プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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ストレート・エッヂ

2017/04/07

VA / ILLITERATE

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 EBULLITION Recordsのオーナーであるケントが、ヨーロッパツアーを敢行したときに、発掘したヨーロッパのバンドたちを集め、収録した92年発売のコンピレーション。 EBULLITION Recordsといえば、当時アメリカではそんなに有名でなかった激情コア、ストレートエッヂ・ハードコアシーンというジャンルを積極的に紹介していたレーベル。アメリカで、ヨーロッパの激情コア、ストレートエッヂ・ハードコアのバンドたちを紹介しようと、企画されたのが、今回の作品。ここに収録されているバンドは、Finger Print, Kina, Gnezl Drei, Wounded Knee, Condense, Nothing Remains, Ivich, Voorhees, Ego Trip, Abolition, Blindfold, Married To A Murderer, and Hypocritical Societyといったバンドたち。

 VA (EBULLITION) XXX SOME IDEAS ARE POISONOUSは、どのバンドもストレート・エッヂに対する強烈な拘りと、個々の信念を持っていた。それと比べると、強烈な信念やオリジナルティーのあるサウンドを展開しているバンドたちは少ない。あくまでもケントが共演したバンドたちをアメリカで紹介するため、ラフの気持ちでコンピを制作している。

 ここで収録されているバンドたちは、Conflict (コンフリクト)系のノイジーなハードコアから、MINOR THREAT (マイナースレット)系のスピーディーなハードコア、Fugazi (フガジ)のようなエクスペリメンタルなサウンドのバンド、RITES OF SPRING (ライツ・オブ・スプリング)系のエモーショナル・ハードコア、ポップエモなど、それなりにストレート・エッヂなバンドから影響を受けているのが理解できる。やはりヨーロッパだけあって、本場のコンフリクトからの影響を感じるのがうれしい。

 ただVA (EBULLITION) XXX SOME IDEAS ARE POISONOUSに収録されているバンドたちのような、シリアスさはここでは感じない。おそらくこの時点ではまだ、ストレート・エッヂがヨーロッパで浸透していなかったからだろう。ストレート・エッヂとは、ベジタリアンの延長上にあるような軽さなのだ。

 だからと言って決して悪いコンピではない。ヨーロッパでは、この2、3年後、マザーアースやアニマル・トゥルースなどの、良質なストレート・エッヂ・コンピレーションが出てくる。ヨーロッパにストレート・エッヂの布石を打った、初めての作品なのだ。

2016/11/14

ABNEGATION (アベネゲーション) 『Verses Of The Bleeding(ヴァーサス・オブ・ザ・ブリーディング)』

Verses Of The Bleeding by Abnegation (2011-11-01) 【並行輸入品】Verses Of The Bleeding by Abnegation (2011-11-01) 【並行輸入品】
Abnegation

Good Life Recordings 2011-11-01
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ペンシルバニア州出身のヴィーガン思想を掲げるストレート・エッヂ・バンドの、97年に発表された最初にして最後となる1枚目のフルアルバム。93年ごろから活動を始め、過去にデモとEP、スプリットを合わせた作品を、4年間の間に計6枚発表している。

彼らの活動といえば、95年に動物愛護運動家でシーシェパードの活動にも参加しているRod Coronado(ロッド・コロナド)の活動資金提供のために制作された、アースクライシスも参加したことで知られているコンピレーションアルバム『Stones To Mark A Fire (ストーンズ・トゥ・マーク・ア・ファイヤ)』に参加したことで有名だ。

改めのこの作品を聴いてみると、サウンドはニュースクール・ハードコアというより、パワーヴァイオレンスや、デスメタルに近い。しかも音質がペラペラで音に迫力がない。オリジナルティーもあまり感じられない。

歌詞は反キリストや悪魔崇拝や絶望に満ちた内容が多い。ヴィーガンやストレートエッヂ・バンドにある外の世界に向かっての闘争的な内容や怒りの内容は、この作品にはない。イギリスのメタルバンド、ヴェノムのカヴァー曲も収録されているし、実際にはヴィーガン思想よりも悪魔崇拝のほうが上回っているのだ。

おそらく彼らが強い信念を持ったストレートエッヂ・ハードコア・バンドとして認知されてしまった理由は、『ストーンズ・トゥ・マーク・ア・ファイヤ』に参加したからだろう。このコンピレーションの販売目的自体がラディカルな理由だったので、強烈なヴィーガン思想をもったバンドたちしか参加できないと、捉えられてしまったのだろう。

あくまでも僕の想像だが、彼らが『ストーンズ・トゥ・マーク・ア・ファイヤ』に参加した理由は、自身がストレートエッヂではなく、社会に対する憎悪、とりわけ人が嫌がる、反社会的な行動をとりたかったからではないか。彼らアルバムからは不快なものへのフェティシズムを感じることができる。彼らは屈折しているのだ。

個人的には穿った見方をしてしまったが、ストレート・エッヂ・バンドの作品のなかでは、100選に選ばれるほど、重要な作品なのだ。

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