New Found Glory 『Radiosurgery』

レディオサージュリーレディオサージュリー
ニュー・ファウンド・グローリー

SMJ 2011-10-05
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 11年発表の7作目。前作の原点回帰の延長上にある作品。今作も同じくギター、ベース、ドラムのシンプルな構成。微妙な変化だが、変わったところといえば、ギターサウンド。前作の重く叩きつけるようなギターから、バリバリと音が歪むギターに変わった。

 今作のテーマは<ポップ・パンクス・ノット・デッド>。30年前にハードコア・バンドのクラスが<パンク・イズ・デッド>に反発して、同じくハードコア・バンドのエクスプロイデッドが言った<パンクス・ノット・デッド>に由来する。おそらく彼らが<ポップ・パンクス・ノット・デッド>と発言した理由は、エクスプロイデッドと同じ心境だったからだろう。ブリンク182やサム41、シンプル・プランといった大御所たちは、解散せず、いまでも活動を続けている。だが、ここ数年メロディック・パンクの勢いがなくなってきた。とくにモーション・シティー・サウンドトラック以降、デジタル化が顕著になった。バンド編成のシンプルなメロディック・パンクを展開している新人といえば、オール・タイム・ローくらいしか育っていない。もはやメロディック・パンクは、飽きられた感がある。資本家による富の搾取が始まった昨今、ノー天気で明るく楽しくサウンドは、時代にそぐわなくなってきたのだ。

 そんな時代だからこそ、<ポップ・パンクス・ノット・デッド>というアティテュードを打ち立てたのだ。その精神とは、太陽が照りつける青い空のようなサウンドと、ノー天気に明るく楽しくやっていこうという姿勢。彼らは、時代錯誤といわれようが、パンクではないと言われようが、その姿勢を貫こうと決意したのだ。今作ではいままでになく開き直っている。たとえば、“ アンセム・フォー・ザ・ アンウオンテッド”では、恋愛のどきどき感について歌い、“ドリル・イット・イン・マイ・ブレイン”では、彼女の心変わりを愛おしく感じゆるしてしまう瞬間を歌っている。そして “アイム・ノット・ザ・ワン”では彼女に告白するドキドキする気持ちについて歌っている。総じて日常的で楽しかった彼女との出来事を歌詞にしている。そこには悲しみのかけらは微塵もない。ドキドキする気持ちと毎日がバラ色のような楽しさしかない。そこには、意地や皮肉やこだわりは感じられない。ただ楽しきゃいいさという自然体で音楽を楽しんでいる姿勢がある。全作品のなかで一番明るく楽しいサウンドを展開している作品だ。

 今作のメロディーは、初期パンクや初期ゼブラヘッドからの影響を感じる。いつもどおり、ドスンと響く重いギターのリフと、力強いリズムは健在で、すべてをメロディーの側に引っ張ってくるボーカルのハスキーで甘い歌声は相変わらず、すごい。ブリンク182やサム41が、軒並みシリアスな方向に向かっていったのに対し、彼らは、ノー天気で楽しいという姿勢を貫き通した。メロディック・パンクの魅力が詰まった作品だ。


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NEW FOUND GLORY & DASHBOARD CONFESSIONAL SPRIT EP/ニュー・ファウンド・グローリ&ダッシュボード・コンフェッショナル 『スプリットEP』

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 10年に発表されたダッシュボード・コンフェッショナルとニュー・ファウンド・グローリーによる7EPスプリット。限定2500枚の発売。エモとメロディックパンクという微妙に立場が異なり、仲が悪そうなジャンルのバンドたちによるスプリットだが、実現したのは両者ともフロリダの出身だから。どこの国でも、地元意識は強いのだ。

 その内容は、お互いの曲をカヴァーしあっている。ニュー・ファウンド・グローリーは、ダッシュボード・コンフェッショナルのアコースティックナンバーをロック・バージョンにカヴァー。クリス・ギャラハーの心の痛みを耐えながらも前へ進んでいくような熱い歌声を、スクリームとデス声に代え、気合の入ったアレンジでカヴァーしている。対するダッシュボード・コンフェッショナルは、チープなキーボードとリズムマシーンを使ったインディーアコースティックにアレンジ。その情景は、まるで星空に散りばめられた夜空を見ているような爽やかさ。

 自分の個性を貫いたニューファンド・グローリーと、実験的で新しい試みが多くみられるダッシュボード・コンフェッショナル。どちらのファンも楽しめるし、両者ともポップでいい曲がそろっている。限定盤にするにはもったいない内容だ。
                  くわしくはここ

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NEW FOUND GLORY『NOT WITHOUT A FIGHT』

ノット・ウィズアウト・ア・ファイト(期間生産限定盤)ノット・ウィズアウト・ア・ファイト(期間生産限定盤)
ニュー・ファウンド・グローリー

SMJ(SME)(M) 2009-02-25
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 まさしく原点回帰。まるで2,3作目のときのような勢いに満ちた、シンプルでパンキッシュな作品。ピアノなどの楽器や、エモやバラードなどの、ほかのジャンルの音楽を取り入れたりなどの小細工は一切ない。シンプルなメロディックパンクで、勢いよくグイグイと押していく。ギターの音はハードで、エッジが尖っている。とはいってもただ原点回帰をしたのではなく、多彩なフレーズを組み合わせたギターからは、前2作の実験性が確実に反映されている。彼らの一貫したテーマである楽しさは今作も健在。とはいっても、ついは目をはずしたくなるようなバカ騒ぎをするような楽しさではない。辛い現実に向かっていく攻撃性に満ちている。まるでストレスを発散してスカッとするような楽しさだ。歌詞は、失恋や絶望を味わいながらも、前へ立ち向かっていこうとする気迫に満ちた内容が多い。原点のような荒々しい勢いを取り戻しながらも、前2作の長所を取り入れ、止揚したサウンドだ。確実に成長している。

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NEW FOUND GLORY『ナッシング・ゴールド・キャン・ステイ』

Nothing Gold Can StayNothing Gold Can Stay
A New Found Glory

Drive-Thru 1999-10-19
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 99年発売のデビュー作。ここでは、録音状態も悪く、どこにでもいそうなメロディックパンクバンドという印象を受ける。ジョーダンの美声も生かされていない。ギターのチャドは、このころまだ叙情ハードコアバンド、シャイ・ハルードのボーカルであったし、あくまでもサイドプロジェクトの意味合いが強かったのだろう。ドラムやギターの使い方からは、アメリカンハードコアや初期パンクからの影響を感じる。この後ブリンク182の後継者として、第二世代のメロディックパンク代表するバンドに成長を遂げていくわけだが、この作品でも断片的に、彼ら特有のパーティー気分の楽しさは窺える。メタルからの影響が強かったブリンク182とは、ルーツが違うから、彼らは成功したのだろう。

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NEW FOUND GLORY『TIP OF THE ICEBERG』


チップ・オブ・ジ・アイスバーグ(初回限定盤)チップ・オブ・ジ・アイスバーグ(初回限定盤)
ニュー・ファウンド・グローリー

IN-N-OUT RECORDS 2008-05-08
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 新曲3曲に、伝説のハードコアバンドを3曲カヴァーした作品。ここでも自分たちの原点を見つめなおしたかったのだろう。もうひとつのルーツである、ハードコアをカヴァーしている。ジョーダンの甘くハスキーな歌声はかすれ、男くささと気合に満ちた怒声に変わり、ささくれ立っている。ギターも原曲を崩さないシンプルなアレンジ。ゴリラビスケッツやシェルター、ライフタイムをカヴァーしている。新曲もハードコアの延長上にあるスピーディーなサウンドで、勢いと衝動に満ちている。なお日本盤はインターナショナル・スーパーヒーローズ・オブ・ハードコア名義で発売された『デイキン・イット・オヴァ!』とのカップリング。

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NEW FOUND GLORY『FROM THE SCREEN TO YOUR STEREO PARTⅡ』

フロム・ザ・スクリーン・トゥ・ユア・ステレオIIフロム・ザ・スクリーン・トゥ・ユア・ステレオII
ニュー・ファウンド・グローリー

IN-N-OUT RECORDS 2007-09-19
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 映画の主題歌のカヴァー第2弾。第1弾から7年が経っていることから、ここでカヴァーした意味は、おそらくここ数年、実験的にいろいろな音楽を取り入れ、ゆったりしたアルバムが続いたので、自分たちのルーツを見つめ直したかったのだろう。その通り、キャッチーで勢いに満ちたメロディックパンクを展開している。だが底抜けの楽しさはない。ポップな明るさの陰に、切なさが見え隠れしている。大人のカヴァーだ。日本でも有名な“キス・ミー”のカヴァーなどもある。そのほかにも、カントリのカヴァー“イット・エイント・ミー・ベイブ”など新機軸をみせている。

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NEW FOUND GLORY『COMING HOME』

Coming HomeComing Home
New Found Glory

Geffen 2006-09-19
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 前作と同じくメロディックパンクにプラスアルファーを加えた5作目。ここではリズム中心の曲作りがされており、キーボードやピアノが中心となり、さらに音楽性が広がっている。新しいところではR&Bやエモの影響を感じられる曲もある。能天気な明るさで勢いに任せていた2,3作目のころと比べると、喜怒哀楽のあるドラマティックな展開で、内省的で思慮深くなった。ジョーダンの枯れた味わいのある歌い方が、アルバム全体に渋味を効かせ、大人になった印象を受ける。この作品を発表する前に、メンバー全員が家庭や婚約者を持ったそうだ。それでタイトルをカミング・ホームと名づけたという。そのタイトルの通り、何ヶ月も家を留守にする過酷なツアーで、早く愛する家族の待つ家に帰りたいと思いが、このアルバムのテーマになっている。だから夕暮れ時の家に帰るときのような郷愁に満ちた雰囲気が、アルバム全体を支配している。ノリのいいリズムとコーラスに、キーボードの爽快感を加えた②は、この時代にした作れない名曲だ。

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NEW FOUND GLORY『CATALYST』

キャタリストキャタリスト
ニュー・ファウンド・グローリー

ユニバーサル インターナショナル 2005-04-21
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 激的に変わった。怒りを一転集中させたハードコアナンバーから始まり、暗みのかかったメロディーに変化を遂げ、哀愁が漂った作品。お馴染みのニューファウンド節のメロディックパンクもあるが、半分は新しいアプローチをみせている。フォークギターやメタルのフレーズを取り入れた曲や、バラード、シンセ音など境地をみせ、彼らの実験性が窺える。歌詞は、恋人との別れや、自分の人生が苦難にぶつかったときの気持ち、消費社会への警鐘など、シリアスで重い内容が多い。だが、そこには辛い状況から這いあがろうとするメッセージが込められている。その辺がいかにも彼ららしい。暗く哀愁に満ちているが、メロディックで甘くハスキーなジョーダンのボーカルは際立っているため、そこには極上のポップさがある。『キャタリスト』(触媒)というタイトルが示すように、中心にある核こそ変わりがないが、新しい要素を加えることによって、より進化した作品だ。

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NEW FOUND GLORY『STICKS AND STONES』

ステックス・アンド・ストーンズ(通常盤)ステックス・アンド・ストーンズ(通常盤)
ニュー・ファウンド・グローリー

ユニバーサル インターナショナル 2002-06-08
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 おそらく一番売れたのではないかと思われる最高傑作の3作目。ハードコアの影響が強く、激しかったギターがまろやかになり、さらにメロディックになった。アメリカンポップスの要素がさらに強くなり、より楽しさが倍増している。全作品中、一番ポップで、ノリのいい作品で、前作の路線をさらに深化させた。メロディックパンク特有の、楽しくはしゃぎたくなるような激しさで、全曲駆け抜けている。前作よりも楽しさやわくわく感が、さらに増強している。歌詞は前作と同じく恋愛のことばかり。彼女に振り回され、フラれても、つぎの恋に希望を持つ前向きさがいい。極上にキャッチーなメロディーと底抜けの楽しさ尋常ではない。ごく普通の若者をパンクに取り込み、パンクシーンの大衆化を決定付けた一枚。

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NEW FOUND GLORY『FROM THE SCREEN TO YOUR STEREO』

From the Screen to Your StereoFrom the Screen to Your Stereo
A New Found Glory

MCA 2000-03-28
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 映画主題歌をカヴァーした作品。本来はニューアルバムをリリースする予定であったが、オリジナル曲が完成していなかったため、急遽カヴァーアルバムに変えたという。“タイタニック”や、エアロスミスが歌った“アルマゲドン”のテーマや“ネバー・エンディング・ストーリー”などを、ユースクール系のカッティングギターや、2ビートのドラムで、ハードコア調に攻撃的で、アグレッシヴにカヴァーしている。彼らのルーツである、映画サントラのポップ感と、ハードコアのアグレッシヴさ。その両方が理解できる作品だ。

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