プロフィール

  •    宮本 一高         (みやもと かずたか)
                                        音楽ライターを目指しているものです。EAT MAGAZINEやDOLLなどで執筆をしておりました。おもにエモ、ハードコア、スクリーモ、メロディックパンクを中心に取り上げております。自分が感動した音楽を、積極的に紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

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W

2016/12/29

WARZONE(ウォーゾーン) 『Don't Forget the Struggle, Don't Forget the Streets(ドンド・フォーゲット・ザ・ストラグル、ドンド・フォーゲット・ザ・ストリート)』

Don't Forget the Struggle, DonDon't Forget the Struggle, Don
Warzone

Imports 2016-10-27
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ニューヨーク・ハードコア界では、GORILLA BISCUITS(ゴリラビスケッツ)やYOUTH OF TODAY(ユース・オブ・トゥディ)と並び、第二世代のバンドとして知られているWARZONE(ウォーゾーン)。それ彼らが87年に発売されたデビュー作。長らく廃盤であったが、今回新たにリマスターされ再発された。

ニューヨーク・ハードコアの第二世代のバンドといえば、ストレートエッヂ思想をアメリカ全体に広めたユース・オブ・トゥディ、ハードコアの骨太のサウンドにポジティヴな明るさを加えたゴリラビツケッツ、ニュースクール・ハードコアの開祖といわれるJUDGE(ジャッジ)などが有名だ。

そんななか、ウォーゾーンはスキンズ・ハードコアという個性を確立し、丸坊主頭で軍隊上がりのような男くささが持ち味のバンドであった。彼らはスキンヘッズに支持されてはいたが、右翼的な思想はまったく持っていなかった。人種差別やハードコア・コミュニティーの排他的な暴力やナチズムと戦ってきたバンドなのだ。ここで歌われている内容は、愛国心や、スキンズとパンクスとの対立によって暴力沙汰に発展したハードコア・コミュニティーの団結について。自ら観客席に飛び込み、オーディエンスに揉みくちゃにされながら歌い、暴力を止めるという、独自のステージパフォーマンスで、カリスマ性を獲得したバンドでもあるのだ。

そのサウンドはスピーディーなオールドスクール・ハードコア。レーシングカーのようなスピードと、メタルなリフ織り交ぜたニューヨーク・ハードコアの伝統を継承しながらも、骨太のOiコーラスや演説などの要素を取りいれ、独自に進化させた。吐く息のように簡潔で矢継ぎ早に、言葉を放つボーカル。平穏な静けさから急激に性急なスピードが加わるサウンド。そこには心の落ち着きが急激に乱されるような攻撃性と焦燥感と熱気に満ちあふれている。

彼らのサウンドにはまるでスポーツの団体競技のような連帯感と団結心を感じる。いがみ合っていたお互いが、怒りや喜びをともに共有しあい、そして共感に変わり、共通の目的へと昇華していく。感情がポジティヴな方向へと変わっていく団結心のプロセスがあるのだ。

現在、ニューヨーク・ハードコア・シーンはファミリーのような結束力の強いシーンとして知られている。その概念を初めてもたらしたのが、まぎれもなく彼らなのだ。ボーカルのRAYBEEZが亡くなって19年になるが、いまだ忘れ去れることなくその存在は輝きを放っている。それほど彼らの功績は大きかった。これはニューヨーク・ハードコアの歴史の一枚を飾る名盤なのだ。


2013/12/21

ウィー・ケイム・アズ・ロマンス  『トレーシング・バック・ルーツ』

Tracing Back RootsTracing Back Roots
We Came As Romans

Imports 2013-07-28
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 13年発表の3作目。前作の路線をさらに推し進め、脱スクリーモを果たした。これがいい作品に仕上がっている。アメリカではビルボード・チャート8位に入るほど、高い評価を得ている。今作でも、デスメタルとデジタルの融合というサウンド路線に変わりはない。だが前作のメロディックを中心としたポップな要素が薄まり、デスやヘヴィネスを今作ではさらに強調している。そのサウンドは、例えるなら日本のバンド、マッド・カプセル・マーケッツの『システム・コンフリクト』というアルバムにある“ワールド”という曲に、構成が似ている。とはいっても彼らからマッド・カプセル・マーケッツからの影響は感じられない。その理由はメロディーそのもの影響の違いにある。マッドの場合、90年代のテクノや、機械的で無機質なデジタル音とデスメタルの融合だが、彼らは、00年以降のプログレやメロディックパンク、ディスコエモとデスメタルとの融合。メロディック側の音楽のベースはあくまでも00年以降の音楽から影響を受けている。くわしく説明するとそのメロディーには、ピップホップの暗くシリアスなピアノの音や、マーズ・ヴォルタからの影響を感じるプログレや青春コーラス、ディスコエモなどをうまく取り入れている。不気味なメロディーで死を覚悟したような不安な気持ちにさせながらも、デスパートで勇気を振り絞るような熱さを与えてくれる展開。そこには、どんなに不安で劣勢でも、立ち向かっていく熱さがあるのだ。それが終始テンションが落ちることなく、駆け抜けていく。それがこの作品の魅力なのだ。この作品は、メロディックパンクのような、女の子と何とかといったポップで軟弱な要素もなければ、スクリーモのような内省的で無機質な要素もない。熱くフィジカルで世間に立ち向かっていくという意味では、パンクしている。現代版のパンクだ。個人的には今年のベスト15には入っていくる。それほど好きな作品だ。

2013/12/12

ウィー・ケイム・アズ・ロマンス  『アンダースタンディング・ワット・ウィーヴ・グロウン・トゥ・ビー』

Understanding What We've Grown to BeUnderstanding What We've Grown to Be
We Came As Romans

Equal Vision Records 2013-04-08
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 11年に発表された2作目。サウンドフォーマット自体前作と変わらないが、前作より、よりメロディーに重点を置いている。今作では前作で確立したサウンドフォーマットを、より極める方向に向かっている。新しい試みはなく、いうなら深化だ。とくにメロディーに力を入れており、前作のディスコ・エモのピコピコなるデジタル音やクラッシク音楽をさらに突き詰め取り入れている。そのメロディーには、赤ん坊を癒すような浮遊感があり、呪詛を急速に洗い流すような癒しと安らぎがある。ときには切なく寂寥感に満ちており、メランコリックで幻想的な色彩を帯びている。そしてなにより今作のよさは、メロディーに、デスヴォイスと金属質で重いリフとが溶け合っているところだ。もはや繊細さと野太さの二律背反や2面性といった感情はここにはない。怒りに満ちたデス声の根本には、悲しみや弱さが漂っており、憤りや、やるせなさに近い感情がある。うるさく重厚でラウドで重いサウンドでありながら、ポップで聴きやすい。怒りと悲しみ、ポップとデスとの親和性に、このバンドの成長を感じる。

2013/12/07

We Came as Romans 『To Plant a Seed』

To Plant A SeedTo Plant A Seed
ウイ・ケイム・アズ・ロマンス タイラー“テル”スミス

TRIPLE VISION entertainment 2010-04-20
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 デトロイトのスクリーモバンドの09年発表のデビュー作。現在、このバンドがスクリーモの最前線にいる。美声と絶叫が交錯するスクリーモのサウンドフォーマットに、クラシックの突然悲劇を伝えられるようなドラマティックなメロディー、ディスコ・エモのスペイシーなデジタル音、メロディックパンクの青春コーラス、金属質の重厚なリフ、ブラストビートなどを加えた。そして絶叫がデスの怒声に入れ替えた。いろいろなジャンルの音楽を切り貼りしたセンスのよさが、彼らならではの個性といえる。

 これだけいろいろな要素を詰め込むと、消化不良を起こすバンドが多いが、彼らの場合、楽曲の組み立てや展開のよさが優れている。とくに優れているのはサウンドの中心を担っている擦り切れるような切ない美声とスペイシーなメロディー。そしてその美声をハンマーで潰すような重厚なリフへと流れ込む展開。ブルータルな怒声からドラマティックなクラッシクのメロディーに変わっていく展開は彼らならでは。攻撃性からショックを経て穏やかな感情。スペイシーで人工的な美しさと大自然で培われた獣性。感情がくるっと変わる美しさと獣性のアンビバレンスがいい。

 スクリーモ特有の魔界の沼地のような世界観や弱々しい感情もない。「人間が殺しあうことの愚かさ」などをテーマにしたメッセージ性の強いポジティブな楽曲を歌うことで有名で、どちらかといえばパンクのような社会に対する攻撃性がある。いままでのスクリーモとは異なるアティテュードを持ったバンドといえるだろう。

2011/04/18

WE THE KINGS 『SMILE KID』

スマイル・キッドスマイル・キッド
ウィー・ザ・キングス

Kick Rock MUSIC 2010-07-21
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 09年に発表された2枚目。もはやエモやメロディックパンクの範疇を超えた。アメリカでの呼び名通りの典型的なパワーポップで、聴きやすく深化した。

 今作ではピュアな純粋さを歌った内容こそ変わりはないが、ヴァラエティーニに富んだ作品に仕上がっている。牧歌的なアコースティックから、ネオアコ、ベン・フォールズ系のピアノ、ポップなデジタル音などを加え、もはやエモの範疇では収まりきらないサウンドに仕上がっている。アメリカではジミー・イート・ワールドとアカデミー・イズをブレンドしたサウンドというレビューも見かけるが、それ以上の出来。いろいろなメロディーフレーズがミルフィーユのように甘く幾重にも重ねられて、極上のポップソングを奏でている。メロディックパンク界ではいままでなかったメロディーで、彼らしかないオリジナルティーを確立している。

 2作目でハードロックのギターメロディーを極める方向に向かったボーイズ・ライク・ガールやオール・アメリカン・リジェクツと比べると、その要素を少し残りつつも、ポップソングを極める方向に彼らは向かった。それがオリジナルティーを確立した要因だろう。

 個人的には彼らの最高傑作だと思う。前作のピュアさや爽やかさを残しつつも、そこにほんの少しの切なさや、やるせなさを叫んだ青春の苦悩を加えたから。そのサウンドは、より感情の深みを増している。なにより甘く切ない歌詞やサウンドが共感を持てる。

 オール・タイム・ローやコブラ・スターシップとかと並んで、新世代のメロディック・パンクを代表する作品だろう。

2011/04/14

WE THE KINGS

ウィー・ザ・キングスウィー・ザ・キングス
ウィー・ザ・キングス

EMIミュージック・ジャパン 2008-03-12
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 07年に発表されたフロリダのメロディックパンクバンドのデビュー作。EMI傘下の大手インディーレーベルに移籍をはたし、彼らの存在を一躍有名にした作品だ。

 日本ではメロディックなエモにカテゴライズされている彼らだが、アメリカではパワーポップバンドとして分類されているそうだ。もはやエモという呼称は日本独自のものなのかもしれない。そんな彼らの音楽性は、日本的な言い方をすればボーイズ・ライク・ガール系のピュア・エモ。限りなく透明でピュアなボーイズ・ライク・ガールと比べると、彼らはエネルギッシュでテンションが高い。清冽なメロディだけでなく、荒削りなギターコードを導入し、アメリカンハードロックなどの影響が強い。キラキラメロディーや青春コーラスからは、スターティング・ラインやカルテルなどに影響を受けたいまどきのサウンドを奏でるエモ・メロディックパンク・バンドだということが理解できる。ピュアな気持ちと熱い想い。それが彼らの特徴といえるだろう。

 歌詞はロミオとジュリエットの悲劇を、私だったらパッピーエンドにするといった仮定の話や、個人的な恋愛について歌った内容ばかり。基本的に未来への希望に満ちたラブソングが多い。典型的な高鳴る感情を歌った青春エモ。とはいっても明るい内容ばかりではなく、6曲目のオーガストイズオーバーでは失恋の曲なども歌っている。

 個人的には限りなくポップで聴きやすい作品で、それなりに楽しめた。ラブソングや純な気持ちが好きなかたに、お薦めの作品だ。

2010/11/04

ウォーキング コンサート 『ラン・トゥー・ボーン』

Run to Be BornRun to Be Born
Walking Concert

Some Records 2004-09-07
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 04年に発表されたウォルターの新バンドのデビュー作。ここでは爽やかなギターロックを展開している。
相変わらずギターフレーズのこだりは半端ではない。アコースティックの軽やかな音から、ニューヨークパンクのようなフレーズ、ガレージぽいサウンドなど、実験的でインディーなサウンドだ。

 ひとことで言えば、都会的でお洒落。知的でクールなサウンドで、感情が極端な方向に偏ることがない。楽しさや寂しさ、美しい光景に浸るといった感情があっても、知性よって制御されている印象を受ける。

 個人的には好きな作品だが、ヘヴィーなサウンドを追及してきたウォルターの過去の実績から比べると、あまりにもかけ離れすぎているために、話題にならなかったようだ。売れるものを作ろうとする意識はなく、ウォルターが好きなものだけを詰め込んでいる印象を受ける。趣味が爆発している作品だ。

2010/10/30

ウォルター・シュレイフェルズ 『アン・オープン・レター・トゥ・ザ・シーン』

An Open Letter to the SceneAn Open Letter to the Scene
Walter Schreifels

Big Scary Monsters 2010-04-26
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 10年に発売されたソロ名義のフルアルバム。ここでは前EPの延長上にあるアコースティックアルバムだが、ラフミックスだった前作よりも完成度は高い。しかもカヴァー曲がなく、すべてオリジナルの曲だ。アメリカ中部の牧歌的なフォークソングから、ボブ・ディランのような曲など、ヴァラエティーが豊富で、ウォルターらしい、ギターフレーズをいろいろといじった曲もある。

 アメリカでは往年のボーカリストがこういった形のソロアルバムを発表する機会が多いが、系譜的にも、それらのアーティストと同じ感覚でやっている。バッドレリジョンのボーカル、グレッグ・グラフィンや、ジョナ・マトランガ名義のソロ、スライスのボーカル、ダスティン・ケンスルーなどのように、自らのルーツを、再確認することが目的としたソロなのだ。

 それにしてもこの日常的で平素感が漂った世界にはビックリさせられる。クイックサンドとライバル・スクールズでは暗く内省的な世界を追及していたウォルターが、ここでは社交的で明るいサウンドを展開している。歌詞も友人や恋人などの第三者が登場し、恋人との別れや友人の死というウォルターの身近に起こった実際の出来事が語られている。とくに10曲目のOpen Letter To The Sceneでは、先日他界したNYスキンズ・ハードコアの第一人者WARZONEのレイビーズへのレクリエムが歌われている。かれが残した言葉<戦いを忘れるな!ストリートを忘れるな!セルアウトをするな!>を引用して歌われるこの曲は、ウォルターの実直な気持ちが語られている。悲しみよりもライバルを失ったことへの虚しさが漂ったこの曲は、レイビーズの功績をたたえ、ハードコア精神をいまでもリスペクトしているウォルターの心境が窺える。レイビーズが音楽業界に残した功績を胸に、セルアウトすることなくいい音楽を作っていこうとするウォルターの決意のようにも思える。

 明るいサウンドといってもけっして楽観さはない。悲しみよりも、人生への虚しさがこのアルバムを支配している。ウォルターの人生観が顕著に現れたアルバムなのだ。ウォルター好きなら、これを聴いてグッと来ない奴はいないだろう。

2010/10/28

WALTER SCHREIFELS/ウォルターシュレイフェルズ 『SAVE THE SAVEABLES/セイヴ・ザ・セイブレス』

081


元ライバル・スクールズのボーカリスト、ウォルター・シュレイフェルズの09年に発表された初のソロEP。6曲すべてアコースティックナンバーで、そのうち5曲はカバー曲だ。内容も元ゴリラ・ビツケッツのボーカルCIVからアグノスティック・フロント、ゴリラビスケッツ、クイックサンドなど、往年のNYハードコアや自身の過去バンドのカヴァーしている。
ハードコアをカヴァーしているからといって、ここには激しさや攻撃性はない。あるのはアコースティック特有の牧歌的な雰囲気だ。あくまでも遊びや趣味的な要素の強い作品だが、ウォルターの歌声の魅力が詰まっている作品ともいえる。

2010/04/17

ワッチアウト! ゼアーズ・ゴーストズ『ゴースト・タウン』

Ghost TownGhost Town
Watchout! Theres Ghosts

TRIPLE VISION entertainment 2009-06-10
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 これは面白い。触れたら壊れそうなほど繊細で透明で美声が、ピッチの上がっていくドラムマシーンによって、ハイテンションへと変わっていくエクスタシー。ミラーボールのように舞う妖艶なエレクトロミュージックの音の快楽。元A SKYLIT DRIVEのJordanが結成したW!TGのデヴュー作は、METORO STATIONやCASH CASHなどで活気づくデジタルエモシーンのなかでも、ひときわ異彩な個性を放っている。90年代のユーロビートとスクリーモを融合するなんて、彼らしか思いつかないアイデアだ。サウンドには難解さはなく、ポップで聴きやすいもの魅力のひとつだ。

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