プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

スポンサードリンク


O

2015/03/03

Overcast (オーバーキャスト)   『Only Death Is Smiling 1991-1998 (オンリー・デス・イズ・スマイリング:1991-1998) 』


Only Death Is SmilingOnly Death Is Smiling
Overcast

Bullet Tooth 2015-02-03
売り上げランキング : 116661

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 アフターショックと並びメタルコアの基礎を作った伝説のバンドの、91年から98年にかけてのすべての作品を収録した3枚組みのコンピレーション・アルバム。メンバーは現シャドウズ・フォールのボーカル、ブライアン・フェアと、現キルスイッチ・エンゲージのギターマイク・D’アントニオを中心に、メタルコアのレジェントで構成されている。

 その内容はディスク1には、1曲目から8曲目までは、94年に発表されたデビュー・アルバム、『エクスぺテイション・ディヌッション』から全曲と、9曲目から12曲目までは92年に発表されたデビューEP『ブリード・イントゥ・ワン』。14と15曲目は95年の2作目のEP、『スティアリング・ザ・キラー』から全曲。ディスク2の1曲目から9曲目までは97年に発表された2作目『ファイト・アンビション・トゥ・キル』全曲と、10曲目は96年に発表されたariseとのスプリットから。11、12曲目は96年に発表されたEP、『ベキニング・フォー・インディファレンス』、13から16曲目は『エクスぺテイション・ディヌッション』に収録された曲のデモヴァージョン。そしてディスク3の1から8はライヴ曲で、9から11曲目までは93年に発表されたデモ・シングル。12と13曲目は未発表曲で、14曲目がブラック・サバスのトリビュートから。91年か98年まで活動した際に発表された曲がすべて網羅されている内容だ。

 オーバーキャストのデビューEPが発表されたのが92年で、デビューアルバムが94年。彼らの活動期間はちょうどアース・クライシスとかぶる。当時のヘルメットのようなスローテンポで金属質で重いリフを中心としたサウンドのメタルが主流で、アース・クライシス系のニュースクール・ハードコアもそこから発展した。オーバー・キャストも同様でそのサウンドからは、ヘルメットの影響が色濃く感じる。だがアースクライシスとの違いは、メタルパートをさらに貪欲に取り入れた部分だろう。ナパームデスばりのブラストビートと絶叫、メタリカのような叙情的なメロディー。スピード感こそまったくないが、グラインドコアやデスメタル、スラッシュメタル(叙情的な部分だけ)などのいろんなメタルを貪欲に取り入れたサウンドなのだ。たとえるなら、アースクライシスのニュースクール・ハードコアに、メタルのエッセンスを5倍近くさらに追加したサウンドといえるだろう。

 ニュースクールをさらにメタル化したサウンドで、メタルコアの先駆者として当時としては新しいサウンドであったことは事実だ。だが彼らがブレイクしなかった理由は、ヘルメットという先駆者からの影響が抜けきれなかったからだ。そのあと結成されるキルスイッチ・エンゲージやシャドウズ・フォールでは、もはやヘルメットからの影響がまったくなくなっている。デスメタルを含むメタル7割でハードコア3割の折衷スタイルで、スピーディーなメタルコアは、当時としては画期的なサウンドであった。まさに新しい時代のサウンドであったのだ。

 そういった意味ではオーバーキャストはメタルコアの先駆者であるが、時代そのものを変えるサウンドではなかった。ちょうどニュースクールとメタルコアをつなぐ中間的な役割をしたバンドなのだ。だがメタルコアの進化を知るうえでは、このうえなく重要な作品であることはまちがいない。


2014/05/02

Off! (オフ)  『Wasted Years (ウェスデッド・イヤーズ)』

Wasted YearsWasted Years
Off!

Vice 2014-04-07
売り上げランキング : 11223

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 14年に発表された。2作目。相変わらず前作と変わらないサウンドを展開している。ラモーンズから発展した分厚い音の3コード。8ビートのドラム。1分半のファストなハードコア。まるで居酒屋でクダを巻き叫ぶオッサンのテンションのようなボーカルと、キース・モリスの個性。どれをとってもまったく変わっていない。

 それよりもむしろアレンジの豊富さがすごい。ギターの音とボーカルの歌い方は、全曲一緒なため、下手したらすべて同じ曲に聴こえる。だが、1曲1曲細かいギターのディテールにこだわり、ギターコードのバリエーションの豊富なため、当たり前だが全曲違っている。それを16曲も作れるところがこのバンドのすごい部分だ。アルバム全体、勢いだけで突き抜けることだけを念頭に作られている。典型的なハードコアなアルバムといえるだろう。

 それにしても近年のキース・モリスの元気さはなんなのだろう。サークル・ジャグスで一緒にバンドを演っていたグレッグ・ヘトソンは、おそらく過酷なツアーを周ることが体力的に困難になったため、バッド・レリジョンを脱退した。のきなみ同世代の人たちが老いや体力を理由にバンド活動を辞めていく。キース・モリスは年齢に抗うように精力的にバンド活動を続けている。まるで30年近くくすぶり続けていた苛立ちを現代にぶつけるかのように。もしかしたらキース・モリスのパンクとは年齢に抗うことなのかもしれない。歳をとったから丸くなったとか、体力的に困難だとかそんな言い訳に唾を吐き捨てるような姿勢でバンド活動を続けている。

2012/11/01

オフ

Off!Off!
Off!

Vice 2012-05-08
売り上げランキング : 64844

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 12年発表の2作目。前作と同じく、ラモーンズをベースにしたハードコアに、激しく始まりあっという間に終わるファウストな展開に変わりはない。すべての曲が1分台で、基本的には前作と変わっていない。変化があるとすれば、メロディーの熟味をまし、ギターソロの曲が増えたということだけか。だがそこに技術的な進歩を感じることが出来る。アルバム全体ワンフレーズを執拗に繰る返す展開で、繰り返すことによって、ギター扇情的に攻撃しろと煽っている。そこにギターソロなどを加えることによって、曲の違いを際立たせている。なかでも意外性に富んでいるのは“キング・コング・バゲイド”。静かなメロディーのイントロで始まり、感情を煽るギターソロが展開され、不気味なジャングルの騒音で終わる。1分37秒の中に、複雑な要素を詰め込んでいる。アルバム全体を通してこれほど練られた展開の曲はこの1曲しかない。それほどインパクトが強い曲だ。荒削りなサウンドにギターのアレンジを加える技術を習得したのだ。そういった確実に成長している。

 歌詞は相変わらず<サノバビッチ>など汚い言葉を吐きながら、メディア批判などをし、むしゃくしゃした気持ちをサウンドにぶつけている。まるでホラー映画、『チャイルドプレイ』に似た、コメディー感覚と狂気を感じることが出来る。アメリカ的な匂いの強い作品だ。

2012/10/28

オフ 『ファースト・フォー・EPS』

First Four EpsFirst Four Eps
Off!

Vice 2011-02-15
売り上げランキング : 60598

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 10年に発表された、元サークル・ジャグス/ブラッグ・フラッグのキース・モリスによる新バンド、offのデビュー作。メンバーもベースのスティーブン・マクドナルドは元レッド・クロス。マリオ・ルカバルカは元ホット・スネイク/ロケット・ザ・フロム・クリプトという、豪華な顔ぶれ。これがまたハードコアの原点というサウンドで、いかにも彼らしいプリミティブな衝動に満ちた作品に仕上がっている。

 ここに収録されている曲は、 4枚立て続けに発表されたEPをアルバム一枚にまとめた内容だ。そのサウンドは、野太いロックンロール・サウンドをベースにした、オールドスクールなハードコア。すべての曲が1分台とファウストな展開。まるでサークル・ジャグスの1枚目を髣髴とさせる。勢いよく始まりあっという間に終わっていく。激しく簡潔な内容だ。だが、そこにはタイトさやシリアスさといった緊迫感とは無縁。どこか弛んだ部分がある。それもそのはず。そもそもキース・モリス自体、ヘンリー・ロリンズと比べると、そんなにバイオレンスな人間ではなかった。ブラッグ・フラッグ自体、マッチョで暴力的に変わり、警察に対しても武力で対抗するようになったのも、ヘンリー・ロリンズが加入したからだ。キースが在籍していたころは、そんなに暴力的ではなかったという。だれ構わずに<ファック・ユー>という言葉を投げかけ、アメリカ国旗を燃やしていたそうだが、観客に暴力を振るうことはなかった。酒とドラッグに溺れていた退廃的なバンドだった。ヘロヘロな脱力感と退廃的な姿が、キース・モリス時代のブラッグ・フラッグの個性だったのだ。そしてその個性を踏襲し、シモネタなどの下品さに、スピーディーで簡潔なサウンドを加え、個性を確立したのはサークル・ジャグス時代なのだ。

 そのころと比べると、今作でもさほど変わっていない。シンプルなロックンロールをベースにしたサウンドや、人間の嫌悪な部分を描写したイラストでは、もろにサークル・ジャグス時代のキース・モリスの個性が出ている。マッチョと内省世界をただストイックに極めていったヘンリー・ロリンズと比べると、彼の場合、イノセントも失われていないし、いい意味で成長していない。 昔のイメージのままだ。しかしそこにハードコアに対する一途な思いを感じることが出来る。ハードコアの原点を変わらぬ想いで、忠実に表現した作品なのだ。

2010/12/31

オーシャンレーン 『アーバン ソネット』

Urban SonnetUrban Sonnet
OCEANLANE

ハウリング・ブル・エンター 2010-12-08
売り上げランキング : 3701

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 まるで鬱蒼と茂る森を歩いているような深い静寂と、冬の青く透き通った空を眺めているような悲しみ。脆くも儚い叙事詩。ギリシャ美術のような芸術的で美しい作品。

 通産5枚目にして完成度の高い作品を提示したオーシャンレーン。いままでビューティフルバンドという呼び名で語られてきたが、今作では明らかにその範疇を超えている。3作目のロック路線に、いままでとは違ったビューティフルな要素をふんだんに盛り込んだ、集大成的な内容だ。

 今作では都市生活に潜む悲哀がテーマになっているそうだ。だからなのか、どこか他人と透明な壁一枚はさんだような孤独や疎外感といった感情を感じる。オーシャンレーンの特徴である透き通ったような脆くも儚い美しさこそ変わらない。だが、優雅なピアノと清冽なギターが織り成すハーモニーや、くるくるとメロディーが入れ替わるギターフレーズにいたるまで、都会の煩雑さのように複雑に入り組んでいる。シンプルなメロディーが持ち味だった前作と比べると、大きく変化した。とくに7曲目の『フォーリング・ダウン』。嗚咽した感情が上がっていくサビのコーラスからいきなり静寂なキーボードに流れ込む展開は、意外性に富んでいるし、8曲目の『バトルグランド』では、まるで人が死を悔やむかのような厳かな雰囲気の悲しみがある。そして最後の『クライアーズ・オブ・ザ・ウルヴァース』では、混乱した頭のなかのようにサイケデリックで、意外な展開で終わる。どの曲もギターフレーズやメロディーにとことんこだわり、アレンジ違えば曲調も違う。歌い方にいたるまで、すべてを変えている。00年以降のUSインディーズを徹底的に分析し取り入れ、いままで日本にはなかったメロディーを追求した。その情報量がハンパじゃない。それほど曲が練られているし、完成度がものすごく高いマニアックな作品だ。

 話は変わるが、ぼくは現在のインディーバンドに、ネガティヴな印象を抱いている。その理由はインディーでしか出せないサウンドを追求しているバンドがあまりにも少ないからだ。むかしはインディーからメジャーに移籍するのが夢だった。ダイヤの原石みたいなバンドは、メジャーに買収されていった。なかにはインディーズ時代よりもとがった音を追求するバンドもいれば、メジャー用に音がソフィスケートされ、ポップになったバンドもいる。メジャー移籍こそ、有名になるための手段だった時代があった。

 その流れが変わったきっかけはハイスタがメジャーからインディーへ移籍してから。DIY精神が流行り、メジャーへセルアウトするのではなくしっかりと自分の主張を持ち、インディーで活動することがカッコいいという風潮が生まれた。先駆者のハイスタは良い。だがその後、雨後の竹の子のように増殖したメロディックパンクのフォロアーたちがこだわるインディーズ精神というものに、ぼくはある種の嫌悪感を抱いていた。

 インディーからメジャーへ移籍するが、決して悪いことだと思っていない。オリジナルティーを持ったいいバンドはインディーだろうが、メジャーだろうが、周りから評価される。むしろメジャーに移籍して敏腕プロデューサーの手によって、そのバンドが光り輝くなら、メジャーへ移籍したほうがいいとさえ思っている。

 ここで言いたいのは、メジャーの選別から落ちたB級バンドたちが、「メジャーはクソだ、俺たちはDIY精神にこだわる」や「俺たちはセルアウトしない」など、自己欺瞞に満ちた発言をしているという事実だ。自分たちの才能のなさをインディー精神へのこだわりでごまかし、才能あるバンドかのように装っている。それがいように腹が立つ。こういったバンドたちがインディーの質をさげ、さらに悪い状況を生み出している。

 そんななか、オーシャンは究極のインディーポップを追求した。おそらくこの作品をメジャーレーベルから出せば、難解さは取っ払われ、解りやすく手直しをされていただろう。芸術的で複雑な世界観は損なわれていたはずだ。このマニアックで実験的なサウンドは、インディーでしか作りだすことが出来ない。それこそがオーシャンがインディーで出す意味であり、メジャーでは奏でることの出来ない究極のアンダーグランドポップなのだ。ノー天気にハッピーなラブソングばかりを歌っている3コードのロックしか能がない、ほかのインディーバンドたちとは明かにレベルが違う。複雑な実験性と暗く美しいポップさに富んだ真のインディーポップだ。

2010/10/22

RIVAL SCHOOLS UNITED BY ONELINEDRAWING

Rival Schools United By OnelinedrawingRival Schools United By Onelinedrawing
Rival Schools & Onelinedrawing

Some Records 2001-07-24
売り上げランキング : 450352

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 01年に発表されたライバル・スクールズとワンラインドローウィングのスプリットEP。これがライバルスクールズのデビュー作になり、ワンラインドローウィングは4枚目のEPとなる。

 ここでは両バンドともハードコアからの影響を感じさせない。ワンラインドローウィングは、ハードコアの重さをなくし、叙情性を加味したオルタナティヴ・ロックな曲で、ファーの延長上にあるサウンドを展開している。ライバルスクールズは、アコースティックナンバーから、ポストロック、ソニックユースの要素を加えたオルタナ・ロック。それぞれに実験的な要素の強い作品だ。

 両バンドともチープな録音で音が悪いが、それが幸いしてか平素でシュールな雰囲気を全体が覆っている。なによりこの作品が面白いのは、両バンドとも、この先、真逆な方向にサウンド路線が進んでいくことだ。ワンラインドローウィングは、アコースティックを追求していくし、ライバル・スクールズは、アコースティックやポストロック、カントリーといった要素よりも、ギターを追求していく。おそらくこの作品が、両者に与えた刺激は大きかったのではないか。この後の作品には両者が互いにあたえた影響を感じ取ることが出来る。
完成度は決して高くないが聴く価値のある面白い作品だ。

2010/05/21

OVER IT『ザ・ストランド』

The StrandThe Strand
オーバー・イット

インディーズ・メーカー 2008-02-08
売り上げランキング : 42335

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 メジャーデビュー作も好評だったオーバー・イットの未発表集。最高傑作ともいわれる『シルヴァーストランド』から、レコーディング時に選曲からもれた未発表曲6曲と、アコースティックアレンジの4曲を加えた全10曲。アウトテイク作だけあって、静と動アップダウンのある曲や、強くシャウトする曲など、『シルヴァーストランド』とは異なる方向性の曲が目立つ。とはいえどの曲もテンションが高く、明るいメロディーの裏側に、知的さと切ない翳りが漂っているオーバー・イットの個性が現れている。確かにお蔵入りするにはもったいない曲たちだ。

2010/05/19

OVER IT『シルヴァーストランド』

SilverstrandSilverstrand
オーバー・イット

インディーズ・メーカー 2005-03-18
売り上げランキング : 328645

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 良質なメロディーとは、新しさや古さに関係なく、否応なく周囲を感動させてしまうものなのだ。潮風の匂いとサーフィンが似合う05年に発表されたオーバー・イットの3枚目のアルバムは、そういった言葉を口にしたくなるような、センチな気持ちにさせてくれる心地よいメロディーにあふれている。カルフォルニアの日差しをじかに浴びたような陽気なサウンドだが、けっしてノー天気な明るさにはならず、根っこにしっかりとした力強さがあり、ところどころに知的な雰囲気さえ感じる。こうゆうグッドメロディーこだわりを持ち、追及しているバンドは、個人的には大好きだ。

2009/02/25

OCEANLANE『CROSSROAD』

CROSSROADCROSSROAD
OCEANLANE

3d system(DDD)(M) 2009-01-07
売り上げランキング : 27912

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 紆余曲折を経て、たどり着いた境地。ようやく代表作となる1枚が完成した。日本インディー界では、00年以降のエモ・インディーに影響を受けたビューティフルバンドとして知られ、英詞ながらも、ごく普通の若者の視点で綴った歌詞が魅力のオーシャンレーン。彼らの特徴は広大なアメリカ大地に広がる雲ひとつない青空や、北欧の雪景色などの、日本ではない情景がよぎるメロディーにある。2NDでは妖艶で耽美なメロディーなどを取り入れ、美しさにこだわりを持つバンドという地位を確立した。

 だが前作で、ダークで攻撃的なサウンドに挑んだ。実験性に富み、音楽性の幅が確実に広がったアルバムだったが、激しさに繊細で透明な歌声がかき消され、肝心のメロディーのよさが後退した。ハイテンポなリズムのせ、叫ぶタイプの曲を、穏やかで綺麗な歌声が消化し切れていない印象を受けた。その反省があったのか、今作では明るいメロディーにしぼった。1stのような原点回帰を思わせる美しいサウンドを中心に、ポップで爽快なサウンドを展開。全体的にミディアムテンポの曲が多く、カントリーやアコースティック、ダンス・エモなどを取り入れている。前作のような迷いはなく、穏やかで開き直ったような明るい雰囲気に満ちている。

 今作の魅力は、ボーカル武井の透明な美声と、美しいメロディーフレーズの多彩な組み合わせにある。その歌声を最大限に活かすために、アレンジやギターの音色が選び抜かれている。“Shine On Me”は荒いギターが中心のアップテンポの曲だが、あくまでもボーカルにフィットした明るいコードを選んでいる。 “Look Inside The Mirror”では、軟らかな歌声を生かすため、極端に音を抑えたバイオリンやピアノが、ギターの隙間を縫うように脇から引き立てている。メロディーフレーズも多彩で、音階のずれたメロディーをリフレインさせたり、金属がぶつかり合うような音のフレーズや、高音ギターのフレーズなど多種多様の音色を組み合わせている。ボーカルに合うメロディーや、1曲として似通ったものがないギターフレーズを厳選した結果、先駆者たちの影響下から解き放たれ、彼らしかないオリジナルティーを獲得した。その努力と苦労のはてに手に入れたメロディーが、彼らの最高傑作を作り上げたのだ。

 その完成度の高さが1STの繊細でナイーヴなメロディーや、不安が入り混じったイノセントな歌声とは違い、苦労を乗り越えた大人の落ち着きが漂っている理由なのだろう。エモ・インディーシーンで、独自の進化を遂げたメロディーを、巧みに組み合わせた。世間でまだ知られていないサニー・ディ・リアル・エステイトや、オーウェンなどに影響を受けたメロディーを、メインストリームに押し上げ、どこまで認知させることができるか?今後の彼らの活躍に目が離せない。

スポンサードリンク


最近のトラックバック

無料ブログはココログ

スポンサードリンク