プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

スポンサードリンク


ヘヴィーロック

2017/02/24

CODE ORANGE(コード・オレンジ) 『FOREVER(フォーエバー)』

ForeverForever
Code Orange

Roadrunner 2017-01-12
売り上げランキング : 27091

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ピッツバーグ出身のハードコア・バンドの3作目。ハードコアのジャンル分けをする際、彼らカテゴライズする言葉は難しい。メタルコアとしてジャンル分けをしているサイトやレビューが沢山存在するが、シャドウズ・フォールやキルスイッチエ・ンゲージのようなメタルからの影響は全くない。かといってフガジから発展したポストハードコアでも、アースクライスから進化したニュースクール・ハードコアでもない。強いて言うならポスト・カオティック・ハードコアとでも呼ぶべきなのか。

そのサウンドは初期コンヴァージの影響を色濃く感じる。初期コンヴァージのサウンド・スタイルをベースに、ブレイクダウンや暗黒ドローン、殺伐ノイズなどを練り込み、不気味な静けさと、おどろおどろしい暗黒な世界をイメージさせるサウンドを展開している。自身が奇妙で実験的なバンドを目指しているという発言通り、シンプルなハードコアにプラスアルファを加え、独特なサウンドを展開している。ハードコア界でも奇異な存在なのだ。

そして3作目となる今作では、korn(コーン)のようなゴズやギターのリフ、ヘヴィーロックの要素が強まっている。ノイジーでスピーディーな曲から、後半に進むにつれてスローでダウナーな曲が増えていく展開。1曲を除いてハードコアのスピーディーな曲がなくなっているが、ノイズ度や暗黒度が増し、前作よりも過激な作品になっている。Kornのサウンド・スタイルをさらにノイジーに、ストナーに、暗黒ドローンに進化させたサウンドといえるだろう。

そこで鳴らされている音楽は、魔界暗黒ノイズアンビエントドローンといったサウンド。終始、落ち着きのあるトリップ感に覆われている。まるで魔法陣の前で呪いの言葉を呟くような、不気味な落ち着きと邪悪な空気に満ちている。もはやここまでくるとハードコアではないが、ハードコアを通過した最先端のNU METAL(ニューメタル)といえるだろう。

彼らのサウンドは最新のNU METAL(ニューメタル)であることに間違いはない。だが鬱と躁で分けるのなら、鬱の側で鳴らされているサウンドだ。メタルに発散や過激さや刺激といった躁側の音を求めている人からすれば物足りなく感じるだろう。だから彼らのサウンドはおそらくメタルの主流になることはけっしてない。だがここでは独特な世界観と、彼らならではのオリジナルティー追求したサウンドが鳴らされている。彼らならではのメタルの亜流を追求しているのだ。素晴らしい作品。

2016/08/09

letlive.(レットライブ)  『If I'm The Devil... (イフ・アイム・ザ・デビル)』

IF I'M THE DEVILIF I'M THE DEVIL
LETLIVE

EPITA 2016-06-09
売り上げランキング : 146987

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


おそらく現在のへヴィー系音楽の最前線にいるのは、彼らだろう。メタリカなどのスラッシュメタルから、パンテラのパワーメタル、リンプビズキッとなどのニューメタルとシーンが変遷し、そして現在、スリップノットやイン・フレイムなどのメロデス・デスコアが音楽シーンの中心いる。どのバンドもスリップノットやイン・フレイムの影響下から抜け切れず、デス声を中心に据えた音楽を展開している昨今、彼らは主流派とは全く異なるアプローチで、新しい形のへヴィネスを提示している。

とくに前作『ザ・ブラッケスト・ビューティフル』は、コンガのリズムをヘヴィネスサウンドに取り入れ、新しいスタイルのへヴィーロックを展開していた。トライバルなリズムが闘争心を掻き立て、性急なスピード感が苛立ちといった感情を煽っていく。そして怒りの感情をマックスまでに振り切った、ボーカルのシャウト。そこには理性のかけらもない本能だけで動く暴力衝動がある。理性を失った究極の躁病的なサウンドだったのだ。

そんな激しかった前作と比べると、今作では静かさや穏やかさなどの、鬱な感情を追求している。今作でもア・トライブ・コールド・クエストやカニエ・ウエストなどのヒップ・ホップから、ニューロマンティックやゴズ、ヨーロッパのクラッシク調のメロディーなど、いろいろな要素をハードコアに取り込んでいる。いろいろな要素を取り込む無国籍で雑多なハードコアという姿勢は変わらないが、そのなかでもとくに目立つのがスローテンポのバラード曲の多さ。スピーディーな躁から、スローテンポな鬱へと180度異なるアプローチのサウンドを展開している。

ここにあるのは叙情的で、繊細さと妖艶な美しさのある穏やかなメロディー。繊細さの奥にデリケートな神経質さを感じる。メロディックになったといっても、けっしてポップで大衆受けするノー天気な明るさを追求しているわけではない。今作もパンクな姿勢はブレることなく一途に貫かれている。とくに3曲目の“グッド・モーニング・アメリカ”は、白人警察から不当に暴力を受ける黒人や、マルクスとゲバラの理想論を掲げ、貧困からの脱却など、差別と虐待を受けている弱者の気持ちを代弁している。そこには迫害されている者たちの悲惨な苦しみの感情が、切実なほどひしひしと伝わってくるのだ。

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンから受け継ぐ、政治的なメッセージは今作でも健在なのだ。サウンドが変わったからといっても、反逆のパンクバンドでいることに変わりはない。今作もまぎれもなくパンクロックの最前線にある作品なのだ。

2014/10/13

Issues (イシューズ)  『Black Diamonds (ブラック・ダイヤモンズ)』

Black DiamondsBlack Diamonds
Issues

Rise Records 2012-11-12
売り上げランキング : 42365

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 アトランタ出身のポストハードコア?バンドの12年に発表された6曲入りのデビューEP。オルタナプレスの未来を担うメタルコア・バンド10選の1位に選ばれた実力だけあって、現在、注目されているバンドでもある。

 個人的にはメタルコア・バンドというよりも、スクラッチなどのリンプ・ビスキッドのようなニューメタルやエンターシカリなどのユーロビート、ヒップホップなどの要素をブレンドし、発展させた、メロディック・デスメタルバンドの進化系だと捉えている。

 そのサウンドは、ユーロビートの近未来的でミステリアスなデジタル・サウンドに反響する美声と、荒廃した都市のような重厚でノイジーなギターのリフとデス声の、二律背反する要素がぶつかり合うサウンド。たいていの人ならば、ヘヴィーミュージックに対してうるさく不快な要素を追求した音楽だという印象を持っている人も多いと思うが、ここでは都会的でおしゃれなものとして処理している。それがこのバンドの魅力といえるだろう。まさに新世代を代表するいろいろな要素が混ざった新しい形のヘヴィーロックなのだ。

2013/09/22

トイッチング・タングス  『プリーチャー・マン』

Preacher Man [Analog]Preacher Man [Analog]
Twitching Tongues

Revelation 2013-08-27
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 12年に発表された3曲入りのEP。1曲目の“プリーチャー・マン”は、ポストハードコアな曲で、②の“フィード・ユア・ダディーズ”はブラストビートを中心としたグラインド・コアな曲。③の“アット・ザ・ギャローズ・エンド”はスェーデンのドゥームメタルバンド、「キャンドルマス」のカヴァー。前作よりもさらにメタル化が進んでいる。

 このEPでは、ずいぶんと成長の跡が感じられる。とくに顕著なのが“プリーチャー・マン”。葬式の厳かな鐘の音で始まり、緊張と静謐をつむぐアコースティックから、激しさのなかに落ち着いた雰囲気を内包したドゥームへと変化していく展開の曲だ。ここではアコースティックからドゥームに変わっていくギターもさることながら、ゆったりとしたリズムからブラストビートに変速していくドラム、絞首台に1歩、1歩、近づいていくような緊迫した空気を紡ぐベースの音など、いろいろなジャンルのサウンドが融合している。

 前作までは、ギター、ドラム、ベースなどの楽器は、ひとつの音楽からの影響をうけていた。そのひとフレーズを、組み合わせるという手法で曲を作っていた。それがこの曲ではドラム、ギター、ベース、ボーカルなどの個々の楽器は、べつ音楽から影響を受けている。個々の楽器が主張しながらも、ひとつにまとまっている。そのグルーヴ感がいい。それが技術的な成長の証なのだ。

 キリスト教への背徳の匂いがぷんぷんするジャケットからも分かるとおり、世界観は今作も前作を踏襲している。彼らのよさを失わず、成長の跡を感じる作品なのだ。

2013/09/18

トイッチング・タングス  『スリープ・ゼアピー』

Sleep TherapySleep Therapy
Twitching Tongues

I Scream Records 2012-03-25
売り上げランキング : 352450

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 11年発表のデビューアルバム。前作のマッド・ボールやリヴィング・ウィットネスからの影響から抜け出し、オリジナルティーを確立した作品。EPから“インサイン・アンド・インヒューマニー”と“ヴァレンタリー・コンファインメント”の2曲が収録され、現時点で彼らの音楽性が集約された作品だ。

 これがじつにいい作品に仕上がっている。基本的には、グルーヴ感あふれるスローテンポのハードコアで、メタルからの影響が強い重厚なリフを中心としたヘヴィーなサウンド。そこに絶望に満ちた静謐を緊迫感でつむぐアコースティックギターや、ブラストビート、土の匂いのする猥雑なカウボーイ・ロックや、コーンの影響を感じる精神が病んだ歌い方などを取り入れ、バラエティー豊かな作品に仕上がっている。そしてこのアルバムのハイライトというべきは、8曲目の“アーム・イン・アルマゲドン・パート1”。ここでは、厳かなピアノの不気味な静けさのサウンドを展開。そこにはまるで死者の無念を沈めるうな深い内省の鎮魂歌がある。歌詞の内容は、死ぬことへの願望と祈り。そこにはすべてをあきらめ、絶望し、死にたいと願っている姿があるのだ。

 死神が眠る美女の後ろに立つジャケットと、睡眠治療と名付けられたタイトルが示す通り、今作のテーマは、死に対する切望と、眠る事によって意識を失い仮死状態になることへの憧れ。そこには死に憧れる病んだ精神世界があるのだ。

 前作の死神という世界観をベースに、そこからさらに死生観を掘り下げている。すばらしい作品である事に間違いはないが、だがここまでくるともはやハードコアではない。その理由は、ハードコア特有の攻撃性や、闘争心がないからだ。これは死の匂いが漂う新型のヘヴィーロックといえるだろう。

2011/03/28

ENTER SHIKARI 『COMMON DREADS』

コモン・ドレッズ(DVD付)コモン・ドレッズ(DVD付)
エンター・シカリ

ホステス 2009-06-24
売り上げランキング : 67195

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

09年に発表された2nd。前作と比べると格段に進化遂げ、ものすごくいい作品にしあがっている。もはやユーロビートなどの大衆音楽からの影響はない。2ビートのハードコアからノイズ、賛美歌のコーラス、コントロールを失い暴走したシンセ、扇情的に煽るデジタル音など、いろいろな要素を取り入れている。

べつにいろいろな要素取り入れればいいという訳ではない。だが彼らの素晴らしいのは、すべてがラディカルで攻撃的で荒々しいところにある。前作で売れたのにも関わらず、あえて大衆受けしないアンダーグラウンドミュージックを追求している。

もはやメタル+ユーロビートとは言わせないオリジナルティーのあるサウンドで、過激に暴走していく攻撃性がすばらしい。

2011/03/25

ENTER SHIKARI  『Take To The Skies』

テイク・トゥ・ザ・スカイズ(DVD付)テイク・トゥ・ザ・スカイズ(DVD付)
エンター・シカリ

Hostess Entertainment 2007-03-14
売り上げランキング : 118130

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


イギリスはロンドン出身のデス・メタルにダンスミュージックを合わせたヘヴィーバンドの07年に発表されたデビュー作。

ヘヴィネスにデジタル・サウンドを取り入れたバンドといえば、25年以上前にミニストリーやビッグ・ブラックなどがいるし、けっして目新しいサウンドとはいえない。

だが小室音楽の代表格であるTRFやジュリアナ東京などのディスコミュージックと、デスメタルを合わせたバンドは初めてではないか。20年以上前は、都会的なスノッブなものに対して、パンク、メタルの両シーンとも偏見と差別があった。だから大衆受けしている流行りものと、アンダーグラウンドミュージックを掛け合わせるといった発想自体ありえなかった。

なんの偏見や時代背景を知らないいまどきの若者だから、当時メインストリームであったディスコとアンダーグランドのデス・メタルを融合させることができたのかもしれない。そう時代によってパンク的モラルや価値観は転換する。その具体例を示した典型的なバンドといえるだろう。

シンセの音以外は肉体的なロックサウンドが中心。激しいサウンドだが、けっして怨念に満ちていたり、攻撃的ではない。ディスコのように激しく踊ってすることが目的とされている。そのためにデス声を加味し、迫力を増長させた、といえるだろう。音楽に対して深刻さを求めない人にはうってつけの作品だ。

スポンサードリンク


最近のトラックバック

無料ブログはココログ

スポンサードリンク