なかったようだ。ただ唯一救いだったのが、バンド活動でありがちなメンバー同士の音楽性のずれや、長く一緒にいることによって生じる人間関係の悪化などのトラブルではなかったことだ。人間関係による軋轢ではないから、バンドに対する情熱や、アルバム制作への意欲が、6年経っても薄れることはなかったのだろう。いや、むしろ情熱が高まっていったのではないか。だからアルバム制作のできる財力が整ったいま、再結成したのではないか。

 そんな曲折を経て発表された今作は、初期のころから一貫している氷細工のような美しい音を、今作でも追求している。だがやり残したことがたくさんあったのか、演奏の部分では前作よりもさらに技術が進化したサウンドを展開している。たとえば“デスジョインデッド”では、ピアノと電子音とヴァイオリンの絡みが陰鬱な深い森の中を彷徨っているようなアンサンブルをみせ、“アイ・キャン・メイク・ユー・フィール・ヤング・アゲイン”では、思慮深いギターの隙間を這うように神経質な電子音が鳴り響き、悲劇を告げられるようなエレクトロな音から暗く沈んだトーンのボーカルが悲しみを紡いでいく。ドラマチックで劇的にめまぐるしく変わる展開だ。初期2枚はギターのみの曲や、ピアノのみの曲、アカペラのみの曲など、シンプルなサウンドを展開していた。それが3作目の『イート、スリープ、リピート』でメインメロディーのパートをギターとピアノの2つの楽器が担当し、交互に入れ替わる展開を見せた。そして4作目の『マイ・サンシャイン』では、ボーカルにエフェクトをかけた曲などの新しいことにチャレンジした。そして今作では、さらに電子音やシンセ、鉄琴などの音を加え、複雑に構築されたエレクトロニカなサウンドを演奏。サウンドがめまぐるしく変わる展開を見せている。前作のサウンドフォーマットを踏襲し、そこにプラスアルファを加え、技術的な成長を遂げた。美しさを追求しながらも、いろいろな音が複雑に構築された今作は、彼らの目指していた技術的な頂点であり、サウンドの完成系といえるだろう。

 演奏技術の面では複雑に入り組んだ作品で、すばらしいと思う。だがそれにしても暗い。聴いていて絶望するような憂鬱で暗い気分になる。前作には人を恨んでいるような心の闇を感じたし、アルバムを重ねるごとにネガティヴな方向に向かっていっている気がする。ぼくのなかでコープランドの一番好きなアルバムはデビュー作の『ビニース・メディスン・トゥリー』だ。演奏技術的にはコールドプレイやジミー・イート・ワールドからの影響から抜けきれず未熟さを感じる作品だが、ここにはクリスチャンならではの透明で神秘的な世界感があった。厳かで華やかなライトに飾られたクリスマスツリーのようなキラキラ光る美しいサウンドには、聴いていて心が浄化されるような安らぎと清らかな気分にさせられた。子供のころに初めてクリスマスツリーを見たときのような、歓びに満ちた清らかな童心を蘇らせてくれた作品は、このアルバムが初めてだった。それほど神秘的な雰囲気に満ちていたし、日本人のぼくからすると、西洋文化の神秘さに対する憧れを強く感じた作品だった。だがアルバムを重ねるごとにその初期衝動がだんだんと薄れてきた。たしかに悲しみのスポットを当てたサード、皮肉がテーマだった『マイ・サンシャイン』、そして陰鬱な暗さをフォーカスした今作と、アルバムごとに感情が向かっているベクトルが違う。だが、アルバムを重ねるごとにネガティヴな要素が際立つようになって来た。もうちょっと明るい部分にスポットを当ててくれたら、すばらしい作品になったのではないかと思えた。サウンドはいいだけに少し残念に思えた。


2014/09/17

Closure in Moscow (クロジュア・イン・モスコ)  『Pink Lemonade (ピンク・レモネード)』

Pink LemonadePink Lemonade
Closure in Moscow

Sabre Tusk 2014-05-08
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 約5年ぶりとなる2作目。前作のアジア、メタル、ジャズ路線から一転、今作では70年代のサイケデリックに焦点を合わせた。世界観が180度変わった作品に仕上がっている。

 今作でもマーズ・ヴォルタやディア・ハンター、dredgなどからの影響が強い、プログレやサイケデリック、メタル、ファンク、ダンス・エモなどを切り貼りしたサウンド・フォーマットをベースにしている。今作も情報過多になるほどいろいろなジャンルの音楽を詰め込んでいる。取り入れた音楽こそ180度違うが、サウンドフォーマット自体は前作からあまり変わっていない。だが前作との一番の違いは世界観にある。前作も西洋世界から見た奇異なものを追求していた。そういった意味ではブレていないが、インドなどのエスニック色が強かった前作と比べると、今作では不思議の国のアリスのような小鳥がさえずるおとぎの世界を追求している。

 たとえば、“ザ・フール”と“Pink Lemonade”のイントロは違うメロディーだが、あえて同じメロディーが繰り返していると錯覚するような、同じ夢を繰り返すデジャヴの効果を演出している。また“Pink Lemonade”の6分ごろから始まる女性ボーカルの歌声には、まるで精神病者患者のような無邪気で無垢な狂った喋り方がある。

 そこにあるのはドラッグでトリップするようなサイケデリックな幻覚世界。今作では不思議の国のアリスのようなメルヘン世界に、ロバート・アントン・ウィルソン著の“サイケデリック神秘学――セックス・麻薬・オカルティズム”を合わせた内容ががテーマになっている。麻薬トリップで見たメルヘンな世界の幻覚を、サウンドに置き換えた。

 ぼくがこのバンドを評価している理由は、いろいろなフレーズの切り貼り方にある。初期マーズ・ヴォルタやディア・ハンターにインスピレーションを受けたフレーズの切り貼り方なのだが、その組み立て方がとても独特だ。たとえばアメリカのバンドではあまりいない、ファンク・ギターやコーラスをベースにしている。エモーショナルに感情が高ぶっていくボーカルが、いきなりなよなよしたソウルフルなコーラスなど、意外性のある展開が目立つ。80年代のような超絶テクニックの速弾きメタルのギターソロを取り入れたり、アメリカやイギリスでは忘れ去られている古きよきものを引っ張ってきて、オーストラリアという土地柄の独自の加工を施している。その切り貼りの仕方が、アメリカやイギリスのバンドではありえない発想なのだ。それが個人的にこのバンドを高く評価している理由なのだ。

 今作のメルヘンなラリった世界もすばらしかった。だが、けっして大人しいアルバムではない。総じてテンションが高くエモーショナルだった。前作よりも確実に成長を遂げて、すばらしい作品に仕上がっている。

2014/09/09

C.O.C(Corrosion of Conformity コローション・オブ・コンフォミティー)  『Ⅸ』

IxIx
Corrosion of Conformity

Candlelight 2014-06-22
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 14年に発表された9作目。日本語で『9』と付けられたタイトルだが、どうやら3作目と思われていた『テクノクラシー』は、EP扱いで、それを抜いた作品の合計が9作目にあたるようだ。10年の再結成以来、2年ぶりとなる作品だが、ベテランのバンドがこれだけ短いスパンでアルバムを発表するということは、それだけ彼らの制作意欲が高まっているからなのだろう。実際テンションの高い作品に仕上がっている。

 オリジナル・メンバーであるギターのウッディ・ウェザーマン、ベースのマイク・ディーン、ドラムのリード・ムリンの3人の不動のメンバーは、今作でも変わらない。サウンドはもはや80年代のときのような伝統的なハードコアに、メタルを取り入れた最先端のハードコアではない。しかも最先端のバンドやサウンドは、恐らく聴いていないし興味がないようだ。ここにあるのはモーターヘッドの影響が強い土臭いバーボンロックをベースにしたサウンド。そこに80年代のときのようなメタルのギターソロなどを加え、ハードコアの残滓を感じるギターフレーズも取り入れている。

 ここではファンの期待に応えようとする意識や、ハードコアのアティテュードやブレない信念を貫くという意識よりも、やりたいサウンドをただ純粋に楽しんでいる姿勢が窺える。彼らの趣味が大爆発した作品といえるだろう。純粋に音楽を楽しんでいる姿勢が、この作品にある種の魂を吹き込んでいる。ここにはハードコアの怒りこそないが、酒好きな荒々しい匂いのする猥雑なロックな彼らも、また違った魅力がある。

2014/09/08

C.O.C (Corrosion of Conformity コローション・オブ・コンフォミティー)  『Technocracy (テクノクラシー)』

TechnocracyTechnocracy
Corrosion of Conformity

Metal Blade 1999-11-13
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 87年発表の3作目。前作よりもさらにメタル化が進んだ作品。今作でもまたボーカルが、ベースのマイク・ディーンからノース・キャロライナ州の伝説のハードコア・バンド、アグリー・アメリカンズのサイモン・ボブ・シニスターに代わった。どうやら彼らは今作から、クロスオーバー・バンドとして、世間から認知されているようだ。

 サウンドスタイルには大幅な変化はないが、たしかに今作ではザクザク刻むギターのリフやテクニカルなメロディーからは、メタルそのものの影響を色濃く感じる。個人的にはハードコアとメタルの割合は、7対3くらいに感じか。とくにハードコアの影響が強いのは、スラップベースと断片的に残っているボーカルの、マイナー・スレットのような簡潔な言葉の歌い方と2ビートのドラムくらいか。曲が後半に進むにつれ、メタル色が強くなっていく展開だ。

 個人的にはハードコアのような真摯な姿勢や怒りを吐き出すような衝動が薄れてしまったのは、残念に思えるが、このクロスオーバーの形も彼らしかありえないオリジナルなスタイルだ。

2014/09/07

C.O.C (Corrosion Of Conformity コローション・オブ・コンフォミティー)  『Animosity (アモノシティ)』

AnimosityAnimosity
Corrosion Of Conformity

Metal Blade 1994-11-22
売り上げランキング : 56811

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 ヴォーカルのエリックが脱退し、ベースのマイク・ディーンがボーカルを担当した85年発表の2作目。彼らの最高傑作はこの作品。前作で確立したブラック・フラッグやディスチャージなどのハードコアに、ブラック・サバスのギターフレーズを合わせたサウンドスタイルを、さらに深化させた。

 この作品が最高傑作と言われる所以は、前作の雑さがなくなり格段に演奏力が向上しているからだ。ハードコアとメタルとのクロスオーバー・バンドと知られる彼らだが、DRIやスイサイダル・テンデンシーズ、アグノスティックフロントなどのバンドと比べると、メタルの取り入れ方が、明らかに違う。その取り入れ方とは、ギターソロのテクニックも取り入れているが、それよりもスラッシュメタルのようなリフを重視している。でも厚みのあるギターと、最速スラップ・ベースの勢いはハードコアそのもの。勢いがメタルのリフよりも勝っているから、DRIやスイサイダル・テンデンシーズよりも、ハードコアな印象をあたえている。

 若干メタルからの影響を感じるボーカルのひねりの効いた歌声でマイナースレットのような簡潔な言葉を矢継ぎ早に捲くし立てるボーカルも彼らの独特の個性といえるだろう。めちゃくちゃな演奏のカオティックな曲もあって、ハードコアのなかでもオリジナルティーを感じるすばらしい作品だ。


2014/09/05

C.O.C (Corrosion of Conformity コローション・オブ・コンフォミティー)  『Eye for An Eye (アイズ・フォー・アン・アイズ)』

Eye for An EyeEye for An Eye
Corrosion of Conformity

Candlelight 2012-11-05
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 ノースカロライナ出身のハードコア・バンドの85年に発表されたデビュー作。クロスオーバーの走りのバンドと捉えるべきなのか、ハードコア界のなかでもだれも真似することはできない独特なサウンドを展開していた彼ら。彼らの個性とは、ブラック・フラッグやディスチャージなどのハードコアに、ブラック・サバスのギターフレーズを合体を試みたサウンド。

 ブラッグ・サバスの影響をモロに感じるギターフレーズから、なだれ込むようにドタバタ疾走していくドラム。デス声の前兆となる叫び声で、簡潔な言葉を矢継ぎ早に捲くし立てるボーカル。演奏自体ものすごく未熟さを感じるが、その分勢いや衝動が半端なくすごい。当時、ギターフレーズや、極端なスローテンポから最速2ビートへ、シフトチェンジしていく、緩急をつけたハードコア・バンドはいなかった。彼らならではのオリジナルなスタイルを持っていたバンドなのだ。ギターフレーズなどを取り入れているが、分厚いギターのサウンドは、まさにハードコアど真ん中のサウンドだ。個人的には一番好きな作品。

2014/08/25

Cerebral Ballzy 『ジェイディッド &フェイデッド 』

Jaded & Faded [解説 / 初回特典ロゴ・ステッカー封入 / 国内盤] (MGNF-1009)Jaded & Faded [解説 / 初回特典ロゴ・ステッカー封入 / 国内盤] (MGNF-1009)
Cerebral Ballzy セレブラル・ボールジー

MAGNIPH 2014-06-17
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 14年に発表された2作目。バッド・ブレインズと7セコンズから影響の受けたオールドスクールなハードコアをベースにしたサウンドこそ変わりはないが、前作よりも、過激に派手に進化している。

 すべての曲が2分台で躁病的なファストなハードコアであることは変わりはないが、今作では特にギターが変わった。バリバリと地響きのように響くノイジーなギターが中心で、前作よりも過激で尖ったサウンドを奏でている。全体的にシリアスな空気を紡ぎだすギターと、不協和音の限界にあるひしゃげたノイズギターを中心に、すばやく始まりすばやく終わる展開。サウンド自体あまり変化はないが、前作よりもギターのノイズ度が増したため、より過激になっている。

 全体的にあいかわらずタイトさや熱さ、パワフルさとは無縁。シリアスでありながら退廃的。自暴自棄気味の荒々しさが今作の特徴だ。サウンド的にはバッド・ブレインズや7セコンズの影響が強いが精神的な部分ではジャームスからのアメリカン・ハードコアの伝統をしっかりと受け継いでいる。

 クリーンで丁寧な演奏とは真逆の、不快なノイズとヤケ気味の演奏スタイルを貫いたことによって、前作よりも確実に進歩している。前作よりもいい作品に仕上げっている。サウンド自体もさることながら、精神的な意味でも、これぞハードコアという王道を貫いた作品だ。

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