aie/アイエ『BOX』

ボックスボックス
aie

Pヴァイン・レコード 2008-12-26
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 結成から2年。柏出身のエモーショナルバンドが、満を持してのデビュー作を発表した。サウンドの根幹を成しているのは、ジョーボックスやプロミスリングあたりに通じる、音の壁のようなノイズギターと、ミネラルの影響を感じるセンシブなメロディーギター。そしてレモンヘッズのようなアダルティックで気だるさの残るボーカルスタイル。ときにナイーブな繊細さをギターに紡ぎ、エモーショナルな激情をギターにかき鳴らす。静と動のふり幅が広いが、エモの特有の内向的ないじけはない。悲しみや苦労を乗り越えたさきで鳴らされている、カラッとした大人の味わいがある。変拍子を使った独特のリフや、和太鼓や管楽器のような高音で厳かなシンセの音などを取り入れている。絶望的なほど曇った空から、希望の一筋の光が差し込めるようなドラマテックな展開が気持ちいい。

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9mm Parabellum Bullet 『VAMPIRE』

VAMPIREVAMPIRE
9mm Parabellum Bullet

EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) 2008-10-15
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 9ミリ・パラブレム・バレットは、新しいロックスタイルを提示したバンドだ。たとえば80年を象徴するラウドロックといえば、スラッシュメタルと呼ばれたメタリカ。メロディックでテクニカルなギターソロと2ビートのドラムで世の中を席巻した。90年代は、パンテラに代表される重厚なギターのリフと、怒号のデスヴォイスが主流となったパワーメタルの時代。そして00年以降はコンヴァージに代表される変拍子のギターフレーズが複雑に入り混じったカオティック・ハードコアの時代である。そんなカオスをよりポップにメロディアスにアレンジし、9ミリはいち早く日本で提示したバンドだ。

 今作もエモ、パンク、カオティック・ハードコアなどのフレーズが、高度な演奏技術によってカオスと化したサウンドに変わりはない。ただ爆発力や勢いがあった前作と比べると、まとまりや聴きやすさ、完成度を重視している。もしかしたらすさまじいライブ演奏を、いまの段階では音源に還元できないという判断があったのかもしれない。だから荒削な音よりも、スムーズに聴かせるポップさを、今回は重視している。衝動や勢い、爆発力を求める人と、聞きやすさを求める人との間に賛否両論が起こっているが、ぼくはこの変化を好意的に受け止めている。

 その理由として特に成長を見せた、CGで切り貼りされた映画のワンシーンを切り取ったような、現実ではありえない不思議な光景の歌詞。そのなかでもとくにこのバンドを象徴しているのが8曲目のFaustだ。こんな一節がある。<吠えることを忘れた犬、巣に戻れない蜂の群れ、本能を忘れて迷い続けている。構わないよ、変わらないよ、どっちにしても、同じくらい苦しいものさ。>そこには、大きな喪失がある。だが希望や本能を失った悲惨な現実に対する怒りや憎しみといった感情はない。あるのはその状況を受け入れた戸惑いと諦観だ。たとえ本能を失わなかったとしても、たどり着く結果は同じで、迷いや苦しさから、逃れられない。同じ場所を、ぐるぐると回り続けているような徒労に似た悲しい気持ち。先の見えた未来に対する自己憐憫や苦しさ。そんな静かで穏やかカタストロフを、9ミリは表現している。だが彼らは答えを探すためにただ前へ進んでいく、信念も理由もないまま、閉ざされた世界からの抜け出すために。

 あらゆる情報があふれ、絶対的価値観や正義のゆらいだ現代。そんな時代のなかでやりたいことを見つけられず、先の見えた未来に絶望している若者が急増しているという。そんな複雑で混沌とした想いを、カオティックなサウンドと歌詞で9ミリは表現した。現代の若者の苦悩を代弁している音楽といえるだろう。

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BRAHMAN/ブラフマン『THE THIRD ANTINOMY』

LIVE&DOCUMENTS DVD「THE THIRD ANTINOMY」LIVE&DOCUMENTS DVD「THE THIRD ANTINOMY」

トイズファクトリー 2008-11-12
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 11月に発売したブラフマンのDVD『THE THIRD ANTINOMY』は、全国41ヵ所を巡った“アンチノミーツアー”を克明に追ったドキュメンタリーだ。全体的にシリアスで重苦しい内容で、冒頭から、幕を下げるタイミングを間違え、ライヴが失敗に終わるシーンから始まる。ツアー中、ベースのマコトが、機材に頭をぶつけて救急車に運ばれたり、ボーカルのトシローは、喉がつぶれて血を出すなど、あらゆる災難がバンドに襲い掛かってくる。だが彼らはけっして逃げない。失敗に終わったライヴを謙虚に受け止め、怪我人がでる過酷な状況でも、誰一人リタイアすることなくツアーを続けていく。  ハイスタに代表されるエアジャム世代と呼ばれ、若者に絶大な支持を得ているブラフマン。その彼らの音楽性を形容する言葉は“静と動”。静の字はアジアンティックな繊細なメロディーだが、動の字は紛れもなくハードコアサウンドからの影響だ。だがそのサウンドは従来のハードコアからすれば異端だ。しかも売れている事実もあって、従来のハードコアファンからは、アイドルバンドと思われ敬遠されがちである。だが100人規模の小さなライヴハウスでも、けっして手を抜くことなく、全身全霊を傾けたパフォーマンスで、極限までに研ぎ澄まされた演奏をしている。毎回楽屋や路上で倒れ、完全燃焼している彼らの姿や、小さなライヴハウスへの異常なこだわり、困難に立ち向かっていくバンドスタンスでも分かるとおり、まさしくハードコアそのものなのだ。どんな試練にも立ち向かい、プライドの高さゆえ隠したくなるような恥ずかしい自分をさらけ出し、困難や弱い自分と逃げず向き合っていく。それこそブラフマンが掲げるハードコア精神といえるだろう。その信念が、彼らをすさまじいライヴへと駆り立て、緊迫した雰囲気を作り出している要因なのだ。  DVDのなかでトシローが「バンドで鳴らしたいのは音ではなく生き様」や「楽なほうと苦しいほうの道が二つあったら、苦しいほうに意味がある。そこから得られるものが大きいから」と、発言していた。その言葉どおり、彼らは修行僧のように、ただひたすら高みを目指している。苦難を乗り越えた先にある最良の瞬間を目指して。彼らはまだ目指している境地には達していないようだ。

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